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「矢継ぎ早」とは? 言葉の語源と意味をチェック!
「矢継ぎ早(やつぎばや)」とは「続けざまに早く行うこと。また、そのさま」を表します(出典:デジタル大辞泉 小学館)。また「矢を続けて射る技の早いこと、そのさま」という意味もあります(同出典)。
現在ビジネスシーンでは「休む間もなく、次々と物事を行う様子」や「間髪入れずに質問や依頼を繰り返す様子」などを意味し、会話での連続した質問や短時間で複数の要望を伝える際によく使われています。
「申し訳ございません」と組み合わせる意味は?
「矢継ぎ早に申し訳ございません」は「矢継ぎ早」に「申し訳ございません」を組み合わせている表現です。
「申し訳ございません」は丁寧な謝罪の言葉ですので、つまり「矢継ぎ早」と合わせることによって「立て続けにお願いごとや質問をしてしまって申し訳ない」という謝意と恐縮の気持ちを表します。
なお「申し訳ございません」の言い換えとして「矢継ぎ早」のあとに「すみません」や「申し訳ありません」を用いる実例も一般的です。送る相手との関係性や状況によって謝罪の言葉の選び方も変わります。
「矢継ぎ早に申し訳ございません」の用法や例文は?

「矢継ぎ早に申し訳ございません」はビジネスメールや口頭でのやり取りにおいて、立て続けに質問・依頼・確認などを行う場面でよく使われます。
具体的な使われ方をシチュエーション別に見ていきましょう。
♦︎ビジネスメールで「追加の依頼」を送るとき
一度送ったメールの後に、追加のお願いや説明を送る際に定番のフレーズとして使われています。
例文
「矢継ぎ早に申し訳ございません。もう一点だけ確認させてください。
先ほどの案内に補足がございますので、ご確認いただけますと幸いです」
♦︎会議や打ち合わせで連続して質問をするとき
短時間に複数の質問を投げかけるときに、自分ばかりが何度も質問を続けていることに恐縮の意を込めて使われています。
例文
「矢継ぎ早に申し訳ございません。
こちらについても詳細をお聞かせ願えますか?」
♦︎電話対応で相手が忙しいと分かっているとき
電話口で何点も確認事項があるときに「せわしなくて申し訳ない」という気持ちを伝える言葉としても用いられています。
例文
「お忙しいところ、矢継ぎ早に申し訳ございません。
あと一点だけ確認させてください」
♦︎ビジネスチャットでメッセージを連投するとき
チャットツールやメッセージツールでメッセージを立て続けに送るときのクッション言葉としても使われています。
例文
「矢継ぎ早に申し訳ございません。
こちらの件も共有させていただきます」
「矢継ぎ早に申し訳ございません」を用いる際の注意点

「矢継ぎ早に申し訳ございません」は丁寧で気遣いのある表現として重宝されている一方で、使い方を誤ると逆効果になる場合もあります。
注意すべきポイントを解説します。
♦︎多用しすぎない
どんなに丁寧な言い回しでも「申し訳ございません」と言う以上は、頻繁に使いすぎると「いつも謝ってばかりの人」という印象を与えかねません。
過剰な謙遜や謝罪は、かえって自信のなさや責任の回避とも取られてしまう可能性もありますし、状況によっては慇懃無礼に受け取られるリスクもあるでしょう。
「たびたびの連絡で恐れ入ります」や「続けての質問で恐縮ですが」などの言い換えフレーズも適宜使っていきましょう。
♦︎本当に“矢継ぎ早”な場面でだけ使う
「矢継ぎ早に申し訳ございません」は「立て続け」に何かを依頼・発言する場面に適しています。
そのため1回しか連絡をしていないのに「矢継ぎ早に申し訳ございません」を用いると、不自然かつ誤った用法に感じさせてしまいます。
♦︎相手を急かしているように思われないよう注意する
「矢継ぎ早」は、言葉としてやや勢いを感じさせる表現でもあります。そのため連絡の内容や言い回しによっては、受け手が「急かされている」「追い詰められている」と感じる場合もあります。
強い言葉をなるべく避けたいシチュエーションであれば「お忙しいところ恐れ入りますが」や「ご都合のよいときで構いませんので」などの柔らかいフレーズも添えるといいでしょう。
♦︎目上の人や初対面の相手には慎重に用いる
「矢継ぎ早」を目上の人や初対面の相手に使っても、誤りではありません。
しかしやや口語的な響きや印象も持つために、特に初対面や年配の相手、取引先の上層部といった敬意を表すべき間柄では慎重に用いるに越したことはないでしょう。
失礼に当たらないとはいえ「重ねてのお願いとなり恐縮ですが」など、より丁寧で堅めの表現に差し替える方が無難な場合もあります。
「矢継ぎ早に申し訳ございません」はバランスを意識して適切な使用を
「矢継ぎ早に申し訳ございません」は、日本語ならではの気遣いが詰まった表現です。一方で、使い方次第では相手への印象は大きく変わるフレーズでもあるでしょう。
丁寧な表現ではありますが、シチュエーションを誤ると滑稽な印象や慇懃無礼な雰囲気を醸す場合もありますので、バランスを意識して用いるほうが洗練されたコミュニケーションが叶います。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。