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この記事のサマリー
・「私用」は個人的な用事を指し、「公用」の対義語です。
・ビジネスでは「所用のため」と言い換えるのが丁寧です。
・「所用」は公私を問わずの用事、「所要」は必要な時間や物を表します。
ビジネスメールや申請書などで「私用のため」と書く機会は多いものの、「所用」や「所要」との違いに戸惑う人も少なくありません。社会人としての印象を左右する言葉だからこそ、正確な使い分けを理解しておきたいところです。
この記事では、『デジタル大辞泉』や『日本国語大辞典』(ともに小学館)などの信頼できる辞書をもとに、「私用」の正しい意味と使い方を整理し、場面に応じたふさわしい表現を紹介します。
「私用」とは? 意味と使い方を正しく理解しよう
ここでは、辞書の定義をもとに「私用」という言葉の意味を確認します。
「私用」の意味
「私用(しよう)」は、「公用(こうよう)」の対義語で、個人的な目的に使うこと、または自分自身の用事を表します。
辞書で意味を確認しましょう。
し‐よう【私用】
[名](スル)
1 私事に用いること。「社用封筒を―する」「―電話」⇔公用。
2 自分個人の用事。私事。「―で早退する」⇔公用。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「私用」は、私的に物や金品を使うこと、あるいは個人的な用事のことを指します。
「公」に対して「私」を示し、職務とは無関係な個人の行動や目的を指す言葉として定着しています。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)

「私用」の対義語と類語
「私用」の対義語である「公用」をはじめ、似た言葉の「所用」「所要」について、それぞれ正しく使い分けるために、意味を整理しましょう。
「私用」の対義語「公用」
「公用」は、おおやけの用事を指します。
国や公共団体、勤務先の会社などに関わる用務のことで、「公務」とほぼ同義です。また、「国や公共団体が使用すること」を意味する場合もあります。
例文:「公用のため、外出します」
「所用」
「所用」は、「用いること」「用いるもの」のほか、「用事・用件」という意味を持ちます。公私を問わず、何かしらの用がある場合に使う表現です。
例文:「所要のため、明日は欠席します」
「所要」
「所要」は、「あることをするのに必要とすること」や「必要なもの」を表します。「所要時間」「所要の手続き」のように、時間や手続きなど、必要量を示すときに使います。
例文:「会場までの所要時間は約30分です」
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
ビジネス・学校・日常での「私用」の使い方
具体的な例文とともに「私用」の使い方を紹介します。

社用車を私用することは禁止されています。
「社用車」は会社の業務用。ここでは「私用=個人的な目的」で使うことを意味し、公私のけじめを強調しています。
私用のため、早退させていただきます。
この場合の「私用」は「個人的な理由・用事」。詳細を明かさずに済むビジネス上の言い回しとして定着しています。
上司は、私用で午後から外出している。
「私用で外出する」は「仕事とは関係のない理由で外出する」の意。勤務報告や伝達の際によく使われる表現です。
英語で「私用」を伝えるには?
海外のビジネスメールや出張時の連絡でも使える「私用のため」の英語表現を紹介します。
“private use”
“private use”は、私的に使用することを表す言葉です。”private”には「個人の所有する」「私用の」という意味があり、公共の場所や備品で見られる”Not for private use”は「私用禁止」の表示にあたります。
例文:“This document is for private use only.”
(これは私的に使うための書類です。)
“private business”
“private business”は、「私的な用事」や「私的な理由による外出」を表し、職務とは無関係な個人の用件を指します。
例文:“I need to leave a little early for some private business.”
(私的な用件のため、少し早く退社させていただきます。)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「私用」に関するFAQ
ここでは、「私用」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「私用」とは、どういう意味ですか?
A. 「私用」は私的に物や金品を使うこと、あるいは個人的な用事のことを指します。
Q2. 「私用」と「公用」はどう違いますか?
A. 「私用」は個人的な用事、「公用」は職務や公的な用事を指します。
Q3. 「私用」と「所用」は同じ意味ですか?
A. 「私用」は個人的な用事を指し、「所用」は公私を問わずの用事を意味します。
最後に
「私用」は、公務や職務と区別して、個人的な用事を表す言葉です。正しい意味を理解すると、使い方にも迷いがなくなりますね。
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