【目次】
・「足元」の意味とは?
・「足元」と「足下」・「足許」・「脚元」の違い
・「足元」の使い方を例文でチェック
・「足元」の類語には、どのようなものがある?
・「足元」の対義語には、どのようなものがある?
・「足元」を使う時の注意点
・最後に
「足元」の意味とは?
「あしもと」という言葉を耳にした時、どのような漢字を思い浮かべますか? 「足元」「足下」「足許」など様々な漢字の表記がありますが、意味の違いを知らないままだと誤用しかねません。そこで、今回の記事では「足元」の意味や使い方、違いなどを詳しく紹介します。ぜひチェックしてみてくださいね。
「足元」の意味
「足元」とは、「足が地についている所、またはその周り」という意味です。自分の足のついているあたり、そのすぐ下だけではなくて、1、2歩分離れた周りを指します。ちなみに、「元」という字は「ものごとの始め」「根源」といった意味を持っています。
「足元」と「足下」・「足許」・「脚元」の違い
「足元」の意味を確認したところで、その他の表記「足下」・「足許」・「脚元」との違いを見ていきましょう。
・「足下」……「立っている足の下」
足の真下、足の裏をイメージすると良いでしょう。「足元」はその周辺も含むので、そこが両者の違いです。また「足下」は、手紙の宛名に書き添えて「そっか」と読むこともあります。この場合、「足下」は「あなたのおそば」の意で、自分を卑下し相手を敬って、相手の名に添えて書く語として用います。
・「足許」……「立っている足のあたり」
「足許」は「足元」よりも、さらに広い範囲を指します。「足元」が1、2歩進んだ距離とすれば、「足許」は3、4歩進んだ距離を表します。
・「脚元」……「脚部の下あたり」
「脚元」の「脚」という漢字は、ももの付け根から足首までを指します。そのため、「足が接している地面」というよりは、「脚部の下方」を指すイメージです。
「足元」の使い方を例文でチェック
「足元」を使った慣用表現や、ことわざはたくさんあります。その内の3つを取り上げて、例文とともに解説していきます。
1:「語学力では彼の足元にも及ばない」
「足元にも及ばない」は、「相手が優れていて、比べものにならない」ということを表す慣用句です。相手の足の周りにも寄りつけないほど、差がある様子がイメージできますね。
2:「足元から鳥が立つように帰って行った」
「足元から鳥が立つ」は、「身近な所で意外なことが起こること」または、「急に思い立ってあわただしく物事を始めること」を指すことわざになります。鳥が人に反応して急にバタバタと飛び立っていき、驚かされることから生まれた句です。
3:「ライバルに足をすくわれる」
「足をすくう」という慣用句は、「相手のすきをついて失敗させる」という意味です。この慣用句は足を「すくう」、つまり払いのけることで“支えを失う様子”を表現しています。ただ、最近では「足下(足元)をすくわれる」という誤用の方が一般的になりつつあります。払いのける対象は、「足下」ではなく「足」ですので、誤用に注意しましょう。
「足元」の類語には、どのようなものがある?
続いて、「足元」の類語を一緒に見ていきましょう。
1:「足取り」
「足取り」は、歩く時の足の運び方、歩きぶりのことを指します。「足元」にも同様に、人の歩き方を指す場合があるため、類語といえるでしょう。
2:「痛いところ」
「足元」には、これまで紹介した意味に加え、「弱み・逆転・欠陥」という意味も。例えば、相手の弱みに付け込むことを「足元を見る」といった表現で表します。そのため、「痛いところ」というのも「足元」の言い換え表現です。
3:「土台」
「足元を固める」という表現から分かるように、「足元」には「自分の置かれている状況」という意味も込められています。その場合、「土台」「立場」「身の回り」などが類語に該当します。
「足元」の対義語には、どのようなものがある?
続いて、「足元」の対義語をチェックしていきましょう。
1:「手元(手許)」
「自分の手の届く範囲、手のすぐそば」を意味する「手元(手許)」は、まさしく「足元」の対義語です。
2:「手を差し伸べる」
相手の弱みに付け込む「足元を見る」という慣用句の対義語としては、「手を差し伸べる」が挙げられます。「手を差し伸べる」は、「困っている人のために掛け値なしに何かをする」という意味です。意図的に相手に悪事を働く「足元を見る」と、無私の思いで相手を助ける「手を差し伸べる」は、正反対だといえるのではないでしょうか。
3:「五十歩百歩」
「五十歩百歩」は、「僅かな差で大した違いがない」ことを意味することわざです。こちらは、「足元」の中でも特に「足元にも及ばない」の対義語に当たります。他にも「どんぐりの背比べ」や、「似たり寄ったり」なども、この対義語だといえるでしょう。
「足元」を使う時の注意点
一つの慣用句の間でも、「足元」と「足下」のどちらも使うことができるものもあります。ただ、今回紹介したように本来の意味から推察すれば、適切な漢字の表記が分かるはずです。
また、ビジネスシーンなどでよく使われる「足元」の表現にも注意点があります。よく、「お足元にご注意下さい」という言い回しを耳にしませんか? 実はこれは二重敬語になってしまっています。正しくは、「足元にご注意ください」か「お足元に注意ください」です。
最後に
今回は「足元」を解説していきました。たくさんの漢字の表記がありますが、それぞれの漢字の持っている意味を押さえて、使い分けられるようになりたいですね。今回の解説を参考に、今後はどのような変換をするかを、少し考えて使ってみてはいかがでしょうか。
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