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2024.11.05

「当該」と「該当」はどう違う? 意味や例文を解説【社労士監修】

当該は「その」のかしこまった表現。該当は「ある条件などにあてはまること」を指す言葉です。漢字の順番を入れ替えるだけで意味が変わるため、ややこしいと感じる方も多いのではないでしょうか? 本記事では、当該と該当の意味の違いや、使い分ける方法を例文つきで解説します。

「当該」と「該当」という言葉の意味と、その違いを知っていますか? どちらも仕事のメールや、契約書などで見かける機会がある表現ですよね。しかし、字面が似ているだけに混乱しがち。それぞれの意味の違いがはっきりとわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

両方ともビジネスシーンなど、かしこまった場面で使うことが多い言葉のため、正しい意味を押さえておきましょう。また、法律用語としても使われることがある表現ですので、知っておくと安心ですよ。

「当該」と「該当」の意味と読み方は?

机上にある書類と眼鏡
(c)Shutterstock.com

まずは、当該と該当の意味と読み方を、それぞれ見ていきましょう。

当該(とうがい)

とう‐がい〔タウ‐〕【当該】 
いま話題になっている事柄に直接関係すること。まさに、そのもの。また、その担当であること。「—事件」「—庁」

小学館『デジタル大辞泉』より引用

「当該」は、「その」のかしこまった表現。この言葉の前に必ず文章があることもポイントです。前文の何かを指す時に使う言葉ということですね。たとえば、契約書を交わす場合で考えてみましょう。Aという契約に関する説明文が冒頭にあったとき、次の文章で「その契約」と言うかわりに、「当該契約」と表現することがあります。

該当(がいとう)

がい‐とう〔‐タウ〕【該当】 
[名](スル)ある条件・資格などに、当てはまること。「—する箇所に丸をつける」

小学館『デジタル大辞泉』より引用

「該当」は、ある条件にあてはまるという意味で使う言葉です。前述の「当該」が、「その」と言い換えられるのに対して、「該当」は「あてはまる」といった言い換えができるでしょう。「該当箇所」など、ほかの言葉とともに使うことがあります。また、「該当する」など、動詞として使うことも。

ここまで、当該と該当の意味を解説しました。ただ、これだけだと少しイメージしにくいかもしれませんね。ここからは例文で具体的な使い方を解説します。

「当該」と「該当」を使った例文は?

差し出された既往歴に書き込む人
(c)Shutterstock.com

当該と該当の使い方を、例文で見ていきましょう。具体例を見るとイメージしやすくなりますよ。

ふたつの言葉の例文
  1. 「当該」の例文
  2. 「該当」の例文

「当該」の例文

・当該契約内容に関して、ご不明な点はお問い合わせください

やや堅い表現ですが、「その契約内容に関して、わからないことがある場合は問い合わせをしてください」といった意味ですね。

当該は「当該契約」など、その前文に出てきた名詞の前につくことが一般的。「当該」を単体で使うことはほとんどありません。当該の後ろについている言葉と前の文を見ると、どういう意味か理解しやすくなりますよ。

「該当」の例文

・以下の症状のうち、該当するものにチェックをしてください

たとえば病院の問診票など、過去の病気の有無や症状を問われる場面で「該当の箇所にチェックを入れてください」と書かれていることがあります。これは意味の項で解説したとおり、「あてはまる」という表現に言い換えることができますよね。

なお、該当は「該当する」のように動詞としても使用しますが、当該の場合「当該する」とは使えません。漢字一文字入れ替わるだけですが、意味が通じなくなってしまうのです。似ているだけに、うっかり使ってしまわないよう注意しましょう。

「当該」と「該当」はどんなときに使うの?

チェックリストの写真
(c)Shutterstock.com

ここからは、当該と該当を使うことが多い場面について解説します。ふたつの言葉の違いをもっと深掘りし、理解を深めましょう。

「当該」を使うことが多い場面

当該という言葉を、日常会話で耳にする機会は少ないのではないでしょうか。では、どこで目にするのか? それはずばり、不動産などの契約を交わす際。契約書をよく見ると、「当該」と表現されていることが多いですよ。

「契約書の文章は、独特の言い回しで読みにくい」といった声もよく耳にしますが…これには「当該」のような、あまり聞き慣れない言葉を使っていることが関係しているかもしれませんね。

たとえば、「当該期間中の解約」と契約書の中に書かれていることもあるでしょう。そんなときは、当該を「その」と訳すと、グッと読みやすくなりますよ。

文中に「当該」と出てきたとき、前の文章に戻るとそれにあたる話題が書かれているはず。一例として「当該期間中の解約について」といった見出しの場合、その前に「契約期間は3か月」などと記載されているパターンが多いです。つまり、当該期間は3か月の契約期間を指しているということですね。

やや堅めな表現ですが、契約書やビジネスでの表現として押さえておくと何かと便利です。

「該当」を使うことが多い場面

当該と比べると、該当の方が使う場面は多いかもしれません。学校や資格試験などで「該当箇所に記入すること」などの表現を見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか? たとえば、「以下の英語表現に該当する日本語を書きなさい」といった具合ですね。

また、年末調整などで「以下の条件に該当する社員は、人事部に申し出ること」のように使われていることもありますよ。

該当も、日常会話の中ではあまり使わない言葉かもしれませんね。しかし、文章ではよく使われる表現ですので、使い方を知っておくと役立つ機会が多いでしょう。

「当該箇所」と「該当箇所」の意味と違いは?

ここまで、当該と該当の意味や使い方の違いについて見てきました。ところで、「当該箇所」と「該当箇所」という言葉を聞いたことはありませんか? 最後に、このふたつの意味の違いも押さえておきましょう。

まず「当該箇所」とは、ある事柄に関係するものや、事柄を指すときに使われる言葉です。

ある会社の資料に誤字があったとしましょう。しかし、作り直す時間がなかった。こういった場合に、別紙で修正依頼のような文章をつけることがあります。その中で、「資料〇ページに〇〇という誤字がありました。当該箇所については、以下のように読み替えてください」と記されていた。この場合、「当該箇所」は「誤字」を指していることになります。

一方「該当箇所」は、言い換えると「あてはまるところやもの」のこと。たとえば、アンケートなどで「この製品のどんな点が気に入りましたか。該当箇所にレ点をつけてください」と書かれていることがありますね。この場合は、自分が気に入った点にあてはまる回答が「該当箇所」となります。

それぞれの意味をしっかり把握して、使い分けに注意しよう

本記事では、当該と該当の読み方や、意味の違いについて解説しました。どちらも日常生活ではあまり聞き慣れない言葉かもしれません。しかし、契約書を交わす際やオフィシャルな場面では、よく出てくる表現です。字面が似ているため、混同にも注意したいですね。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

塚原美彩(つかはらみさ) 塚原社会保険労務士事務所代表

行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。HP:塚原社会保険労務士事務所 ライター所属:京都メディアライン

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