【目次】
・【顛末書】そもそも、何を書くの?
・【顛末書】始末書とは何が違うの?
・【顛末書】手書きで書いた方がいい?
・【顛末書】どんなタイミングで提出すべき?
・【顛末書】の書き方
・【顛末書】の例文とよく使う言葉
【顛末書】そもそも、何を書くの?
顛末書と書いて「てんまつしょ」と読みます。この顛末というのは「事の最初から最後までの事情」という意味。つまり顛末書というのは、起きた事柄の最初から最後までの事情を説明したものとなります。
「顛末書は、仕事に関することで起きたトラブルやミスについて、なぜそれが起きてしまったのか原因や対応を分析し、それが二度と起きないよう防止策を講じるために作る文書です。
仕事の上で重大なミスを繰り返したら大問題になりますよね。顛末書は、原因と今後の再発防止策を報告するものだと考えてください」(北條さん)
【顛末書】始末書とは何が違うの?
始末書というのは聞いたことがある人も多いかもしれません。始末書もトラブルを起こしてしまった時に書くものですが、顛末書とは何が違うのでしょう。
「始末書も、トラブルが起きた経緯や再発防止について書く文章ですが、どちらかというと申し訳ありませんでした、という個人的な反省の意味合いが大きいものです。顛末書は何が起こったのか、もう起こさないためにどういう対策をとったかを報告するものなので、微妙に意味合いが違ってきます」(北條さん)
ただ始末書と顛末書の線引きは、会社によっても違いがあることも。顛末書にプラスして始末書を提出するところもあれば、遅刻の反省文として顛末書を提出するところもあるようです。
基本的には自分の会社のルールに従い、作成しましょう。
【顛末書】手書きで書いた方がいい?
誠意を表すためにお詫びに関する文書は手書きにする、という暗黙のルールがある企業もありますが、顛末書はトラブルの詳細や原因、再発防止策が書かれた大切な文書です。
長期間保管されるということも考慮に入れ、PCを使ってA4サイズで作成した方が良いでしょう。
【顛末書】どんなタイミングで提出すべき?
顛末という言葉通り、「事の最初から最後までの事情」を記す必要があるので、最終的にはその問題がなぜ起きて、再発を防ぐためには今後どういう策を講じたか、までがはっきりしてから書くのが原則です。
提出先は所属先の長、トラブルの内容によっては社長に提出する場合もあります。書式、内容、宛先については、会社のフォーマットが決まっている場合もあるので、自分一人で判断せずに、上司の指示を仰ぎ作成しましょう。
【顛末書】の書き方
トラブルの原因や対策を簡潔に、もれなく書くというのはなかなか難しいことですよね。特に会社に迷惑をかけてしまったときの文書ともなれば、どこまで書けばいいのか判断に困ることも。
5W1Hを意識して書く
「正式に提出する前には上司に内容を確認してもらうと思いますが、その前に自分でできるだけきちんと完成させておいた方がいいですよね。経緯についてどう書いたらいいか迷ったら、5W1Hを意識して書いてみてください」(北條さん)
when=トラブルが起きた日時
where=トラブルが起きた場所
who=トラブルにかかわった人や人数
what=どんなトラブルが起きたのか
why=なぜそのトラブルが起きたのか
how=どのようにしてトラブルが発生したのか
を書き、これに今後どうしたらトラブルの再発を防げるかをプラスしましょう。
【顛末書】の例文とよく使う言葉
「必要なのは…
1.日付
2.宛名
3.自分の名前と所属
4.顛末書というタイトル
5.トラブルが起きた原因と詳細な経緯
6.どのように対応したかと今後の再発防止策
です。
5や6に事実と自分の意見を混同して書かないよう注意しましょう」(北條さん)
商品を発注する数を間違えてしまった…という想定で作った顛末書の文例
平成〇年〇月〇日
〇〇〇〇様
〇〇部〇〇課
山田ナデシカ
顛末書
平成〇年〇月〇日に発生した商品の誤発注につきまして、その原因と対応、今後の対策の詳細を下記の通りご報告いたします。
記
1.発生の経緯
・平成〇年〇月〇日〇時〇分、社員〇〇〇〇が▲▲社に「〇〇」を発注伝票の入力フォームより発注。
・ 平成〇年〇月〇日〇時〇分、▲▲社より、発注した商品が納品される。この時点で、発注個数に誤りがあり、5箱入荷するところを10箱発注していたことが判明した。
2.事後の経緯
・誤発注した商品は消費期限に余裕があるため、倉庫で保管し、次回の発注は在庫を確認してから行うよう関係者に通達済。
3.本件における損害
誤発注した商品はそのまま販売が可能な為、金銭的な損害は発生していない。ただし過剰に仕入れた商品を倉庫で保管している為、他商品の搬入や倉庫内での作業に若干の影響を及ぼしていると考えられる。
4.本件が発生した原因
今回の誤発注は、入力時におけるキー入力ミスおよび、内容の再確認を怠ったことが原因と考えられる。また誤差が少なかったため、▲▲社でも誤発注に気付かなかったのも災いした。
通常、▲▲社への発注の操作は責任者が行っており、このときは責任者が他の業務に当たっており、〇〇〇〇が発注を行った。
5.今後の対策
・どのような状況であっても、業務は担当者が責任を持って行うことを徹底するよう通達。
・商品の仕入れについては、別社員による商品名、数量など、発注確定前の再確認を徹底するよう通達。
・今後、担当者以外が業務を行う場合は、必ず担当者に準ずる者が付き添い、確認しながら行うよう指示。
以上
トラブルについての報告書である顛末書は、自分はミスをしていなくても、チーム内で問題が起きた時に代表して書くというケースもあります。
万が一の時はきちんとした文書が書けるよう、どんなものかは理解しておきましょう。
初出:しごとなでしこ
北條久美子
ほうじょう・くみこ
キャリアカウンセラー・研修講師として全国の企業や大学などで年間 約2,500人へビジネスマナーやキャリアの研修・セミナーを行う。現在はライフスタイリストとしてワーク(仕事)寄りだった人生を、生きること=ライフにシフト中。ジュエリーブランドBRILLIANCE+の執行役員・株式会社Surpassの顧問として企業の人財育成や教育体系の構築にも携っている。イラスト豊富でわかりやすい最新著作『仕事の基本 社会人1年生大全』が好評発売中。詳しくはこちら▶