この記事のサマリー
・「ご覧になる」は「見る」の尊敬語で、相手や第三者の「見る」という動作を高めて表現する場面で使います。
・「ご覧に入れる」や「拝見する」は、自分側の動作をへりくだって表す謙譲表現です。誰の動作を表しているかに注意して、使い分けることが大切です。
・「ご覧になられる」は、「ご覧になる」に尊敬の助動詞「れる」を重ねた形で、一般に二重敬語とされます。通常は「ご覧になる」とします。
「ご覧になる」は日常会話やビジネスシーンでよく使われる表現ですが、「ご覧いただく」との違いや、「ご覧になられる」は正しいのかなど、使い方に迷った経験はありませんか? 何気なく使っている敬語でも、場面によって適切な表現は異なります。
この記事では、「ご覧になる」の意味や敬語としての位置づけ、使い分けのポイント、例文や言い換え表現まで、実際の場面をイメージしながらわかりやすく紹介します。
「ご覧になる」とは?
まずは、意味から押さえていきましょう。
意味
【御覧(ごらん)になる】
(1)「見る」の尊敬語。「展覧会を―・りましたか」
(2)動詞の連用形に助詞「て」の付いた形について、補助動詞的に用いる。「…てみる」の尊敬語。「ぜひ、試して―・るといいですよ」
<「小学館 デジタル大辞泉」より>
「ご覧になる」には、主に二つの用法があります。一つは、相手や第三者が見るという行為を高めて表す用法です。もう一つは、動詞の連用形に助詞「て」を付けた形に続き、「〜してみる」という行為を高めて表す用法です。こちらは、補助動詞的に用いています。
どちらの「ご覧になる」も、相手や第三者の動作を高めて表す尊敬表現です。
ビジネス等で使う時の注意点
敬語には、相手や第三者の動作・状態などを高めて表す「尊敬語」、自分や自分側の動作をへりくだって表す「謙譲語」、聞き手に対する敬意を表す「丁寧語」などがあります。
どれも相手への敬意を表す言葉ですが、より敬意を表そうとして誤ってしまいがちなのが、「二重敬語」です。二重敬語とは、一つの動作や行為を表す語に、同じ種類の敬語表現を重ねて用いること。
例えば、「ご覧になる」にさらに尊敬の「れる」を加えた「ご覧になられる」が該当します。「丁寧にしたつもりが、二重敬語だった」なんてことが、よく起こっていますので注意してください。
こうした誤りを防ぐために、敬語の基本をお伝えします。一部例外もあるのですが、原則として、一つの動作に同じ種類の敬語表現を重ねて使いません。ただし、「お召し上がりになる」「お伺いする」など、一般に定着している表現もあります。シンプルなので、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。
使い方を例文でチェック!

「ご覧になる」という言葉は、具体的にどのように使ったらいいのでしょう? シチュエーションごとに例文を紹介しますので、参考にしてください
今朝の素晴らしい朝日をご覧になりましたか?
相手が朝日を見たかどうかを、敬意を払いながら聞いています。相手方との関係性によっては、文末を「なりましたでしょうか?」に変えるなどして、より丁寧な言い方にするのもいいでしょう。
先ほどお配りした資料、1ページ目をご覧ください。
上記は、相手に見てもらうことを促しながらも、敬意を払った表現です。相手方との関係性や状況によっては、文末を「くださいますか?」に変化させることもできます。そのようにした方が、より柔らかい印象になります。
類語や言い換え表現は?

「ご覧になる」を言い換えるとしたら、どのような表現があるでしょうか? ここでは、類語や言い換え表現を紹介します。ビジネスシーンはもちろん、書き言葉での表現、口語での表現を覚えて、ぜひ場面に合わせて活用してみてください。
高覧
主に書き言葉で使われる、改まった表現です。「ご覧になる」よりも常に丁寧というより、格式の高い、硬い印象を与える表現といえます。
「添付資料をご高覧ください」「ご高覧くださいますよう、お願い申し上げます」のように使います。ただし、「ご高覧ください」は非常に改まった表現であるため、一般的なビジネスメールでは「添付資料をご覧ください」とするほうが自然です。
賢覧
「賢覧」は、相手が見ることを敬っていう、非常に改まった漢語表現です。一般的なビジネス文書や会話では使用場面が限られるため、「ご覧ください」や「ご高覧ください」とするほうが自然です。
見ていただく
こちらは、「ご覧になる」よりも平易な表現です。相手に依頼する場合は、「見ていただく」よりも「ご覧ください」「ご確認ください」などのほうが、文脈に応じて自然です。敬語のニュアンスとしては弱くなりますが、堅苦しさもなくなるでしょう。
英語表現は?

「ご覧になる」を英語で表す場合、どのような表現を使えばいいのでしょうか? 英語には日本語の尊敬語に相当する文法形式はありませんが、丁寧な依頼表現などはあります。例文を元に解説していきます。
Please look at these pictures.(こちらの写真をご覧ください。)
「look at」は、対象を意識して見るという意味です。文頭に「Please」を置くと、丁寧な依頼になります。
Please try taking an early-morning walk and enjoy the wonderful scenery.
(早朝の散歩をぜひお試しください。素晴らしい景色もお楽しみください。)
「ご覧になる」の二つ目の意味、「〜してみる」の文例です。「try」を使って「〜してみる」を表しました。丁寧に促すために、「please」をつけています。
「ご覧になる」に関するFAQ
ここでは、「ご覧になる」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「ご覧になる」はどのような敬語ですか?
A.「ご覧になる」は、「見る」の尊敬語です。相手や第三者の「見る」という動作を高めて表現するときに用います。
Q2. 「ご覧に入れる」と「ご覧になる」の違いは何ですか?
A. 「ご覧になる」は相手が見ることを表す尊敬語です。一方、「ご覧に入れる」は自分が相手に見せることをへりくだって表現する謙譲語です。
Q3. 「ご覧いただく」と「ご覧になる」はどう使い分けますか?
A. 「ご覧になる」は、相手や第三者が見るという動作を高めて表す尊敬語です。「ご覧いただく」は、相手が見るという行為を、自分が恩恵を受けるものとしてへりくだって表す謙譲表現です。依頼の場合は「資料をご覧いただけますか」、感謝の場合は「資料をご覧いただき、ありがとうございます」のように使います。
最後に
この記事では、「ご覧になる」という尊敬語について紹介しました。ビジネスシーンでは、頻繁に使われる言葉です。「ご覧になられる」という使い方も耳にしますが、一般には二重敬語とされるため、通常は「ご覧になる」とします。正しい敬語を使って、美しい日本語を話せるよう意識したいですね。
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武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
ライター所属:京都メディアライン



