【目次】
・「恐縮ですが」の意味とは?「恐れ入りますが」との違いも
・「恐縮ですが」の使い方を例文でチェック
・「恐縮ですが」の類語や言い換えにはどのようなものがある?
・「恐縮ですが」を使う時に注意したいこと
・「恐縮ですが」の英語表現もチェック
・最後に
「恐縮ですが」の意味とは?「恐れ入りますが」との違いも
自分が話している言葉と、自分の態度とはできるだけ一致させた方が良いと思いませんか? 例えば、口では「ごめんなさい」と謝っていても、その表情や態度が仏頂面で横柄だったとしたら、心から謝っているとは受けとってはもらえませんよね。
この記事で取り上げる「恐縮ですが」も、意味をしっかり理解した上で、使用する場面や相手を選ばないと「ちっとも恐縮していないじゃないか!」と思われて、あなたの真意や気持ちが伝わらないことにもなりかねません。
「恐縮ですが」の意味や使い方、丁寧な例文、言い換え可能な類語など、まとめて解説しますのでしっかり修得してビジネス場面でご活用ください。

日常生活の中で、誰かが「恐縮ですが」と言っている場面には、しばしば出会うのではないでしょうか? ドラマや映画のセリフ、ビジネスシーンでもよく使われる言葉ですよね。一般的に「恐縮ですが」は、「申し訳ありませんが」「すみませんが」などといった意味を持ち、会話の緩衝材的な言葉として使われます。
特に、ビジネスシーンにおいては「恐縮ですが」の後には、何か物事を依頼する場合や、先方からの依頼やお誘いに対して辞退する時などに多く使用します。こうした場合に「恐縮ですが」を使うことで、相手への気遣いや丁寧さが伝えることができるでしょう。
同じようなビジネスシーンで使われるのが、「恐れ入りますが」というフレーズです。意外にも「恐縮ですが」と「恐れ入りますが」との違いを、しっかり理解していない方も多いように思います。
「恐れ入りますが」は、目上の人や、取引先、お客様に対して「敬意を払う」気持ちを表したり、「申し訳ない」と思ったときに使用する言葉です。「恐縮ですが」も「申し訳ありません」とお詫びする時に使用しますが、もう一つの場面として、相手に感謝するときにも「恐縮です」と使うことができます。
◆「恐縮ですが」の読み方と意味
ここで、改めて「恐縮ですが」の読み方と意味を押さえておきましょう。読み方は「(きょう・しゅく)ですが」と読みます。
恐縮(きょう・しゅく)の意味ですが…
・恐れて身がちぢむこと。恐怖で身がすくむこと。
・相手に迷惑をかけたり、相手の厚意を受けたりして申し訳なく思うこと。おそれいること。また、そのさま。
ビジネス等では、取引先への依頼ごとをする時に、文章や話し言葉の冒頭にクッション的な言葉として使うのが慣例になっています。しかし、「恐縮」は、「恐れ」て「縮まる」という漢字本来の意味からすれば、「申し訳なくて、身が縮まる思いです」という気持ちや、態度で「恐縮ですが」を使用した方が良いのかもしれませんね。
◆「恐縮ですが」と「恐れ入りますが」はほぼ同じ意味
もう少し「恐縮ですが」と「恐れ入りますが」の利用上の違いを述べておきましょう。共に、意味としてはほぼ同じですし、同じような場面で使用するのですが、微妙な違いがあります。その微妙な違いを、解り易く説明するために具体的な例を一つあげておきましょう。
映画、ドラマの時代劇を観ておりますと、侍同士の会話に「恐れ入るが」というセリフはよく出てきます。しかし、おそらく時代劇で「恐縮ですが」というセリフを聞くことはないと思います。
この例からも「恐れ入りますが」は、少々古い感じを与える表現ですし、「改まった表現」つまりフォーマルな感じもいたします。従って、「恐縮ですが」の方が、意味の範囲も広く汎用性が高く、みなさんにとって使い易いと思われます。
「恐縮ですが」の使い方を例文でチェック

