顛末の意味は?
顛末は、「てんまつ」と読みます。始めから終わりまでのいきさつや、全部の事情という意味です。ビジネスシーンで使われることが多い言葉で、顛末書という書類もあります。
「結末(けつまつ)」と間違えて使われることもあるため、使う際は注意しましょう。
ここでは、顛末の意味や結末との違い、顛末書・始末書の意味などを解説します。
ビジネスシーンで使うことが多い
顛末とは、物事の初めから終わりまでの事情という意味です。「顛」は、いただき(頂)を指し、「末」は終わりを意味しています。
ビジネスシーンで、ある物事が始まってから終わりまでのいきさつについて説明する際に使われることも少なくありません。主に、自分が関わった仕事で何らかの問題やトラブルが起きたとき、上司などに説明するときに使います。会話よりは、文書で使われることが多いでしょう。
「結末」との違い
顛末は、「結末」とは異なります。結末とは、物事や文章の終わり・最終的な結果という意味で、最初から終わりまでのいきさつを表す顛末とは違う意味です。
例えば、「今回の顛末はあまり良くなかったようだ」など、結末という意味で使うのは誤りです。どちらも「末」を使い、見た目が似ているため、混同しないよう注意してください。
顛末書と始末書はどう違う?
ビジネスでは顛末書という書類があります。顛末書とは、仕事上のトラブルやミスが発生した場合、問題の原因や経緯、状況などを一連の情報をまとめ、報告するために作成する書類です。
これに対し、始末書という書類もあります。始末書とは、不祥事や問題が起きたときに、それを起こした社員が事実の一部始終を書いて提出する書類です。謝罪や反省の言葉を含みます。
どちらも仕事上のトラブルが発生した際に作成する文書ですが、目的が異なります。顛末書は再発防止や物事の改善が目的です。問題の原因や経緯を明らかにし、次に同じことが起きないよう、事態がすべて収束したあとに作成・提出します。
一方、始末書は社員に過失があるときに作成するもので、謝罪と反省の意味合いが強い文書です。経緯の報告と今後の対策についてまとめ、なるべく早く提出することが求められます。
顛末の例文
顛末の例文をご紹介しますので、意味を理解するための参考にしてください。
・今回の騒動の顛末について、説明してください。
・クレームの顛末書の提出を求められ、今日中に提出しなければならない。
・Twitterで起こった炎上騒ぎについて、顛末をまとめた。
・顛末の詳細を会議で説明するよう、上司に指示された。
・A社とのやり取りで発生したトラブルについて、顛末を報告するように命じられた
・顛末書を書くために遅くまで残業した。
顛末の類語
顛末にはよく似た言葉があります。「経緯」「いきさつ」「一部始終」などがあげられます。このほか、「道程」「道のり」「プロセス」なども類語といえるでしょう。
似た言葉は多いため、一緒に覚えておけば顛末の意味がよりよく理解でき、会話などで語彙を増やすこともできます。
ここでは、顛末の類語を例文とともにご紹介します。
経緯
経緯は「けいい」と読みます。「いきさつ」と読むこともあります。物事に何が起きて、どのような事情を経て結果に至ったのか一連の出来事を指す言葉です。その物事が現状に至った理由や原因なども含みます。
顛末は最初から最後までの終わった事柄について使いますが、経緯はその時点で現在起こっていること、その前に起きた出来事の経過を指す点に違いがあります。
経緯の例文をみてみましょう。
・彼はこれまでの経緯を説明してくれた。
・まだはっきりした経緯がわからないため、静観している
一部始終
一部始終は「いちぶしじゅう」と読みます。物事の最初から最後までの詳しい事情という意味です。もともとは、一冊の書物の最初から最後までという意味がありました。「部」は書物を数える単位であり、一部始終の「一部」は本一冊というのが言葉の由来です。
一部始終の例文は、以下のとおりです。
・その事件の一部始終を聞かせてください。
・彼はこれまでの一部始終を語り始めた。
顛末を使うときの注意点
顛末を使うときは、以下のような注意点があります。
・途中経過の報告には使わない
・良いことの報告には向いていない
顛末は終わったことを報告するという意味があるため、途中経過を報告するときには使いません。また、基本的にネガティブな表現のため、良いことを報告するときに使うのは避けましょう。
顛末を使うときの注意点を解説します。
途中経過の報告では使わない
顛末は、物事の始まりから終わりまでを、終わったあとに説明するときに使います。途中経過の報告には使わないようにしましょう。
そのため、以下のような使い方はNGです。
・今回起きているトラブルについて、現時点での顛末を説明します。
まだ終わってないことの現時点という意味では、「経過」や「経緯」といった言葉を使いましょう。
良いことの報告には向いていない
顛末は主にビジネスなどで、既に起こったネガティブなことを説明するときに使います。そのため、良いことを報告するときには向いていません。
以下のような使い方はしないようにしましょう。
・ようやくA社との契約をとれたので、課長に顛末について報告しようと思う
このような場合は、経緯、いきさつなどに置き換えた方がよいでしょう。
顛末の意味を理解して正しく使おう
顛末は主にビジネスシーンで使われる言葉で、物事の始まりから終わりまでという意味です。すべてのことが終わったあとに報告するときに使い、顛末書という文書を提出することもあります。始末書とは異なるため、違いについて把握しておきましょう。
使うシーンも限られています。間違えないよう、正しく理解しておいてください。
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