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「夜分にすみません」とは、どんな意味?
「夜分(やぶん)」とは「夜の時間帯」を意味するやや古風な言い回し。つまり「夜分にすみません」は「夜の遅い時間に、連絡してしまい申し訳ありません」という気遣いを表す言葉です。
一般的にはメールやLINE、電話で用いられ、時間帯の目安としては21時以降やもっと遅い深夜に連絡をする場面で使われています。
知らないと危ない…「夜分にすみません」のマナー上の注意点

「夜分にすみません」は使いやすいフレーズではありますが、マナーを考えるうえでは注意点もあります。
アラサー世代がうっかりしやすいNGポイントを解説します。
♦︎「すみません」は軽すぎる表現にあたるケースがある
そもそも「すみません」は、目上の相手やフォーマルな間柄においては使用を控えたほうが無難なフレーズ。そのため自分が目下の立場であれば、ビジネス上の相手には「申し訳ありません」「恐れ入ります」などが適切です。
つまり「すみません」を用いるべきではない相手には、そもそも「夜分にすみません」というフレーズそのものが軽すぎる表現にあたります。
♦︎「すみません」と言ったから許されるとは限らない
「夜分にすみません」と添えれば、どんな時間帯の連絡も許される免罪符にはなりません。
深夜の電話や急なLINEは、相手のライフスタイルや立場によっては「非常識」と感じられる可能性も高く、これまでの信頼関係を破壊するきっかけにもなりかねません。
♦︎急ぎの用事ではないなら、そもそも連絡を控えるべき
「夜分にすみません」と添えたとしても、伝える内容に緊急性が感じられない場合には、連絡を受けた相手が拍子抜けするとともに不快に感じる可能性もあります。
メールであれば許容される可能性も低くないものの、LINEや電話だと通知によって相手の睡眠を妨げる場合もあるでしょう。
急ぎの用事ではないならば、夜間ではなく翌日に持ち越すのも必要な気遣いです。
「夜分にすみません」の丁寧な言い換え方

「夜分にすみません」は丁寧ではありますが、カジュアルな言い回しとも受け取られがち。相手との関係性では、より丁寧な言い方に言い換えたほうが適切な場合も少なくありません。
目上の相手や取引先など、失礼があってはいけない相手に「夜間の連絡」をお詫びするフレーズをチェックしていきましょう。
♦︎「夜分遅くに失礼いたします」
「夜分遅くに失礼いたします」は「夜遅い時間に連絡をしてしまい、申し訳ありません」という深いお詫びと礼儀を込めた敬語表現で、相手が目上の場合や取引先、あまり親しくない人でも使いやすいフレーズでしょう。
本来ならば夜遅い時間帯に連絡をするような間柄ではなくても、どうしても連絡を入れなくてはならないシーンで用いるのに適しています。
♦︎「遅い時間に申し訳ございません」
「夜分」といった硬い表現は避けつつ、シンプルに「この時間帯に連絡をすることになって申し訳ない」という気持ちを伝える表現です。
ややカジュアルな表現でも許容される社内メールや、同僚とのチャットでも用いやすいでしょう。
♦︎「ご迷惑かと存じますが、急ぎのため連絡を差し上げました」
緊急対応が必要なビジネス連絡で「この時間に連絡をすることは迷惑だと分かっているが、それでも急ぎなので連絡をさせていただいた」という相手の立場を思いやったうえでこちらの心情を説明できる丁寧な文章です。
今日中の対応が必要だったりすぐに何らかの判断をあおぐ必要があったりする場面で、上司や取引先に対して使えるフレーズです。
業務時間外の連絡で「夜分にすみません」に加えるべきポイント

「夜分にすみません」は、業務時間外の連絡に用いるフレーズです。この言葉を用いる場面で、マナーの視点からさらに加えるべきポイントを解説します。
♦︎なぜ今連絡するのかを簡潔に説明する
業務時間外の連絡は、本来なら避けるべきタイミング。だからこそ、やむを得ず連絡した事情や理由を添えるのは不可欠です。
事情を説明する際にはダラダラと伝えずに、相手がすぐに理解できるよう簡潔に記しましょう。
♦︎緊急性に応じて返信・対応のリミットを添える
こちらから急ぎで報告を入れる必要があったとしても、連絡を受けた相手からの返信や対応は翌朝でも間に合う内容ならば「ご対応は、明日の朝で構いません」などと添えるべきでしょう。
緊急性に応じて、相手が返信や対応をすべきリミットを伝えておくと親切です。
♦︎連絡するツールを適切に選ぶ
業務時間外の連絡では、相手にとって負担が少ないと思われるツールを選んで連絡をしましょう。
電話やLINEの通話機能は相手がすぐに反応しなければならない印象を与えるため緊急時に限定される一方で、メールやチャットツールであれば比較的緩やかな印象を与えられます。
相手に状況を知らせたいだけなのか、すぐに何らかのアクションをしてもらわなくてはならないのか… などの状況を適切に見極めて、連絡に使うツールを選びましょう。
「夜分にすみません」を用いても無配慮に受け取られるリスクがある
「夜分にすみません」は遅い時間に相手を思いやる丁寧な言葉ではあるものの、遅い時間に連絡をする行為そのものの印象から「配慮をしているつもり」が「無配慮」に受け取られかねない危うさも潜みます。
特にビジネス上の関係では、常に相手の時間や状況に配慮した連絡を心がける必要があり、どうしても連絡をしなくてはいけないシチュエーションであっても言葉選びと時間のマナーが問われます。
「夜分にすみません」のフレーズに限らず、相手の時間を尊重する姿勢が何よりのマナーと心得ておきましょう。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。