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「会食」と「飲み会」の違いは?
年末年始は、忘年会や新年会の機会も多くありますよね。「飲み会のお誘い」と「会食のお誘い」だと、なんだかちょっとニュアンスが違う感じがします。まずはふたつの違いを確認してみましょう。
会食は、「何人かの人が集まって一緒に食事をすること」。食事や会話を楽しみながら、人とのつながりを深めることを目的とした集まり。そのため、服装や会話の内容など、マナーを意識することが大切です。
飲み会は、「酒を酌み交わして楽しむ少人数の会合。仲間が集まって酒を飲む会」。仕事やプライベート問わず、お酒や食事を楽しみながら、リラックスして過ごすことを目的とした集まり。服装や会話の内容などは、会食ほどかたく考える必要はありません。
ビジネスがらみのお付き合いは、多くの場合は「会食」。ということは、仕事の一環でもあります。また、プライベートであっても、「会食」となったら、カジュアル過ぎない立ち居振る舞いが求められます。
「会食」で気をつけるマナーは?
食事やお酒を楽しみながら会話をすると、相手と打ち解けやすくなる気がしませんか? 美味しいものを口にすると、自然と笑顔がこぼれたり、言葉にせずともアイコンタクトで気持ちが通じ合ったり。このように、言葉以外の表情や声のトーンや視線、ボディランゲージなどを、「非言語情報」と言います。
非言語情報からは、言葉に表せない感情や気持ち、人柄などが感じ取れます。そのため、相手をより深く理解することにつながるのです。とはいえ、「見られている」と意識しすぎるのも、相手を観察し続けるのも、気詰まりな雰囲気になりますよね。
会食のマナーとして一番大事なことは、「参加者が心地よく過ごせるような態度をとる」ことです。そのためにも、まずは自分から飲食や会話を楽しむ心づもりで。会話の中で、自分とは異なる意見や価値観にふれることもあるかもしれませんが、会食の場では、議論や批判の態度は適切ではありません。相手のことを受け止めつつ、オープンマインドで過ごすことに意識を向けておきましょう。
会食のときに気をつける7つのポイントを、キャリアコーチの菊池啓子さんにお聞きしました。
1:会食の目的を明確に
会食に参加するメンバーとともに、「何のために集まるのか」を確認しておきましょう。人数や属性、集まるテーマによっては、必要な事前準備が違ってきます。
「同年代のビジネスパーソンの交流会」「趣味の仲間たちとの情報交換」「ビジネスを拡大するためのリソースとなる人を紹介してもらう」など、テーマの違いによって、どのような会話になるのかの想定とともに情報収集が必要かもしれません。
また、4~5人で和食のお店と、20人くらいの立食会場では、服装の選択も変わってきます。目的がはっきりしていれば、自分がどのような態度をとればいいのかも見えてきますね。
2:時間厳守のスタートを
忙しい大人たちが時間を作って集合をするのですから、遅刻は厳禁!
特に、ビジネス会食の主催者側なら、開始時間の15~20分前にお店に到着しておくことも大切です。お店のスタッフと本日の内容について、改めてチェックしておきます。食事の内容や所要時間、席における上座の位置や、トイレや喫煙スペースなども、この段階で把握しておきたいポイントです。そして、開始時刻の5~10分前には、お店の入り口や、エントランスホールなどでゲストをお迎えしましょう。
ゲスト側なら、オンタイムで入店を。主催者側は、いろいろと準備をしているかもしれません。早い到着がマナー違反になることもあり得ます。
3:服装
服装も、非言語情報のひとつ。TPOを考え、戦略をもって服選びをします。どのような会食であっても、清潔であることは基本です。そして、香りの装いは控えめに。香水や柔軟剤の強い香りは、好みに左右されるため、相手に不快感を与える可能性があります。また、食事との兼ね合いで歓迎されないことも。
ビジネス会食の場合は、オフィスでの装いをベースに、多少フォーマルな印象を与えるものを選ぶことで、会食への意気込みを表現します。そして女性は、スカートでの参加の場合、お店の状態を確認することがベター。椅子やソファーの形状では、短い丈やタイトスカートだと落ち着かない場合もあります。和室などの場合は、フレアスカートだと楽に過ごせますね。
4:飲み過ぎない
楽しいからといって、アルコールがすすみすぎるようなことがないように。会食の目的はあくまでも、参加者との交流です。酔いがまわることで、冷静な判断ができなくなり、後々のトラブルにつながることも。
会食では、お冷とお茶をこまめにとりましょう。主催者側の時には、ゲストにもさりげなくお冷やお茶をおすすめしましょう。
5:お店のスタッフにも丁寧な態度を
ビジネス会食でもプライベート会食でも、ふとした立ち居振る舞いが見られています。その中でも、多くの人は「お店のスタッフに対する態度」をチェックしています。たまに、会食のお店のスタッフに横柄な態度をとる人がいますが、これは重大なマナー違反。同席をしている人たちも不快な思いをしますし、「人によって・立場によって態度を変える人だ」という印象を残すことになります。
特に、ビジネス会食の場合は、お店のスタッフは会食の進行をサポートしてくれる大事な戦力。会食を成功させるためにも、お店のスタッフには丁寧に協力的に接しましょう。
6:食後のお礼は忘れずに
ご馳走になったとしたら、もちろんのこと。お礼は必須です。そして、主催者側でもゲスト側でも、「一緒に時間をすごせたこと」「いろいろなお話をしていただけたこと」など、参加者のみなさんに、具体的な感謝を伝えていきましょう。
お礼を伝えることで、お互いに「楽しかった時間の振り返り」となり、次の機会につながっていきます。
7:会食時のタブーは?
会食は、「食事をともにすることで関係性を深めていく」ことが目的。テーブルマナー的な配慮も必要ですが、昨今ではスマートフォンの扱いがポイントです。お相手やお店の都合もありますので、許可のない写真撮影やSNSへのアップなどは慎みましょう。
スマートフォンでの料理の撮影や通話・メールなどの対応は、その場にいる人を蔑ろにする行為。会食中はスマートフォンに触らないくらいでちょうどいいかもしれません。そして、ビジネス会食・プライベート会食問わず、自社や取引先の機密情報は吐露しないように。話して良いことと悪いことの区別をつけるのが、大人の嗜みです。
おわりに
会食のマナーを守ることで、相手への敬意や好印象を与えることができます。その場を楽しみながら、良い関係性を構築していきましょう。
TOP画像/(c) Adobe Stock
キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん
2003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。
Twitter:@lotus_kikuhime
ライター所属:京都メディアライン