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「中二病」の意味とは?

「中二病」とは、思春期の子どもたちに見られる特有の背伸びしがちな言動、態度が過剰に発現している状態のことを指します。「病」という表現を含みますが実際に治療が必要とされる医学的な意味での病気、または精神疾患とはまったく関係ありません。ラジオ番組『伊集院光のUP’S 深夜の馬鹿力』で生まれた造語になります。
多くは年齢を重ねることで自然に治癒するものですが、稀に慢性化・重篤化して社会生活を営む上で障害となることがあります。では実際にどんな症状があるのか。具体的な症例をあげてみましょう。
「中二病」の判断基準としてあげられるのは、「親に冷たい態度をとる」「孤高を持する」「無理してブラックコーヒーを飲み始める」「何でもやれば出来ると思っている」「売れたバンドを売れる前から知っているとムキになる」などなど、まぁ、あげるとキリがありません。
ただ、これらに当てはまっただけで「中二病」だと決められるわけではありません。「中二病」の人には大きく分けて3つのタイプがあるそうです。

「中二病」の人に見られがちな言動や思想を、3つのタイプに分けて確認していきましょう。
DQN系(ドキュン系)
反社会的な行動や不良を演じ、かっこいいと思い込んでいるタイプ。
根はまじめであったり、臆病だったりするのに無理をして悪ぶっている人。弱いと思われたくない、不良であることがかっこいい! と要は演じているだけの偽不良です。
これらは「自分を強く見せたがる症状」で不良っぽい服装をしたり、嘘の喧嘩の話などをして周りを威嚇します。自分に自信がないため、わざと強く見せようとする心理状態から起きる行動です。
サブカル系
自分は他の人とは違う特別な存在だと思い込んでいるタイプ。
流行には踊られず、敢えてマイナー路線を好み、単に「みんなと違う趣味や嗜好がある自分はかっこいい」と特別な存在であろうとする人。周りの人と同じなのは気に入らず、みんなが知らないようなものを好む傾向があります。
これらは「大人に憧れる症状」で、周りの友だちとは違い自分は大人なんだと考え、大人っぽい服装をしたり、まわりとは違う趣味を持ち始めます。これは少しずつ自立して大人になりたいという心理状態から起きる行動です。
邪気眼(じゃきがん)系
不思議・超自然的な力に憧れ、自分にもそのような力があると思い込むタイプ。
自分なりのキャラクター設定を行ったり、自身がアニメの登場人物だと思い込み、現実と妄想の一線を越えている人。自分には「隠された秘密の能力」があるなどと周りに公言したりします。
これらは「自分の世界で生きる症状」で、空想の世界から抜け出せずに独自の世界に入り込んでしまいます。これは「自分自身を表現できるもの」「アイデンティティー」を持ちたいという心理状態から起きる行動です。
「自信」「大人になりたい」「アイデンティティー」という3つを求める心理から「中二病」を発症するのです。もちろん、これらの症状は治療が必要な病気ではなく、成長する上で誰もが持つ心理状態です。
そう「中二病」は思春期の子どもたちが大人になってゆく過程で必要な時間です。こういった症状を経験しながら大人になっていくんですね。
中二病の正しい使い方は? 例文をご紹介

「中二病」とは思春期の子どもたちの言動や態度を指す言葉ということは分かりましたね。では、どのように「中二病」という言葉が使われるのか例文を使って一緒に見ていきましょう!
1:「あの頃の私って、本当に中二病だったよねぇ」
ほとんどの人が経験したであろう反抗期。親に偉そうに反抗した記憶はありませんか? 親に冷たく当たって偉そうにモノを言ったり、無理をしてブラックコーヒーを飲んだり、大人びた服装や髪型をしたり。そんな若かりし自分の言動を思い出して言う一言ですね。
2:「大声で喧嘩をした自慢話をするなんて。あの人、いい歳して中二病よ」
意外といるんです。「中二病」の症状をこじらせている大人たち。もしかしたら、アナタの周りにもいるかもしれません。大人げない、幼稚な言動をしている人たちに対して「あの人“イタい”よね」という意味で使われることが多いようです。
3:「流行には興味ないわ。人と同じなのは絶対嫌なの」という友人に対して「中二病じゃーん!(笑)」
「病」という言葉が含まれているため重く聞こえますが、若い人たちの間では冗談まじりにツッコミのような感覚で使われることも。また自分の言動に対して自虐的に「今の発言、中二病っぽかった?(笑)」など、面白可笑しく使う人も多いようです。
中二病の人が使うセリフや出てくる映画は?

