日常の忙しさに追われ、自分はどこを見て、何を考え、どこに向かっているのか? 分からなくなってしまうことはないでしょうか? 視座は、あなたが物事をどう捉え、どう行動するかを、根本から見直す「力」を持っています。それは、視界を広げ、新たな可能性を発見するための手掛かりとなり得るでしょう。
この記事では、視座を高めることで手に入る、未踏の領域とその深い意味について、具体的に探求していきます。
視座を高めることで仕事の質が変わる!
視座とは、物事をどの高さや角度から見るかという「視点」の一つですが、より広い視野や長期的な視点を持つことを指します。
視座を高めることで、短期的な成果だけでなく、長期的な成功にもつながる判断ができるようになります。特にリーダーシップを発揮するためには、視座を高めることが欠かせません。
視座と視点・視野の違いとは?
視座、視点、視野は似たような言葉ですが、それぞれ異なる意味を持ちます。三つの言葉を、改めて辞書で調べてみます。
視点は、
し‐てん【視点】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 視線の注がれるところ。
2 物事を見たり考えたりする立場。観点。「―を変えて考える」「相手の―に立つ」
3 透視図法で、画像と直角に交わる仮定の一点。対象を眺める位置。
では、視野はというと…、
し‐や【視野】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 外界の一点を凝視するとき、その点を中心として見える範囲。視力の及ぶ範囲。「―が開ける」「―を遮る」
2 顕微鏡・望遠鏡・写真機などの、レンズで見ることのできる範囲。
3 物事を考えたり判断したりする範囲。「―の狭い人」「国際的な―に立つ」
三つ目の視座については、
し‐ざ【視座】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
物事を見る姿勢や立場。「人道主義的な―で発言する」
と書かれていました。
要約して理解するならば、視点は物事を観察する際の具体的な角度や立場。視野は、その視点から見渡せる範囲での情報の広がり。視座は、視点と視野を統合し、全体像を俯瞰して捉える力となるでしょうか。
視座が高い人の特徴とメリット
視座が高い人たちは、物事を単に表面的に見て判断することはしないようです。物事の背景や未来の影響までを考慮する。つまり、目の前の問題だけでなく、その問題が組織や社会にどのような影響を与えるかを深く考え、長期的な視野に立って物事を判断する。さらに、異なる意見や視点を柔軟に受け入れるのも大きな特徴といえるでしょう。
彼らは、表面的な解決策にとどまらず、持続可能な成長や改革を実現できる能力を発揮することが多いとされています。
別の表現をすると、視座が高い人は単に「正しい選択」をするだけでなく、その選択が将来にどのように影響を与えるかを深く考え、慎重に判断ができ、周囲からの信頼が厚い人といえるでしょう。
視座を高めるための実践的な方法
何を、どうすれば視座を高められるのか? 素朴な疑問を持たれる方も多いのでは? 一つ方法としては、「社会的視点を持つ」ことを意識してみてはいかがでしょう。普段の生活では、どうしても利己的な考え方や行動になりがちです。
そうした日常において、視座を高めるための一つの取り組みとして、個人の利益だけでなく周囲の人の利益、あるいは社会の利益を考える。「いつもとちょっと違った視点を持つ」、そんな意識が視座を高める実践につながるのでは?
ビジネスにおいても、個人の成績や成果のことだけでなく、チームや部署全体の利益を考える習慣を持つことでも視座を高めることにつながります。
視座を高めることは、物事をより多面的かつ長期的に捉える能力が養われることになります。結果として深い洞察を持つことができるようになるでしょう。
視座が低いと何が問題なのか?
