「始末書」とは?
仕事上で「始末書」を提出するようなシーンは可能な限り避けたいですが、いざ出さなければならない事態になった時、何を書けばいいのか、どんなタイミングがいいのか、わからないと困ってしまいますよね。本記事では、「始末書」の目的や記載事項、また提出の時期などを解説します。いざという時に備え、しっかりとポイントを押さえておきましょう。
「始末書」の目的
「始末書」は、社内で何かトラブルやミスを起こした際、事態の経緯や原因の報告とあわせ当事者の反省を書き示した文書のことを指します。一般的には上司や所管部への報告、事態の収束がまず最優先で行われますが、事態の報告とあわせ、当事者の反省や謝罪の意を文書化した「始末書」の作成が求められた場合は、並行して速やかに対応するのが原則です。
もちろん、「始末書」を書けば済むというわけでもなく、トラブルの繰り返しや損害に応じて、さらなる処罰が課せられるケースもあります。最悪な場合は懲戒処分なども。このような事態を防ぐことが一番重要であることを肝に銘じておくことが大事です。
「顛末書」との違い
「始末書」と似た言葉で、「顛末書」というものがあります。「顛末書」というのは、トラブルが起きた際に、会社に対して事の一部始終を報告するビジネス文書です。事態の経緯や原因詳細、また再発防止のための対策などが細かく記載されます。
「始末書」と少し異なる点は、トラブルを引き起こしてしまった当事者の反省や謝罪よりも、再発防止に重きをおき、マネジメントへの報告や今後の方針を決める際に利用される書類であることで、事態収束後に作成されるのが一般的です。
「始末書」を書くときのポイント
「始末書」は、会社に対し、今回の件を反省する気持ちと今後ミスを繰り返しませんという強い意志を示すための重要な書類です。そういった思いが相手に伝わる文章である必要があります。「始末書」を書くにあたり重要なポイントをいくつか解説します。
1:事実を正確に書く
トラブルを起こしてしまった際できるだけ処分が軽く済むようにと、言い訳をしたり遠回しに表現をしたりしてしまうことがありますよね。ですが、ビジネスにおいて言い訳は基本通用しません。トラブルを引き起こしてしまった原因や状況については、事実を記載するようにしてください。また、反省の意を伝えるのが目的なので、正直に報告をする方がむしろ相手には気持ちが伝わりやすいです。
2:事態が起こった日時を明確に書く
報告をされた側が時系列を把握しやすいように、「いつ・どこで・何が起こったか」は明確に記載しましょう。わかっている場合は、時刻まで細かく明記する方がよいです。また関係者が複数いた場合は、その時々で関わった人物も正確に記載しておきましょう。どの時点で誰がこの事態を把握していたか、オペレーションに不備がなかったかなど、今後の防止対策を考える上でも重要な情報になりますよ。
3:簡略に書く
遠回しな表現や長々とした文章は避け、できるだけ簡略に記載し、報告される側が読みやすい文章を意識しましょう。反省の気持ちを明確にした文章であれば、文字の量や枚数などは気にしなくとも相手にはきちんと伝わります。
4:提出のタイミング
トラブルが判明した時点で、上司や所管部への口頭での報告は最優先で行いましょう。その後、「始末書」の提出を求められた場合は、速やかに作成に取りかかりできるだけ早く出すようにします。トラブルが発生してから事態の収束、そして再発防止策が整理できたタイミングで速やかに提出してください。
「始末書」のフォーマット
いざ、「始末書」を書かなければならなくなった時、何から書き始めたらいいのかわからないと困る方がほとんどではないでしょうか。ここでは、会社から貸与されているパソコンを紛失した時、また大事なデータを消してしまった時に使えるフォーマットを紹介します。
1:会社から貸与されているノートパソコンを紛失してしまった場合
今や情報漏洩は会社の事業継続に大きな損害を与える可能性もあり、機密情報が詰まっている業務用パソコンの紛失は重大な過失になります。以下、例文です。
『この度、会社より貸与されているノートパソコンを○○年○月○日、帰宅途中の○○線車内に置き忘れ、多大なご迷惑をお掛けしたことを深くお詫び申し上げます。経過について、紛失が発覚した時点で警察に遺失届を提出、紛失日当夜に立ち寄った○○駅をはじめ、帰宅経路を捜索中ですが、現在のところ発見には至っておりません。今後このようなことのないよう、貸与品へは細心の注意を払い取扱うことを固く誓います』
2:重要なデータを削除してしまった場合
データのバックアップは基本的な行いですが、それでも重要なデータを削除してしまい二度と戻らない場合は、「始末書」書かかなければならないことも…。こちらは大事な書類を誤ってシュレッダーにかけてしまった… などの場合にも応用できます。
『○○年○月○日○○時、財務データの一部を削除してしまったことを深くお詫び申し上げます。私は当時、XX期~YY期までの集計作業を行っており、不要なデータを削除する際に、誤って当該データも一緒に削除してしまいました。
これは私の集中力が欠けていたことが大きく起因した事態であり、取り返しのつかないミスを引き起こしてしまったことを深く反省しております。今後はデータの取り扱いに細心の注意を払い、ひとつひとつの作業を丁寧に確認の上業務に取り組むことを誓います』
「始末書」の提出を繰り返さないためには
「始末書」を繰り返し出すことは絶対に避けたいものですが、万が一同じ過ちを起こしてしまった場合には、根本的な原因の追究と改善策を上司と一緒に考える必要があります。不注意によるトラブルであれば、業務量が多すぎて手が回っていないのではないか、何かストレスを抱えていないか、体調を崩している可能性はないか、など当事者の職場環境についても把握することが大事です。
時にプライベートな問題が原因の可能性もありますが、トラブルを最小限に抑え再発を防止するためにも、何が原因かを突き止めるのは大事なことでしょう。また、「始末書」を書くようなことが起きる前に、現場の職場環境や部下のメンタル面をサポートすることも、上司の業務の一環です。定期的に面談を実施しヒアリングを行うなど、日頃のコミュニケーションの中で指導やケアを行っていきましょう。
最後に
「始末書」は、事態の報告や再発防止策の記載とあわせ、当事者の反省の意を示す重要な書類です。「始末書」は、会社との信頼関係をもう一度立て直すための重要な手段になります。できるだけ、「始末書」を提出するような場面は避けたいですが、いざという時にも困らないように、手順やポイントは確認しておくとよいでしょう。
また、トラブルを起こしてしまった際は、同じことを繰り返さないよう再発防止策をきちんと立てることが大事になりますね。
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