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「おかげさまで」の意味と例文は?
「おかげさまで」は、自分の成功や順調な状況が相手や周囲の支援・協力のおかげであることを表す日本語独特の謙譲表現です。相手の年代を問わずに使えるので、目上の人にも使えます。
この言葉を添えることによって、自分の成果や状況について話すときに「あなたのおかげです」と敬意と感謝を込められます。
【例文】
「おかげさまで、無事にプロジェクトが完了しました」
「おかげさまで、弊社も創立10周年を迎えることができました」
【場面別例文付き】ビジネスメールにおける「おかげさまで」の正しい使い方

ビジネスメールで「おかげさまで」を使う頻度は高く、幅広いシチュエーションで用いられます。
♦︎挨拶文
冒頭の挨拶とともに使うと相手への感謝が自然に伝わりやすく、丁寧でやわらかい印象を与えます。
「いつも大変お世話になっております。
おかげさまで、先日ご提案させていただいた案件が順調に進んでおります」
♦︎成果報告
成果を報告するシチュエーションで、自社や自分の努力だけでなく“相手の協力があったからこそ”という姿勢を見せたいときにも用います。
「おかげさまで、今期の売上も前年を上回ることができました。
これもひとえに貴社のご支援の賜物と、心より感謝申し上げます」
♦︎個人的な近況報告
ビジネスパーソンとしての信頼関係を深めるうえで個人的な近況報告を伝える場面では、相手が直接的に尽力してくれたかに関わりなく、控えめな感謝の表現として添えることがあります。
「おかげさまで、無事に昇進することができました。
これも日頃からご指導をいただいたおかげです」
「おかげさまで」を使う際の注意点

自然で好印象なビジネス表現として「おかげさまで」を用いるためには、気を付けておきたいポイントもあります。
♦︎自己主張しすぎはNG
「おかげさまで」は、あくまでも謙虚な表現です。そのため成果を誇示する文脈と合わせて使うと違和感を与えがちにも。大きな成功を強調しすぎると、自慢のように受け取られる場合もあります。
たとえば「おかげさまで、業界トップの成績を収めました!」などと用いると、相手との関係性や状況によっては過剰な表現だと受け取られかねません。
♦︎具体的な感謝を添えていないと気持ちが伝わりにくい
「先日はご丁寧な対応をありがとうございました。おかげさまで、○○できました」など、具体的な行動や支援に対するお礼として用いると丁寧なだけでなく自然な文章になる一方で、ただ「おかげさまで○○できました」だけだと、形式的で心がこもっていないように受け取られる可能性もあります。
できるだけ、具体的な感謝の表現を添えるようにしましょう。
♦︎相手との関係が薄い場合のに使いすぎはNG
「おかげさまで」と言われても、相手との関係が薄い場合には違和感が強い印象を与えがちです。
「おかげさまで」は、相手が自分や自社の成果に何らかの関わりがあるときに使うのが基本ですので、相手が直接的に関与していないのがわかっているときに使うと、不自然かつ儀礼的な文章に受け取られる可能性も低くありません。
♦︎過剰に何度も繰り返すのは不自然
便利な表現だからといって1通のメールや会話で何度も使うと、くどく感じられる場合もあります。
文章のバランスを見ながら「お世話になっております」や「ご尽力ありがとうございます」などの他の感謝表現と組み合わせるとよいでしょう。
迷いがち!「おかげさまで」の疑問を解決

「おかげさまで」という表現はよく見かける言い回しである一方で、実際に自分が使うときには小さな疑問にもぶつかりがち。
そこで「おかげさまで」にまつわるよくある疑問を解決しておきましょう!
♦︎「おかげさまで」と「お陰様で」の使い分けは?
ひらがなで「おかげさまで」と書くのも、漢字を用いて「お陰様で」と書くのも意味は同じです。
ひらがなで表記すると、漢字を用いるのと比べてやや柔らかい印象になるので、親しい間柄であればひらがなの表記が好まれます。
一方、上司や取引先などオフィシャルな連絡を入れる間柄では漢字を用いたほうが硬い印象を与えられます。
♦︎「おかげさまで」はネガティブな内容にも使える?
「おかげさまで寝不足です」や「おかげさまで残業になりました」などの文章も、たまに見かける用法です。
しかしこのようにネガティブな内容に「おかげさまで」を加える文は、皮肉や嫌味を言いたいときに限られるので、極めて限定的な使い方。
極めて親しい間柄において冗談に近いニュアンスで使用する分には問題なくても、ビジネスメールでは使うべきではありません。
「おかげさまで」の言い換え表現

「おかげさまで」は、似たニュアンスの別の言葉に言い換えもできます。代表的なものを解説します。
♦︎「お力添えをいただき」
「お力添えをいただき、業務が円滑に進んでおります」など、相手への感謝と自分の謙虚さを表したいときに、柔らかい表現かつ丁寧な言い回しとして言い換えができます。
♦︎「お引き立ていただき」
「平素よりお引き立ていただき、誠にありがとうございます」のように、顧客や取引先に対して長期的な支援への感謝を示す言い換え表現です。
♦︎「ご協力のもと」
「ご協力のもと、本日リリースを迎えることができました」など、チームや取引先との協業への感謝を示したいときに便利な言い換え表現です。
「おかげさまで」は信頼を得るメールの助けになる言葉
「おかげさまで」は、相手への感謝と自身の謙虚さを同時に表現できる日本語ならではの美しい表現でしょう。正しく使えば相手との関係を深め、信頼を得るメールを送る助けにもなります。
ビジネスメールに、ぜひ自然に取り入れてみてください。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。