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2026.04.30

「あしからず」の使い方とは? 目上の人への配慮やスマートな言い換えも紹介

「あしからず」には、「気を悪くしないでください」「悪く思わないでください」という意味があります。本記事では、「あしからず」の意味や成り立ち、使い方のコツ、言い換え表現、返し方、英語表現、よくある疑問と回答を紹介します。

この記事のサマリー

・「あしからず」とは、「悪く思わないで」「気を悪くしないで」という、相手への配慮を込めた断りの言葉です。
・「あしからずご了承ください」のように、後に続く言葉とセットで使うのがマナーです。
・敬語ですが、「上から目線」だと受け止められるリスクがあるため、目上の人や謝罪の場では避けた方がスマートです。

ビジネスメールや案内文で見かける「あしからず」という言葉。「悪く思わないでください」という気遣いのニュアンスを含みますが、一方で「なんだか冷たく突き放されたような気がする…」と感じたことはありませんか?

実は「あしからず」は、使い方や相手との関係性によって、丁寧な配慮にもなれば、不躾な印象にもなり得る、取り扱いに注意が必要な言葉なのです。

この記事では、「あしからず」の正確な意味や語源はもちろん、角を立てないスマートな言い回し、注意点を詳しく紹介します。

「あしからず」の意味と成り立ち

「あしからず」という言葉が、なぜ「悪く思わないで」というニュアンスになるのか、辞書の定義とあわせて確認しましょう。

「あしからず」の意味と語源

『デジタル大辞泉』では、「あしからず」を次のように説明しています。

あしから‐ず【▽悪しからず】
[連語]相手の希望や意向に添えない場合などに用いる語。悪く思わないで。気を悪くしないで。「どうか―御了承ください」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「あしからず」には、「気を悪くしないでください」「悪く思わないでください」という意味があります。

「あしからず」を使う場面

「あしからず」は、相手の希望に添えない事情がある場合に、気遣いを込めて用います。

例えば、以下のような案内文に登場しますよ。

「定員に達したため、締め切りといたします。あしからずご了承ください」
「悪天候により、イベントは中止といたします。あしからずご容赦ください」

いずれも「お応えできず申し訳ありませんが、お気を悪くされませんように」という配慮を、文末で添える形です。

参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』(ともに小学館)

在宅勤務する女性
(c)Shutterstock.com

「あしからず」の使い方と注意点

「あしからず」は「すまない」という気持ちを表していますが、使い方次第では突き放したような冷たい印象を与えることもあります。

例文をもとに、配慮が伝わる使い方を整理していきましょう。

印象は「語尾」で決まる

「あしからず」を文末で言い切る形で使うと、非常にそっけなく、一方的な印象を与えかねません。

×:「今回は参加を見合わせます。あしからず」
◯:「今回は参加を見合わせます。あしからずご容赦ください」

このように、「ご了承ください」や「ご容赦ください」と組み合わせることで、角が取れて柔らかな表現になります。

目上の人への使用は控えるのがスマート

「あしからず」には「私の決定を悪く思わないで」という、意味を含みます。このことは、目上の人から「上から目線」や「不遜」と受け取られてしまうリスクがあるともいえるでしょう。

×:「日程が合わず、今回は見送らせていただきます。あしからず」
〇:「大変残念ではございますが、ご了承賜りますようお願い申し上げます」

取引先や上司に対しては、相手の理解を請う(お願いする)謙虚な表現を選ぶのが適切です。

「皮肉」や「突き放し」に聞こえるケース

『日本国語大辞典』(小学館)では、「あしからず」が皮肉を含む場合があることが指摘されています。

特に、自分に非がないことを強調しすぎると、「こちらの判断は一切変えません」という突き放した印象を与えかねません。

例えば、次のような文です。

例:「この不備については弊社では対応いたしかねます。あしからず、ご了承ください」

丁寧な言葉遣いであっても、「責任を負わない」「一方的な通告」といった受け取り方をされるおそれがあります。

謝罪の場面では絶対に使わない

最も注意すべきなのは、「あしからず」は謝罪の言葉ではないという点です。自分に非がある場面で使うと、火に油を注ぐ結果になりかねません。

×:「こちらの不手際でご迷惑をおかけしました。あしからずご了承ください」
(=ミスしたけど、悪く思わないでね、という身勝手な響きになります)
◯:「このたびは多大なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません」
◯:「深くお詫び申し上げますとともに、再発防止に努めてまいります」

