取捨選択とは? 意味を例文で紹介
取捨選択(しゅしゃせんたく)とは、必要なものを選び取り、不要なものを捨てることです。なお、取捨は「取る」と「捨てる」という反対の意味の漢字の組み合わせ、選択は「選ぶ」と「択ぶ(えらぶ)」という同じ意味の漢字の組み合わせになります。
・何でもかんでも残していると、部屋が物だらけになってしまうよ。取捨選択して整理しなきゃ
・将来の自分に必要な科目を見極めて、取捨選択をして単位を取りましょう
しゅしゃ‐せんたく
出典:小学館 デジタル大辞泉
[名](スル)必要なものを選び取り、不要なものを捨てること。「情報を取捨選択する」
ビジネスにおける取捨選択とは
ビジネスにおいて取捨選択は重要といわれています。あれもこれもと頼まれた仕事をこなしているのでは、どんなに時間があっても足りません。本当に必要な作業なのか見極めて取捨選択し、必要な業務に優先順位をつけて取り組んでいくことが望ましいといえます。
しかし、忙しいときは、取捨選択や優先順位を決める時間すら取れず、タスクを黙々とこなすだけになってしまうことも。そのようなときこそ、一度立ち止まり、必要性と重要性を冷静に分析してみましょう。
普段から取捨選択をせずに仕事をすることが多い方にとっては、「仕事を断る」ことに対して恐怖心があるのかもしれません。もし「仕事を断る」のが難しいと感じるときは、次の2つを意識してみてください。
・時間の制限
・仕事の目的
まずは時間の制限です。「遅くとも18時までには会社を出る」ことを自分に課すならば、18時までにできない仕事は断りやすくなります。「終業時間までにできません」と素直にいえば、仕事を依頼した方も他を当たってくれるでしょう。
次は仕事の目的を意識することです。たとえば、顧客満足度の向上を第一義とするならば、顧客が重視しない部分にこだわって時間を浪費してしまうのは有意義とはいえません。取り組む業務が顧客のためにならないときは、思い切って削除するか、後回しにするのも一つの方法です。
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人生における取捨選択とは?
仕事だけでなく人生においても取捨選択は大切です。時間が無限にあればよいのですが、すべての人には有限の時間しかありません。また、有限の時間もすべてを自由に使えるのではなく、仕事や家事、育児などの「しなくてはいけないこと」に多くを奪われます。
仕事や家事がないときも、すべての時間を自由に使えるわけではありません。入浴や睡眠、食事などの生きていくために必要な活動に多数の時間が占められます。
病気やケガなどのために、したいことができない状況も想定されます。残されたわずかな自由時間を有意義に活用するためにも、「したいこと」の中から「本当にしたいこと」を取捨選択することが必要です。
また、多くの人にとって、お金も有限です。気に入ったものを手当たり次第に買っていたら、本当に必要なときにお金がなくなり、人生における重要な事柄を実現できなくなってしまう恐れがあります。時間やお金などの有限の資源を無駄なく使うためにも、「すること」と「買うもの」を吟味し、取捨選択をしてください。
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人間関係における取捨選択とは?
冷たいような印象を与えますが、人間関係においても取捨選択は必要といえるでしょう。
たとえば、友人のように親しく振る舞うように見せかけて、相手を陥れようとする「フレネミー」タイプ。相手の言動からフレネミーだと判断される場合には、貴重な時間を使わないように注意したいところです。
取捨選択の言い換えに使える言葉
取捨選択とニュアンスは異なりますが、前後の文脈によっては次の言葉で言い換えられることがあります。
・採択(さいたく)
・選り抜き(よりぬき、えりぬき)
・選定(せんてい)
それぞれの言葉の違いを、例文を通して解説します。
採択(さいたく)
採択(さいたく)とは、いくつかあるものの中から選んで取り上げることです。取捨選択のように「捨てる」の意味はありませんが、複数の選択肢から何かを選び取るときに使います。
・多数決によって、彼の提案した劇が採択された
・仮の案として採択されたスローガンだが、特に問題はないため本決まりとなった
選り抜き(よりぬき、えりぬき)
選り抜き(えりぬき)とは、多くのものの中から選び出すことや、選び出されたもののことです。「よりぬき」と発音するときは、よりぬくことや、よりぬかれた人や物を指します。
・この棚に飾ってあるのは、わたしのチェコガラスのコレクションの中でも選り抜きのものです
・あなたたちは大勢の候補者の中から選ばれた、選り抜きの社員です
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選定(せんてい)
選定(せんてい)とは、多くの中から目的・条件などに合うものを選び定めることです。次のように使います。
・アルバイトの案件の中から、勤務先の場所や待遇などを考慮して選定しました
・十分に考えて選定した仕事だが、わたしには合わないような気がする
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取捨選択と反対の意味を持つ言葉
取捨選択とは反対の意味で次の言葉を使うことがあります。
・選択の余地がない
・なす術(すべ)がない
それぞれ例文を通して紹介します。
選択の余地がない
余地(よち)とは、物事をさらにおこない得るゆとりや余裕のことです。選択できる範囲が限られているときに「選択の余地がない」と表現することがあります。
・あまり気は進まないが、選択の余地がないのだろう
・1校しか受かっていない君には選択の余地はない
なす術(すべ)がない
術(すべ)とは、目的を遂げるための手段・方法のことです。何もできないときには「なす術がない」と表現することがあります。
・全力を尽くしたが、チケットは取れなかった。もう、なす術はないのだろう
・彼女を励ましたいが、なす術がない
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吟味して取捨選択をしよう
取捨選択は、限りある時間やお金、体力などを無駄にしないためにも重要な行為といえます。本当に必要なものは何か、また、何をするべきかを客観的に見極め、さまざまなシーンにおいて慎重に取捨選択していきましょう。
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