この記事のサマリー
・「花言葉」は、国や文化によって意味が異なります。
・日本で用いられる花言葉は、ヨーロッパに由来するものが多いです。
・桜の花言葉は「精神美」。赤い薔薇は「愛」や「情熱」。
花に込められた「花言葉」は、贈る人や受け取る人の心を映す、小さなメッセージです。「愛」や「希望」といった明るい言葉だけでなく、「悲しみ」や「別れ」といった少し複雑な感情を表すものもあります。さらには、花の色や形、文化の違いによって、同じ花でも意味が変わる奥深いものです。
この記事では、辞典や百科事典などの情報をもとに、多様な花言葉の中から特に、ネガティブなものについて紹介します。
花言葉の基本と注意
まずは、花言葉の基本的知識を確認していきましょう。
花言葉の成り立ち
花言葉の起源は、ギリシア・ローマ神話やキリスト教の象徴、ヨーロッパの風習などにあります。花の形・色・香りなどに象徴的な意味を重ねることで、言葉を持たない花に「気持ち」を託してきました。
ここで理解しておきたいのは、花言葉は一つに決まっているものではないということです。国や文化によって異なる解釈が存在します。
例えば、紫色は日本では「高貴」を意味しますが、西洋では「悲しみ」の象徴となる場合があります。これと同じように、日本のフクジュソウは、正月を寿ぐ花で「幸せを招く」が花言葉ですが、西洋では「悲しき思い出」の意味を持つ花です。
このように花言葉は多様であり、解釈の違いによって意図しないメッセージとして伝わってしまう可能性もあります。
大切なのは花が持つ意味に過度に振り回されるのではなく、まずは相手への気持ちにきちんと向き合うこと。その想いに向き合うことで、どんな花を贈るかも自然と決まってくるはずです。
参考:『日本大百科全書』(小学館)
贈答時のマナーと工夫
悲しい意味を持つ花は、弔事や病中見舞いなどの繊細な場面では、誤解を招く可能性があるため、避けることも多いでしょう。
しかし、「意味が悪いから絶対に贈ってはいけない」と決めつける必要はありません。実際には、花言葉をあまり意識しない人も多くいます。
もしあなたが、その花に特別な思いを込めて贈りたいと感じたなら、ネガティブな印象を和らげるためのひと工夫を加えてみてはいかがでしょうか?
・「お元気になられますように」「いつも応援しています」など、花言葉とは別に、前向きなメッセージを添える
・同じ種類の花でも、より明るい色を選ぶ
・幸福の象徴とされる花(例:ガーベラ「神秘」、チューリップ「愛の告白」など)を加えて、全体の印象をやさしく仕上げる
受け取った側も、もし悲しい意味を持つ花をもらったとしても、それを「縁起が悪い」などと気にしすぎる必要はありません。花言葉はあくまで一つの解釈にすぎず、大切なのは、その花を選んだ相手のやさしさや想いに目を向けることです。

テーマ別・悲しい言葉をポジティブに捉えるミニ解説
失恋や後悔、孤独など、誰にでもある負の感情に寄り添う花言葉も多くあります。ここでは代表的な花をテーマ別に紹介し、贈り手の気持ちを表現するヒントを紹介します。
悲哀・悲恋
マリーゴールドは「悲哀」、「不安と嫉妬」といった花言葉があります。特に黄色は、西洋では黄昏や退廃、病気、死などを連想する不吉なものとされることも…。
しかし、日本ではその鮮やかな色合いが元気で明るい印象を与えることから、ガーデニングなどでも親しまれています。
贈り物としてマリーゴールドを選ぶ場合は文化的な背景を意識しつつ、「明るい未来への希望」や「感謝」といったメッセージを添えるといいでしょう。色そのものが放つ前向きなエネルギーが、ネガティブな印象を和らげてくれます。