ここでは、「恐縮ですが」の使い方、具体的な例文をご紹介します。多くの場合、ビジネスシーンで使うことになると思いますので、しっかりとマスターしておきましょう。
1:「お忙しいところ恐縮ですが、明日9時に当社へお越しくださいますでしょうか?」
「お忙しいところ恐縮ですが、」は、ビジネスシーンでは慣例的なフレーズとして使われます。この文例では、お客様や取引先などに、気遣いをしながら面談の日時調整をする際に活用できる表現です。
2:「山田様には、大変ご迷惑をおかけし恐縮ですが、何とかご支援ご協力をお願いいたします」
「ご迷惑をおかけし恐縮ですが」も、目上の方や上司の方などへ、何か依頼する時などに頻繁に利用するフレーズです。日常の仕事でも使用する場面が多いと思います。実際に使い、修得してください。
3:「私事で恐縮ですが、今週の土曜日は父の3回忌の法要がございまして出勤ができません」
「次回の定例ミーティングの日程が、弊職の夏季休暇となっております。つきましては、私事で恐縮ではございますが日程の変更をお願いします」
社内の事情や状況によって、急な休日出勤や出張が入る場合があります。また、取引先との面談や打ち合わせなどのスケジュールの変更をしなければならない事も起こるでしょう。
そうした場合に、「私事で恐縮ですが」は、丁寧に理由を説明しながら、相手の心象を悪くすることなく、スムーズな調整を図ることのできる便利なフレーズです。上手く活用してください。
「恐縮ですが」の類語や言い換えにはどのようなものがある?
シチュエーションによっては、「恐縮ですが」が適さなかったり、あなたの年齢や立場などによって使いづらい場合もあるでしょう。そんな時のために、類語や言い換えも覚えておきますと便利ですよ。
1:僭越ながら
最初にご紹介しますのが「僭越(せんえつ)ながら」です。「僭越ながら」は、式典やレセプションなど公式の場で使われることの多い儀礼的な言葉です。
「僭越ながら」の具体的な利用例をご紹介いたします。
・ご指名により、僭越ながら司会進行を務めをさせていただきます、○○です。
「恐縮ですが」と同じように、謙遜の意を込めながら「差し出がましくも」「申し訳ございませんが」などのニュアンスを表現することができます。
2:あいにくですが
「あいにくですが」は、普段から都合が悪い時などによく使用する言葉ですよね。「恐縮ですが」よりも、軽い意味合いで使用できる類語です。丁寧な敬語にあたるので、目上の人へも使える言葉です。使用場面としては、「都合が悪く、相手の期待に応じられない状況」に使用できます。
「あいにくですが」の具体的な利用例をご紹介いたします。
・あいにくですが、その日は別のスケジュールが入っておりますので出席できません。
・あいにくですが、本日○○は出張しております。明日お電話を差し上げるよう申し伝えます。
3:失礼ですが
「失礼ですが」は、フランクに使える「恐縮ですが」の類語表現です。意味としては「申し訳ございませんが」といった意味合いで、要件を切り出す前に一言添える形で使用するのが一般的です。上司など目上の人との会話でも使える便利な敬語です。
「失礼ですが」の具体的な利用例をご紹介いたします。
・失礼ですが、お名前をお聞かせいただきますでしょうか?
・失礼ですが、お名刺をいただけますでしょうか?
・失礼ですが、書面をもってお礼のご挨拶にかえさせていただきます。
「恐縮ですが」を使う時に注意したいこと

便利なので、慣用句のように使ってしまいがちな「恐縮ですが」ですが、使う際に注意しなければならない点がありますので説明しておきます。
1:「恐縮に存じます」は二重表現になる
一見何も問題が無いように思うかもしれませんが、「恐縮に存じます」は二重表現になってしまうので誤った使い方になります。
例えば、「恐縮」の使い方の例として「恐縮です」と言う場合があります。この時の「恐縮」は、「ありがたく思う」という意味ですので、「思う」という意味合いがすでに含まれていることになります。そのため、「思います」の謙譲語「存じます」と一緒に使うと意味が重複していることになるため誤りとなります。注意してください。
2:相手のする事に対して「恐縮」は使えない
そもそも「恐縮」するのは誰かというと「自分自身」です。他人に対して「恐縮しなさい」と言うのはおかしな事ですよね。ですから、「恐縮かとお思いかもしれませんが」などといったセンテンスは誤りですので、くれぐれも書いたり、話したりしないように注意しましょう。
3:重大な過失に「恐縮です」は使用できない
お詫びをしなければならない場面で「恐縮です」は、間違った表現になります。これも一見問題なさそうに思うかもしれませんが、「恐縮です」と言うと「反省はしているが、謝っていない」と言うことになってしまいます。
従って、謝罪する時にはきちんと「大変申し訳ございません」「お詫びの言葉もございません」「心からお詫び申し上げます」などの表現を使いましょう。
「恐縮ですが」の英語表現もチェック

英語を使う機会も増えてきておりますので、「恐縮ですが」の英語表現もチェックしておきましょう。「恐縮ですが」にあたる英語のフレーズを幾つかご紹介します。
・I am sorry to trouble you, but~(お手数おかけしますが、~)
・I will trouble you~(お手数おかけして恐縮ですが~)
・if you don’t mind(あなたが気にならないのならば~)
ビジネスにおける英語表現としてよく使用されるので、ぜひ覚えてご活用ください。
最後に
いかがでしたか?「恐縮ですが」について理解できたでしょうか? 少なくとも、誰かに「ちっとも恐縮してないじゃないか!」と思われないようにはなっていただけたのではないでしょうか。
言葉の意味を正しくしっかり理解すれば、自ずとその場に合った言葉を選び使うことができるようになると思います。ビジネスマンとして「恐縮ですが」を上手に使ってください。
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