【目次】
・「諸事情」(しょじじょう)の意味・私情などとの違い・類語とは?
・「諸事情」の使い方を例文でチェック
・失礼に当たることも?「諸事情」に関する注意点
・最後に
「諸事情」(しょじじょう)の意味・私情などとの違い・類語とは?
主に、ビジネスシーンなどで使われる「諸事情」という言葉。そもそも正しい意味はご存知ですか? 詳しく解説していきます。
「諸事情」の意味
「諸事情」は、「さまざまな都合」「諸々の理由」という意味です。相手に事情や理由を明かしたくない場合や、事情が複雑で説明することが難しいときの婉曲表現として用いられます。ビジネスシーンにおいて、事情を簡潔に説明することが難しいときなどに使うと、会話やメールの文章がスマートにまとまりますよ。
「諸事情」と「私情」・「私用」・「私事」との違い
「私情」は、「個人的な感情」「利己的な心」を意味します。「私情」の「情」は「事情」ではなく、「感情」を表すため、「私情のため参加しません」というような使い方はできません。
ビジネスシーンなどで、相手に対して自分の都合や私生活のことを伝えたいときには、「私用」「私事」を使うと良いでしょう。どちらも、「公的ではない、個人的な事柄や私生活」を意味する言葉です。実際の会話の中では、「本日は私用のため早退します」、「私事ではありますが、この度結婚することになりました」のように使われることが多いですね。
「諸事情」の類語
「諸事情」によく似た意味の言葉として、「諸々の事情」や「込み入った事情」、「仔細(しさい)」などが挙げられます。「諸々」には、「色々」「様々」という意味があることから、「諸々の事情」は「諸事情」と同じような使い方ができます。
次に「込み入った事情」は、主に複雑な事情があるときに使われる言葉です。事情が複雑で説明がしにくい、というようなニュアンスが含まれます。「込み入った事情がありまして、今回は参加できません」などのように使いますね。
また、「仔細」はあまり使う機会の少ない言葉ですが、「詳しい事情」「込み入った理由」という意味があります。「仔細があり、お話しすることができません」など、「諸事情」と同じ意味として使われることが多いでしょう。
「諸事情」の使い方を例文でチェック
「諸事情」は、かしこまった場面で使われることが多い言葉ですよね。間違った使い方をしてしまわないよう、正しい表現を身につけましょう。
1:「諸事情により、今回の採用は見送らせていただきます」
「諸事情」は、「諸事情により」が定型句です。このように、採用試験の結果を伝えるときなどにも使用されます。具体的な理由を述べず「諸事情により」を使うことで、相手にそれ以上は説明ができない、ということを遠回しに伝えることができますよ。
2:「来月のイベントは諸事情を鑑みて、中止とさせていただきました」
「諸事情を鑑(かんが)みる」という表現も、ビジネスシーンにおいて用いられますね。「鑑みる」は、「手本・先例に照らし合わせる、参考にして考える」という意味です。ただ事情があるというだけではなく、諸々検討をした結果こういう決断をした、というニュアンスを伝えたいときに使用すると良いでしょう。
3:「避難者が抱える諸事情を、十分に理解する必要がある」
このような、不特定多数の人の様々な理由があり、全てを説明できない場合などにも「諸事情」は用いられます。特別な事情を持つ相手や、自分のプライバシーを守りたい場合などにも、覚えておくといい言葉ですね。
失礼に当たることも?「諸事情」に関する注意点
「諸事情」を使うときに、注意すべきことはどのようなことでしょうか? 詳しくみていきましょう。
「諸事情」を使う時の注意点
主に「諸事情」は、いくつもの複雑な理由があるときに使う言葉です。そのため、ある程度理由がはっきりしている場合に使うことはありません。例えば、会社を定年退職する場合には、会社を辞める理由が明白なため「諸事情」を使うことはありません。
また、立場上相手に詳しく説明する義務がある場合などには、「諸事情」を使わない方がいいでしょう。場面によっては詳しく説明しないことで、相手に不信感を抱かせてしまうことになりかねません。
例えば、自分のミスによって相手に迷惑をかけてしまった場合などには、詳しく事情を説明するなどの誠実な対応が求められます。このように「諸事情」は、時と場合に応じて使うか否か判断をしましょう。
「諸事情」と説明された時の注意点
「諸事情」という言葉には、「言いにくい事情があるため察して欲しい」というようなニュアンスもあります。そのため、相手から「諸事情で…」と言われた場合には、それ以上詳しいことは尋ねない方がベターです。相手の事情や気持ちに配慮した大人の対応を心がけましょう。
最後に
いかがでしたか? ビジネスシーンにおいては、自分の個人的な事情や私生活を具体的に説明すべきではない場面もありますよね。そのようなときに「諸事情」は、詳しい事情を説明しなくても、相手にさまざまな事情があるということを伝えられる便利な言葉です。
覚えておくと、いざというとき役に立つかもしれませんね。また「諸事情」は、他人からあまり触れられたくない理由があるときに使われることが多い言葉。相手から「諸事情で…」と言われたときは、あまり詮索をしないように心がけたいですね。
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