後悔・追想
紫のヒアシンスには「悲嘆」という花言葉があり、過去を静かに振り返るような、内省的な印象を持つ花です。紫は、西洋では「悲しみ」の象徴とされる文化的背景もあります。
ただし、同じヒアシンスでも、白い花は「目立たぬ美しさ」、青い花は「貞節」とされるように、色が変われば花言葉も変化します。
こうした花を贈る際は、明るい色の花と組み合わせてアレンジメントし、「大切な思い出を、あたたかく胸に抱いています」といった前向きなメッセージを添えることで、よりやさしく心に届く贈り物になるでしょう。
拒絶・嫌悪
カーネーションは色や模様によって、花言葉の意味が大きく変わります。なかでも、赤白の絞り模様には「拒絶」という少し強い意味が込められています。一方で、白いカーネーションには「純白」といった清らかで穏やかな意味があり、同じ花でも受け取る印象がまったく異なるのが興味深いところです。
また、ユリも色によって意味合いが変わる花の一つです。白いユリには「純潔」「処女性」といった神聖さを象徴する花言葉がありますが、オレンジのユリには「嫌悪」や「侮蔑」といったネガティブな意味が含まれていることもあります。
こうした花を贈るときは、「いつも応援していますよ」といった前向きなメッセージを添えることで、意味そのものにとらわれず、温かな気持ちが伝わる贈り物になります。
参考:『世界大百科事典』(平凡社)
花別・色別の花言葉
ここでは、桜と薔薇の花言葉について、その背景とポジティブに生かすためのヒントをまとめました。
桜
桜は、日本神話に登場する木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)が富士山から種を播いたことで全国に咲き広がったと伝えられ、豊作への願いや自然への敬意が込められた花でもあります。
外見の美しさだけでなく、「風雅」や「もののあわれ」といった日本人特有の感性を象徴する花とされ、『日本大百科全書』(小学館)では「精神美」、またヤマザクラには「純潔」「淡泊」「高尚」「美麗」などの花言葉が付されています。
散り際の美しさから「儚さ」や「悲しみ」を重ねる人もいますが、春に必ず咲き誇る姿には「再生」や「希望」の意味を託すこともできます。慰霊や追悼の場面で用いる際も、そうした前向きな言葉を添えることで、静かな励ましや癒しの想いが届く贈り物になるでしょう。
薔薇
薔薇は「愛」を象徴する花として広く知られていますが、色や咲き方によって花言葉が大きく変わります。
赤いバラは「愛」や「情熱」、白いバラは「私はあなたにふさわしい」、ピンクのバラは「しとやか、上品」とされています。
一方、黄色いバラには「愛の衰え」や「嫉妬」などの意味があるため、悲恋の象徴と受け取られる可能性もあります。
こうしたネガティブな印象を避けたいときは、明るいメッセージカードを添えたり、赤や白のバラと組み合わせたアレンジメントにするなど、前向きな意図を伝える工夫をすると安心ですよ。
参考:『世界大百科事典』(平凡社)

「悲しい花言葉」に関するFAQ
ここでは、「悲しい花言葉」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 同じ花でも国によって花言葉が違うのはなぜですか?
A. 花言葉は、神話や宗教、風習など文化的背景から生まれたもので、地域ごとに意味が異なる場合があります。
Q2. NGな使い方はありますか?
A. 状況によっては注意が必要です。
例えば弔事や病中見舞いなどの場面で、「絶望」や「悲嘆」などの花言葉を持つ花を贈るのは控えた方がいいでしょう。
最後に
花言葉を知ることは、相手の心情に寄り添う感性を育てることにつながります。
国や時代で変わる解釈を理解しつつも、最も大切なのは「どんな気持ちでその花を贈るか」です。意味にとらわれすぎず、相手を思う気持ちを何より大切にしましょう。
花は、意味以上に「気持ちを届ける」もの。どんなときも、花を慈しむ心を忘れずにいたいですね。
TOP画像/(c)Shutterstock.com



