「彼女は正々堂々と戦った」などというように使われる、「正々堂々」という言葉。馴染みのある言葉ではありますが、具体的にどのような態度が「正々堂々」と呼べるのか? と聞かれると、答えるのが難しいかもしれませんね。
本記事では、「正々堂々」の意味や使い方、類語となる四字熟語、英語表現を解説します。
「正々堂々」の意味
「正々堂々(せいせいどうどう)」の意味を辞書でみてみると、
[ト・タル][文][形動タリ]
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
1 軍隊などの陣構えが整い、勢いが盛んなさま。
「―と北京へ駐在する事にするよ」〈漱石・虞美人草〉
2 態度や手段が正しくりっぱなさま。「―と戦う」
となります。「正々」は、「正しく整っているさま」。「堂々」は、「立派で隠し立てしないさま」を表します。日常生活では2番目の意味がよく使われるでしょう。辞書によっては、「正正堂堂」と表記していることもありますが意味は同じです。
使い方を例文でチェック!
「正々堂々」は、スポーツ試合、受験など何かと戦っている場面でよく聞く言葉ですよね。どんな姿が「正々堂々」と呼べるのか、例文でチェックしていきましょう。
1:私たちは、最後まで正々堂々と戦うことを誓います。
「正々堂々」は、運動会や高校野球の開会式での選手宣誓などでよく使われます。選手や観客に向かって、手を上げながら、真正面から潔く戦うことを宣言する姿を見たことがある人も多いのでは? 立派でたくましい姿に、「正々堂々」はぴったりです。
2:テニス選手の正々堂々としたプレーに、観客は拍手を送った。
立派なスポーツマンシップに対しても、「正々堂々」が使われます。ずるい戦術や相手を煽ったりするなどの卑怯な態度をとらず、フェアに相手と戦う姿勢に勇気をもらう人も多いでしょう。最後まで諦めず、真摯に戦う姿は応援したくなりますね。
3:陰口を言わず、正々堂々話し合いましょう。
実際の戦や試合ではなく、話し合いの場面でも、「正々堂々」が使われます。陰でこそこそ悪口を言うのではなく、不満があるなら面と向かって意見を戦わせようということですね。
お互い意見を述べて、改善策や妥協点を見つけるのが正しい付き合い方と言えるでしょう。
類語や言い換え表現は?
「正々堂々」のように、立派な態度を表す言葉はいくつかあります。ここでは、「勇猛果敢」「公明正大」「謹厳実直」の3つをチェックしていきましょう。
1:勇猛果敢
「勇猛果敢」は、「ゆうもうかかん」と読み、「勇気があり、思い切って行動に移すさま」を意味します。「勇猛」は、「勇気があって何事にも恐れないこと」。「果敢」は、「決断力に富み、思い切って物事を行うさま」。どんなに過酷なことにも、大胆に挑戦する勇ましい姿を表現したい時に使われますね。
(例文)
・彼は勇猛果敢な戦士だったようだ。
・兄は勇猛果敢にも難関校を受験した。
2:公明正大
「公明正大」の読み方は、「こうめいせいだい」。意味は以下の通りです。
[名・形動]公平で、良心に恥じるところがなく正しいこと。また、そのさま。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
誰に対しても平等で、やましいことがない人のことを「公明正大」と言います。嘘をつかず、誠実で、分け隔てなく接する様子は周囲からの印象もいいでしょう。多くは、人柄や振る舞いに対して使われますが、政治的な場面では「公明正大な措置」と表現することもありますね。
(例文)
・市長には、公明正大な対応を求めます。
・彼の公明正大な態度に感心しました。
3:謹厳実直
「謹厳実直」は、「きんげんじっちょく」と読みます。意味は以下の通りです。
[名・形動]つつしみ深くまじめで正直であること。また、そのさま。「―な勤めぶり」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「謹厳」は、「非常に真面目で、浮ついたことを好まないこと」。「実直」は、「誠実なこと」。無駄口を言わず、テキパキと動いたり、細かいところまで丁寧にチェックする生真面目な働きぶりを目にして、「彼女は謹厳実直な人だね」と評価することも。
(例文)
・父は銀行員として謹厳実直に働き続けた。
・ただ謹厳実直に働くのみです。
英語表現は?
英語で「正々堂々と〜した」と表現したい場合、どのように表現したらいいのでしょうか? 参考になる英語表現を紹介します。
We pledge to fight fair and square. (私たちは正々堂々戦うことを誓います)
「fair and square」には、「正々堂々」「公明正大な」「正しい」などの意味があります。「fair」は、日本語で「フェア」というように、「公平な態度」を指す言葉ですね。スポーツ試合などで、正々堂々戦いたいと思っている時に使ってみてはいかがでしょうか?
Fair’s fair(正々堂々とやろう)
「正々堂々とやろう」「フェアにやろう」という時に、使われる表現です。
最後に
「正々堂々」とは、「態度や手段が正しくりっぱなこと」。隠し事やズルをせず、相手と戦う姿を表現する時に使われることがわかりましたね。「正々堂々」はあくまで立派な態度を指すので、勝負の勝敗を指す言葉ではありません。相手への敬意を忘れずに、「正々堂々」と戦ってみてはいかがでしょうか?
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