ただ単に思春期の子どもたちの言動を示す言葉と思いきや、実はネット上では「中二病」は「反抗期」とは違う、「中二病」はカッコ良い! と尊敬する人たちがいるんです。その理由は「中二病」ならではの世界観から出てくる言葉の数々です。
◆中二病の人が使うセリフ
・「外の世界へ降臨するとしよう」=「いってきます」
・「まずいな。このままでは神の逆鱗に触れてしまう」=「やばい! 早く行かなきゃ怒られる」
・「裁きを受けよう」=「ごめんなさい」
・「別れか。出会いとは短いな」=「さようなら」
・「演奏を止めてくれないか」=「静かにしてください」
こんなセリフを真剣に言われたら、つい笑ってしまいますよね。しかし本人たちは、いたって真面目、大真面目です。冗談でこのような言い方をしているわけではなく、彼らの世界では普通なのです。
◆中二病の人が出てくる映画
実は「中二病」の高校生を主人公にしたアニメーション映画「中二病でも恋がしたい!」が2018年に公開されています。元・中二病の男子高校生と現・中二病の女子高生を軸として周囲を巻き込みながら展開していく学園ラブコメディ作品。
着眼点とアイディアが面白いと好評化されています。漫画・アニメの世界では「中二病」の症状を持ったキャラクターたちがたくさんいます。
中二病の類義語はどのようなものがある?

思春期の子どもたちの言動や態度を指したり、独特な世界観を指す言葉である「中二病」。似たような意味を持つ言葉にはどのようなものがあるのでしょうか。
高二病
「高二病」患者の多くは「中二病」の症状悪化による発展型といわれています。「中二病」を見下しているのが特徴です。
大二病
「大二病」とは、以前に「高二病」であった自分を嫌悪するあまり「中二病」に原点回帰すること。または「高二病」が悪化した状態のこと。大学二年生という、大学生活の中では一番中だるみし易い時期なのか、発症する人が後を絶たないという。
社二病
「社二病」とは、社会人になって二年目。仕事や会社に慣れ、様々なことが分かってきたと勘違いし、自己主張をはじめる若手社員のことを指す言葉。
これら以外にも、幼稚な行動をする大人を指す「ピーターパン症候群」や、自分の言動や考えに酔いしれる「自己陶酔」なども「中二病」の類義語としてあげられますね。
中二病の対義語はどのようなものがある?

◆リアリスト
現実主義者という意味です。冷静に今の状況を判断し答えを導き出すことの出来る人です。
「こうなったらいいな」「もしかしたらうまくいく」なんていう考え方はしません。確信の持てない事はしない、させないがモットーの地に足の着いた人です。
最後に

いかがでしたか? 「中二病」という言葉の意味と使い方は理解出来ましたか? 思春期を思い返すと、私も「中二病」だったかも!? という記憶が蘇ってきたかもしれません。でも、それはあなたが大人になるために必要だった時間です。
もちろん周りに迷惑をかけることは良くないですが、社会人になっても「あんな失敗したな」「先輩に迷惑をかけたな」なんて思い出はありますよね。いくつになっても誰しもが色んな経験をして自分の未熟さを知り、たくさんの失敗から学び成長するものです。
「中二病」というとネガティブに聞こえてしまいがちですが、誰かに認めてほしい気持ち、周りに流される事なく自分の世界観を持つこと、自分の言動に自信を持つことは決して悪い事ではありませんよね。
ただ大人になった今、独りよがりに周りに求めているだけでは誰も認めてはくれません。認めてもらうためには、それなりの努力や行動が必要になるでしょう。
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