【目次】
・【始末書】そもそも、どういうもの?
・【始末書】書式は? 手書きや縦書きの方が気持ちは伝わる?
・【始末書】基本の形と例文
・【始末書】提出時期は?
【始末書】そもそも、どういうもの?
「始末書は、仕事に関することで起きたトラブルやミス、つまり不始末を謝罪する文書のこと。社外の取引先に対してというより、社内の迷惑をかけた関係者に対して書く反省文的なものです」(北條さん)
不始末の種類は様々で、何度も遅刻したり、無断欠勤を繰り返したりという勤務態度に関することや、提出すべき文書の期限を守らなかったり、社員同士でトラブルを起こした時や、社員証や会社用携帯の紛失、社用車での自損事故などがあった時に提出を求められる文書です。
つまり会社に迷惑をかけたことについて、その詳細と謝罪、反省する気持ちを記したものと考えればOKです。
【始末書】書式は? 手書きや縦書きの方が気持ちは伝わる?
謝罪や反省の気持ちをよりアピールするためには、手書き、しかも縦書きの便せんなどに書いた方がいいのでは…という気もしますが、実際はどうなのでしょう。
「以前は縦書きの便せんに手書きで、というルールにしていた企業も多かったようですが、今はほとんどの会社がPCで作成した文書で提出しています。
というのも、始末書は正式な文書として社内に保存しておくものなので、保管しやすい書式の方がいいのです。また最近は手書きで誠意を示すという姿勢より、今度二度と同じ間違いを犯さないようにします、という反省の気持ちがきちんと記してあるかどうかが重要視されます。
とはいえ、これは会社ごとの方針でかなり差が出るところ。小さいミスは反省文、大きなミスは手書きの始末書など、独特のルールがある企業もあります。
始末書を提出するよう求められた場合は、まずどのような書式で書くのか、会社に規定のものがあるのかを確認しましょう」(北條さん)
社員証など、比較的紛失する人が多いと思われるものについては、定型の始末書兼再発行届のようなものがある企業もあるようです。
【始末書】基本の形と例文
「始末書に必ず書かなくてはいけないのは…
1.日付
2.宛名
3.自分の名前と所属と印
4.始末書というタイトル
5.問題が起きた具体的な経緯
6.どのように対応したかと今後の再発防止策
7.反省とお詫びの言葉
5には、事実と自分の意見を混同して書かないよう注意しましょう。始末書の場合、二度と起こらないようどんな具体策を取ったのかということと、反省の気持ちが伝わることが大切です」(北條さん)
以下、例文です。
会社から借り受けているスマートフォンを紛失してしまった…という想定の始末書
●●年●月●日
△△部 △△ △△様
〇〇部 山田 ナデシカ 印
始末書
この度は、私の不注意で社用スマートフォンを紛失し、多大なご迷惑をお掛けいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。
平成××年××月××日に会社から帰宅する際、会社用スマートフォンをスーツのポケットに入れ、移動している間に紛失いたしました。退社時は確かにポケットの中に入れたのですが、00:00(時間)頃帰宅し、確認した際に紛失していることに気づきました。会社から自宅への道を探し、途中の駅やお店にも紛失物が届いてないかを確認しましたが、現在のところ連絡はありません。最寄りの交番にも遺失物届を提出し、携帯電話会社にも連絡を行い、第三者が利用できないようセキュリティーロックを掛けました。
この度は、私の不注意でこのような事態を引き起こしてしまいましたことを深く反省しております。多大なご迷惑をお掛けしてしまいましたこと誠に申し訳ございません。
以後、二度とこのようなことを引き起こさないよう、備品および情報管理を徹底し、より一層気持ちを引きしめて業務に取り組んで参ります。
以上
【始末書】提出時期は?
お詫びの文書なので、トラブルが発生し、どう解決したのか、再発防止はどうするのかがわかった時点でできるだけ早く提出するのがベストです。
でもトラブルの種類によっては、解決に時間がかかったり、原因がわかるまでにも時間がかかる場合も。
そういういう場合は、一旦上司に口頭で報告を。解決途中でもとりあえずの経緯を報告したほうがいいのか、問題が収束してから提出したほうがいいのかは、当事者では判断がつかないことも多いのです。
また上司にいつまでに始末書を提出するように、と言われたら、その期日はもちろん厳守です。もともとトラブルを起こして始末書の提出を求められている状況なので、そこでさらに提出期限を守らないとなると、さらに信用を失うことになってしまうので、十分注意しましょう。
始末書を書かなくてはいけないほどのトラブル…できればずっと起こさずに社会人生活を送りたいですよね。でも自分に非がなくても、事故など思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
いざという時には、誠意が伝わる始末書がきちんと書けるようにしておきましょう。
初出:しごとなでしこ
北條久美子
ほうじょう・くみこ
キャリアカウンセラー・研修講師として全国の企業や大学などで年間 約2,500人へビジネスマナーやキャリアの研修・セミナーを行う。現在はライフスタイリストとしてワーク(仕事)寄りだった人生を、生きること=ライフにシフト中。ジュエリーブランドBRILLIANCE+の執行役員・株式会社Surpassの顧問として企業の人財育成や教育体系の構築にも携っている。イラスト豊富でわかりやすい最新著作『仕事の基本 社会人1年生大全』が好評発売中。詳しくはこちら▶