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「お先に失礼します」の本来の意味とは?

「お先に失礼します」は、自分がその場を先に立ち去るときに使う丁寧なあいさつです。
“あなたより先に帰ることを、失礼ながらお許しください”という謙譲の気持ちが込められていて、上司や同僚より先に退勤するときや懇親会・飲み会を先に退席する場面でも使われています。
単なる「帰ります」と比べると、相手への配慮を示すマナー表現と言えるでしょう。
♦︎「お先に失礼します」が失礼にあたる? その真意は
SNSなどで「“失礼します”って、なんか上から目線じゃない?」という意見を見かけることもありますよね。
しかし、これは大きな誤解。「失礼します」はもともと「失礼いたします」という丁寧な表現の略で相手に対してへりくだる意味を持つ謙譲語ですから、決して無礼ではありません。
しかし一方で声のトーンや使う場面によっては、相手にそっけない印象を与えたり偉そうな雰囲気に感じさせたりすることもあるのでしょう。
SNSでの批判的な声には、そのような限定的な出来事があらわれているのかもしれません。
正しい「お先に失礼します」の使い方をマスター

「お先に失礼します」を口にするときに、反感を買わない言い方をマスターしておきましょう。
相手の状況への配慮を怠らずに伝えるのが、好感度を下げないポイントです。
♦︎ポイント1:タイミングを見極める
相手が電話や会話中ならば、タイミングをずらすのがマナーです。
忙しそうなときは、あえて「お先に失礼します」と声に出さず、軽く会釈だけで済ませるほうがスマートに映ることも。
状況に配慮しながら、相手の仕事の邪魔にならないようにしましょう。
♦︎ポイント2:やわらかい声のトーンで発する
「お先に失礼します!!」と元気すぎる声では、職場によっては浮いてしまうこともあります。
また、集中している相手を驚かせたり集中力を添いだりしてしまうきっかけにも。
まだ仕事をしている人がいるなかで先に退社をするシチュエーションですから、やや落ち着いたトーンで発するようにすると◎。
♦︎ポイント3:状況次第で言い回しを変える配慮を
「お先に失礼します」は相手を選ばずに使いやすい言葉ではありますが、その日の職場の雰囲気や声をかける相手との距離感によっては、言い回しを変える配慮も必要です。
ただ「お先に失礼します」とだけ告げるのではなく「恐れ入ります」「本日は、ありがとうございました」などの言葉と組み合わせるのも、相手への配慮につながります。
「お先に失礼します」で大失敗… アラサーのリアルエピソード

「お先に失礼します」は、タイミングやトーン次第で相手に与える印象が大きく変わる繊細な言葉でもあります。
アラサー世代がやりがちな失敗を、リアルなエピソードとともにチェックしておきましょう。
♦︎ありがちな失敗1:忙しい同僚たちの前でいそいそと退社してしまった
30代前半の事務職・Aさんは、自分の仕事が早く終わったので退社をしようとしたところ、同僚たちがみんな残業をしていることに気づいたそう。しかし自分の仕事は終わったのだから、堂々と帰っていいはず!と、大声で「時間なので、私はお先に失礼します〜!」と声をかけて帰ったそうです。
しかし翌日、同僚から「昨日の帰り方は、あんまり良い印象ではなかったかも」と指摘をされてしまったとのこと。たとえ定時に帰るのが当然の権利でも、仕事が終わらない同僚たちの状況にもう少し配慮して「お疲れ様です」のひと言を加えるべきだったと反省したそうです。
>>どうすればよかった?
こちらのエピソードは定時で自分だけ帰ること自体がNGなのではなく、声のかけ方で悪い印象を与えてしまったケース。
Aさんが感じたように「お疲れ様です」のひと言があれば、同僚たちの受け取る印象も変わったかもしれません。
♦︎ありがちな失敗2:チャットで怒っていると誤解をされた
フリーランスのBさんはプロジェクトメンバーでチャットを用いて打ち合わせをしていた場面で、出かける時間になったため「お先に失礼します」とだけ打って、チャットを抜けたそう。
本人としては失礼な言い方をした自覚はなかったものの、翌日のチャット会議で「昨日は機嫌が悪かったんですか?」「何か怒るようなこと、ありました?」と聞かれて、ハッとしたそうです。
>>どうすればよかった?
テキストだけでは「お先に失礼します」のトーンがわからないため、流れによっては無愛想なイメージを与えやすいのも確か。
“!”や絵文字を交えるなどしてやわらかい表現に変えるだけでも、印象は変わります。
♦︎ありがちな失敗3:「お先に失礼」した飲み会のあとで先輩と鉢合わせ
Cさんは取引先との飲み会を途中で退席する際に「仕事が残っているので、お先に失礼します」と抜けましたが、実際には恋人とのデートがあるために抜けたそうです。
その後、バーで恋人とデートを楽しんでいると取引先との飲み会を終えた同僚たちとバッタリ鉢合わせに…。その場にCさんの先輩もいたことから、翌日に「デートで抜けるのはいいけど、もうちょっと離れた場所にしたら?取引先に見られなくてよかったよ…」と苦言を呈されてしまいました。
>>どうすればよかった?
ビジネス上の飲み会を退席し、その後に予定があるならば仕事のメンバーと鉢合わせをしない場所を選ぶほうが無難です。
仮にやむを得ない事情があったとしても、飲み会を「失礼します」と帰った人がプライベートで楽しんでいる場を見てしまえば、不快に思う人も少なくないでしょう。
好感度UP♡「お先に失礼します」を使う際の注意点

「お先に失礼します」は一見シンプルな挨拶のようでいて、言い方ひとつで印象が大きく変わる言葉です。
アラサー世代が好感度を上げられる“ちょっとした配慮”を、3つのポイントにわけて解説します。
♦︎注意点:義務感で言わない
「お先に失礼します」は、ただの“退勤時の決まり文句”ではありません。
義務的に口にするだけだと、どこか事務的で冷たい印象を与えてしまいます。
その日の仕事を終えた感謝やひとつの区切りを表す気持ちで伝えると、丁寧な締めくくりの挨拶として届きやすく心のこもった印象を与えます。
♦︎注意点:仲がよくても略しすぎない
親しい同僚同士だと、つい「お先〜!」や「おつかれ〜!」で済ませがち。
ただしオフィス全体に声が届く場では本人たちはなんとも思わなくても、周囲からは略しすぎる言い方が軽く聞こえる場合もあります。
特に後輩や取引先がいる場では、大人のマナーとして「お先に失礼します」と略さず口にしたほうが適切でしょう。
♦︎注意点:ひと言で終わらせない配慮を
ただ「お先に失礼します」と言うだけでは、ときに“自分のことしか考えていない人”と受け取られてしまう場合もあります。
協調性が重んじられるチーム業務の途中や他の人が残業中の環境ならば「今日はありがとうございました」「明日の準備は任せてくださいね」など配慮を感じさせるひと言を添えると、協調性が伝わりやすくなるでしょう。
「お先に失礼します」は慣れによって雑になりやすいフレーズ
「お先に失礼します」は毎日のように使う言葉だからこそ、慣れてくると雑になりがちな表現でもあります。
義務感ではなく“区切り”の挨拶として丁寧に口にするよう心がけるだけでも、品のある印象に。
大人の女性として、余裕とやさしさを感じさせられるような使い方ができるとベストです♡
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並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。



