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「私用」とは、個人の用事を表す言葉
自分や家族の用事で休暇や遅刻、早退を申請する際、「私用のため」を理由にすることが多いと思いますが、「私用」とする範囲がどこまでなのか、明確に知っていますか?
たとえば、裁判員制度で裁判に参加するために休暇を取るという場合、「私用」とは言い切れませんよね。「私用」とはどのようなことを指すのか、意味や使い方とともに見ていきましょう。
意味を辞書でチェック
▷【私用】読み方:しよう
1:私事に用いること。「社用封筒を私用する」「私用電話」⇔公用。
2:自分個人の用事。私事。「私用で早退する」⇔公用。
《デジタル大辞典》(C)Shogakukan Inc.より引用
上記から、「私用」とは個人的な用事を意味することがわかりますね。「私用」をよく使うのは、休暇など、スケジュールが関係する場面でしょう。
「所用」と何が違う?
「私用」とよく似たイメージのある「所用」は、「用事」や「用件」を表します。「私用」が個人的な用事のみを表すのに対し、「所用」は用事そのものを表すのが違い。そのため、公用については、「所用」を使うのが一般的です。
「私用」とはどう使う? 具体的な使い方を例文で紹介
ここからは「私用」の具体的な使い方を見ていきましょう。「私用」には2つの意味があるので、意味別に例文を用いて紹介します。
使い方1:私事に用いる
《例文》
・「勤務中に私用でSNSを見るのは禁止です」
・「社用車の私用は原則禁止とされているが、申請をすれば認められることもある」
・「会社のメールアドレスを私用するのは、セキュリティ面から厳禁とする」
公的なものを私用するのは原則NGとする企業がほとんどですが、ケースによっては認められるということも。その場合は、申請などの手続きが必要になることが多いでしょう。
注意したいのは、会社で使う個人のメールアドレスを私用すること。アドレスは、業務を遂行するために会社が貸してくれているもののため、私用はNGとする企業がほとんどです。
会社のメールアドレスを私用して何かしらのトラブルが生じると、大きな事態に発展するということも。特に、セキュリティ面で問題が生じると、収集がつかなくなってしまう可能性があります。
使い方2:自分個人の用事や私事
《例文》
・「その日は私用があり、どうしても出席することができません」
・「私用のため、来週の打ち合わせをキャンセルすることにした」
・「講座は受講するが、その後の懇親会は私用のため不参加とした」
休暇や遅刻、早退などを申請する際や、私的な用事でイベントや打ち合わせ、会議をキャンセルするような場合に、「私用」という表現を使います。基本的には具体的な理由を示さず、「私用のため」とするのが一般的です。
「私用」となる範囲は
一口に「私用」と言っても、どこまでが「私用」になるのかわからないですよね。「私用」にあたる範囲について、見ていきましょう。
「私用」の範囲とは?
下記に挙げる用事は、「私用」とするのが一般的です。
・レジャーや旅行
・自分や家族の各種手続き
・子供の学校行事など、家庭内の用事
・病気やケガなどによる通院
・冠婚葬祭
裁判員制度で裁判に参加するなど、国や公共団体などに関連する用事は、「公用」にあたります。
「私用」にあたるのか判断に迷う場合は、上司もしくは休暇などを取り扱う部署に確認するといいでしょう。
有給休暇の理由に「私用」は使える?
有給休暇を申請する際、「私用」を理由にしてもいいのかどうか、迷う人もいるかもしれません。結論を言うと、「私用」での取得はOK。申請理由に「私用のため」と書いても何ら問題はありません。
有給休暇の申請に理由は要らない
有給休暇の申請時、休む理由を書かねばならないという会社もあるでしょう。しかし、有給休暇は労働者の権利として法的に保障されているため、実は取得理由を伝える必要はないとされています。
それなのに、申請時に理由を尋ねる企業が多いのは、業務を調整するため。有給休暇の取得により業務に支障が出そうな場合、理由によっては取得日をずらすようお願いしたいと考えているからです。
会社は調整する権利を持っており、これを「時季変更権」と言いますが、会社が一方的に調整するのは認めないとされています。
「私用」を使わない方がいいケースを紹介
ここからは「私用」という言葉を使わない方がいいケースを紹介します。使い方によっては、相手にマイナスの印象を与えてしまう可能性があるため、注意してください。
社外への連絡
取引先やお客様に対して、休みや不在を伝える際に、「私用のため」とするのは避ける方が無難。相手によっては、マイナスイメージで捉えられる可能性があるからです。
社外への連絡には「所用」を使うといいですね。「私用」よりもかしこまった表現になるため、相手の心象を損ねる可能性も低いと言えるでしょう。
当日の遅刻や早退、緊急時の連絡
当日の遅刻や早退、緊急時の連絡でも、「私用」という表現を使うのは避けることをおすすめします。「私用のため」と言ってしまうと、相手は不信感を抱くかもしれません。
このような場合は、具体的に理由を伝える方がいいですね。明確に理由を伝えることで、仕事の引き継ぎもスムーズに進むでしょう。
「私用」を使ってもいいシーンもチェック
「私用」を使ってもいいシーンも把握しておきましょう。有給休暇申請時以外について、紹介します。
社内連絡で使うのはOK
社外への連絡については、「所用」を使うのが無難ですが、社内向けの連絡なら「私用」を使うといいですね。特に、自分の休暇や遅刻、早退などの情報を共有しておきたい場合は、「私用のため」と表現して良いとされています。
電話や口頭で「私用のため休む」のように伝えると、理由を聞かれることもあるでしょう。その場合は、支障のない程度に答えておくといいですよ。
最後に
休暇などの申請や連絡でよく使う「私用」とは、個人的な用事を表す言葉です。社内への連絡や社内での申請をする際は、「私用のため」のように使うといいですね。しかし、社外への連絡や、緊急時の連絡などでは、「私用」を使うのは避ける方が無難。「所用」という言葉に言い換えて連絡することを、おすすめします。休みを取る際、周りから理由を聞かれることもあると思いますが、支障のない範囲で答えておくといいですね。ただし、当日の急な遅刻や早退、緊急時は、明確な理由を伝えるようにしましょう。
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