「“私事”ですが…」は、なんと読む?
よく目にするフレーズ、「私事ですが…」みなさんは、なんと読んでますか?
◆「私事」は「わたくしごと」の他に読み方がある
まずは私事の意味から解説します。私事とは、以下のことをいいます。
1:公的でない、自分だけに関係した個人的な事柄
2:自分だけのこととして、秘密にしていること。内証事。隠し事
さて読み方ですが、実は「わたくしごと」の他に「しじ」という読み方でもOKなのです! しかし、「しじ」は私事のほか、支持や指示、師事など、同音異義語が多数あり、パッと聞いてわかりにくいことから、「わたくしごと」と読む方が一般的となっています。
なお、私事都合(しじつごう)や私事渡航(しじとこう)など、「しじ」と読むことが決まっている場合もありますのでご注意を!
◆どんな場面で使う?
私達がよく耳にするのは、退職や結婚・妊娠の報告など、上司に私的な事情を説明する時ですよね。単に私自身に関することなんだけれど、というだけでなく、公的ではない事柄を話題にするような断りを入れる場面に使います。つまり、会社などの公の場で使用します。
「公の場に個人的な話を持ち込んで恐縮ですが」という意味合いで使っているんですね。
また、私事のもつ、“自分だけのこととして、秘密にしていること”という2つ目の意味から、個人的な理由であり、相手に余計な気を使わせたくない、詳細は伏せておきたい、などのニュアンスも併せ持ちます。
そのため、プライベートな場で「私事なんだけど…」は距離を感じさせる言い回しとなってしまいます。会社の同僚でも友人として報告するのであれば、「実は」と話を切り出してOKですよ。
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いかがでしたか? 漢字から自分自身のことを話すときに使う枕詞だと思っていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。そうではなく、本来は私的な事柄を持ち込むべき場面でないところで、オブラートに包んで話すときに使う言葉なんですね。
そのため、「私事ですが…」と切り出された際には質問事項は必要最小限にとどめておきましょう。例え、おめでたい話題であってもあまり多くを語りたくない場合もありますし、聞いて欲しい事柄だったら相手から率先して話してくれるもの。公的な場であることも踏まえて対応できるといいですね。
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鶴田初芽
都内在住のOLライター。マナーインストラクターであり、実用マナー検定準一級や敬語力検定準一級など、ビジネスにおけるマナーや、マネーに関する資格(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融コンプライアンスオフィサー、マイナンバー保護オフィサー)などを保有。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!