心からのお詫びが必要なシーンでは、率直な謝罪表現を用いるのが鉄則です。

参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』(ともに小学館)

胸の前で人差し指でバツをする女性
(c)Shutterstock.com

「あしからず」の類語や言い換え表現、返し方もチェック

「あしからず」は、場面によっては他の言い回しの方が適していることもあります。ここでは、似た表現との違い、使いやすい言い換え、そして相手から言われた際の返答例を紹介します。

似ているようで違う言葉に注意

「あしからず」と混同されやすい表現もありますが、それぞれ意味や目的が異なります。適切に使い分けましょう。

「ご容赦ください」

落ち度や不便をかけたことへの許しを求める表現です。

例文:「資料の到着が遅れておりますこと、何卒ご容赦ください」

「ご承知おきください」

事実の伝達や、あらかじめ理解しておいてほしいことを伝える場合に使います。

例文:「会場が変更となりましたので、ご承知おきください」

「ご了承願います」

判断や事情を納得のうえ受け入れてほしいときの表現です。

例文:「終了時間が前後する可能性がございます。あらかじめご了承願います」

「あしからず」の言い換え表現

「あしからず」では少し角が立つ、あるいは硬すぎると感じる場合は、以下の表現がおすすめです。

「恐れ入りますが」

依頼や、質問の前置きとして使える、万能なクッション表現です。ありがたいと思う気持ちや、申し訳なく思う気持ちを表します。

例文:「恐れ入りますが、今回の件は見送らせていただきます」

「何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます」

ビジネスシーンで安心して使える表現です。

例文:「諸般の事情により、変更となりました。何卒ご理解いただきますようお願いいたします」

「お含みおきください」

控えめに理解を促したいときに便利です。

例文:「当日は混雑が予想されますことを、お含みおきください。」

「あしからず」と言われたときの返し方

相手から「あしからず」と言われたときは、その意図(気を悪くしないでという配慮)を汲んだ、返答が求められます。

「承知いたしました」

シンプルな返し方で、受け止めたことを表します。

例文
相手:「今回は見送らせていただきます。あしからず」
自分:「承知いたしました、またの機会によろしくお願いいたします」

「お気遣いいただき、ありがとうございます。承知いたしました」

配慮への感謝を添えることで、印象がやわらかくなります。

例文
相手:「楽しみにしていたので誠に残念ですが、当日会場へはうかがえません。あしからずご了承ください」
自分:「お気遣いいただき、ありがとうございます。承知いたしました」

メモする女性
(c)Adobe Stock

「承知いたしました。どうぞお気になさらないでください」

「あしからず」という言葉の裏にある「本当は応えたいけれど、できなくて心苦しい」という相手の気持ちに寄り添うことができます。

例文
相手:「社内で検討したのですが、今回の企画は見送らせてください。あしからずご容赦くださいませ」
自分:「承知いたしました。どうぞお気になさらないでください」

参考:『デジタル大辞泉』(小学館)

英語ではどう書く?

「あしからず」を英語で表現するなら“I’m sorry, but〜”が使えますよ。

以下に、例文を紹介します。

(例文)I’m sorry, but we cannot accept returns after the deadline. Please understand.
(申し訳ありませんが、期限を過ぎた返品はお受けできません。あしからずご了承ください。)

参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「あしからず」に関するFAQ

ここでは、「あしからず」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。

Q1. 「あしからず」を単独で文末に使っても大丈夫?

A. 突き放したような印象を与えるため、おすすめしません。「あしからずご了承ください」などと結ぶことで、初めて丁寧な配慮として伝わります。

Q2. メールで「あしからず」と言われたら、どう返信すべき?

A. 相手の配慮を受け止める言葉を添えましょう。「承知いたしました」だけでも間違いではありませんが、「お気遣いありがとうございます。どうぞお気になさらないでください」と返すと、相手の心苦しさを和らげることができます。

最後に

「あしからず」は、断りというデリケートな場面で、角を立てずにこちらの事情を伝えるための言葉です。ただし、意味や使いどころを誤ると、冷たく受け取られることもあります。

相手との関係性に合わせて言葉を選ぶことが、心地いいマナーに繋がりますね。

TOP・アイキャッチ画像/(c)Shutterstock.com

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