視座が低いと、目の前の問題や短期的な利益にとらわれがちになります。これにより、長期的な視野を持つことが難しくなり、結果的に大きな成功を逃してしまう可能性が高まります。視座が低いままでは、リーダーとしての成長も限られてしまいます。
視座が低いことのデメリット
視座が低いことのデメリットについて、より深く考えてみましょう。視座が低いと、物事を個別にしか捉えられず、全体像を見失いがちです。この結果、短絡的な判断が増え、長期的な成功を見据えた戦略を立てることが難しくなります。さらに、自分の考えに固執しがちになり、他者の視点を取り入れることができなくなるため、結果的に孤立しやすくなります。
このような状態では、複雑な問題に対処する能力が低下し、組織全体の調和が乱れ、成果を上げることができなくなるでしょう。視座を広げることは、こうしたリスクを避け、持続的な成功を収めるために不可欠です。
視座が低い上司・部下の特徴
視座が低い上司や部下は、組織全体にとって大きな障害となり得ます。例えば、上司が視座を欠いていると、目の前の課題や数字に固執しがちで、チームの総合力を活かすことができなくなるでしょう。このような上司は、部下の潜在能力や長期的な成長を見落とし、指示に従うだけの無気力なチームを作り上げてしまう可能性が高いです。
視座が低い部下の場合は、業務全体の流れを理解できず、自己の行動や役割が組織全体にどう影響するかを考えられない。従って、上司や同僚との間には誤解や摩擦が起こることが多くなり、一緒に働くことにストレスを感じることになります。
結果として、チーム内での協力関係が崩れ、生産性が低下し、日常業務やプロジェクトなどが停滞することにつながります。
視座を上げるための習慣づけ
視座を高めるためには、日常生活の中で意識的に取り組むことが必要です。以下の習慣を取り入れることで、視座を徐々に上げていくことができます。
ロールモデルを見つける
視座を高めるために、ロールモデルを見つけることは非常に役立つと思われます。
単なる成功例を参考にするのではなく、その人がどのようにして成功に至ったのか、どんな壁に直面し、それをどう乗り越えたのかを学ぶことが手掛かりになるでしょう。例えば、優れたリーダーが困難な状況でどのように冷静な判断を下したのか、その背景にある思考や価値観を理解することで、自分自身の視座を高める手助けとなります。
大切なことは、単に成功の模倣ではなく、そのプロセスを深く理解し、自分の考え方や行動に反映させることではないでしょうか。また、ロールモデルを選ぶ際は、成功だけでなく、その人の倫理観や他者への影響力も忘れてはならないポイントになります。
多様なコミュニティに参加する
多様なコミュニティに参加することは、視座を高めるために極めて効果的です。異なる業界やバックグラウンドを持つ人々と接することで、自分自身の限られた視野を広げることができます。たとえば、異文化交流や異業種交流会に参加することで、他の分野での成功体験や失敗から学ぶ機会が得られ、物事をより広い視点で考える力が養われます。
また、異なる価値観やアプローチに触れることで、自分の固定観念を打破し、新しい解決策やアイデアを生み出すヒントを得ることができます。このように、多様なコミュニティでの経験は、視座を高め、より広い視野を持つための貴重なステップとなります。
読書や学習で視座を養う
読書や学習は視座を養うための根本的な方法です。ただし、単に幅広い分野の書籍を読むだけでは不十分です。重要なのは、深い洞察を得るために、各書籍や資料からどのような知識や教訓を引き出すこと。
たとえば、歴史書を読むことで過去の出来事や人間の心理について理解を深め、異なる文化や時代の視点を学ぶことができます。また、専門書や最新の研究に触れることで、現在のトレンドや技術の進展を把握し、未来のビジョンを描く助けとなります。
このように、読書や学習は単なる情報収集にとどまらず、深い思索を通じて視座を広げるための重要な手段です。
最後に
視座を高めることは、ビジネスだけでなく、人生全般においても大きなメリットをもたらします。日常生活や仕事の中で意識的に視座を上げる努力をすることで、より豊かで充実した人生を送ることにもなるでしょう。ぜひ、今日から視座を高める習慣を始めてみてください。
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