「所用のため」とは?
「所用(しょよう)のため」の「所用」とは、用事や用件という意味です。「所用のため」は、何らかの用事があることを指しています。
「所用のため欠席します」といった使い方をします。具体的な用件の説明をせずに、「用事がある」ということを伝えたいときに便利な言葉です。
ここでは、「所用のため」の意味について、みていきましょう。
公私を問わずあらゆる用事を指す
「所用」には、用事・用件と「用いること」という2つの意味があります。「所用のため」の所用は用事・用件という意味で、主にビジネスシーンで使われる言葉です。公私を問わず、あらゆる用事を指しています。
日常生活では「用事があるため」でもかまいませんが、ビジネスシーンでは失礼にあたる場合もあります。「所用のため」であれば、事情を細かく説明せずに用事があることを丁寧に伝えられるため、欠席する際などによく使われます。
「所要」「諸用」との違い
所用と同じ発音をする言葉に、「所要」や「諸用」があります。それぞれ意味は異なるため、違いを理解しておきましょう。
所要とは、「必要とすること・もの」という意味です。「所要時間」「所要人数」といった使い方をします。所要を、「必要」と言い換えることもできます。所用とは意味がまったく異なるため、メールなどで使用する際は間違えないように注意しましょう。
諸用の「諸」はものが多くあることを指し、諸用は複数の用事という意味です。「所用のため」ではなく「諸用のため」と書けば、いくつかの用事があることを伝えられます。
「所用のため」を使うシーンと例文
「所用のため」を使うのは、主にビジネスシーンです。プライベートのシーンで「所用のため」を使うのは、堅苦しい印象になります。
ビジネス上で欠席や休みを伝えるときや、代理でほかの人の欠席や休みを伝えるときに使うことが多く、「用事があるため欠席できません」と伝えるよりもフォーマルな印象を与えます。
ここでは、「所用のため」の例文を、使うシーンに分けてご紹介します。
欠席などを伝えるとき
ビジネスで取引先などに欠席や遅刻などを伝えるとき、「所用のため」を以下のように使います。
・所用のため、本日の会議を欠席いたします
・急な所用ができてしまい、申し訳ございませんが本日の営業は休業とさせていただきます
・恐れ入りますが、本日のセミナーは所用により出席できなくなりました
・所用のため遅れまして、申し訳ありません
・午前中は所用のため、受付をお休みさせていただきます
ほかの人の代理で対応するとき
ビジネスでは、代理でほかの人の欠席や不在を伝えることも少なくありません。代理で対応するときの例文は、以下のとおりです。
・ただいま担当者は所用のため外出しており、折り返しご連絡させていただきます
・〇〇は所用のため、本日はお休みをいただいております
・〇〇は所用のため席を外していますので、代わりにご用件をうけたまわります
「所用のため」の類義語
「所用のため」には類義語があります。個人的な用事を指す「私用のため」や、さまざまな事情があることを伝える「諸事情により」があげられます。事情を説明する状況に合わせて、使い分けましょう。
明確な事情を伝えたくないときなどに、「用向き」という言葉が使われます。用向きも所用と同じく「用事・用件」という意味です。
ここでは、「所用のため」の類義語を2つご紹介します。
私用のため
「私用(しよう)のため」は、個人的な事情という意味です。所用と私用のどちらも欠席や休みなどの理由として使われますが、「所用」は公私を問わないのに対し、「私用」は個人の用事に限定される点が異なります。
私用は、プライベートな用事であることを強調したいときに使います。
なお、有給休暇を取得するときは、「所用」ではなく「私用」を使いましょう。有給休暇をとるのは、個人的な理由であることが一般的であるためです。
「私用のため」の例文
・本日、午後から私用があるため、早退させてください
・私用のため、〇月〇日に有給休暇を取得します
諸事情により
「諸事情(しょじじょう)」とは、「さまざまな事情がある」という意味です。事情がいくつもあることを伝えたいときに伝えます。複雑な事情で説明すると話が長くなってしまうときなど、説明を省いて「諸事情により」を使うと便利です。
ただし、「何が起きたのか」と推察されることにもなるため、多用は避け、使う場面にも注意しましょう。
「諸事情により」の例文
・諸事情により、〇月〇日まで休業いたします
・明後日のイベントは諸事情により、延期となりました
「所用のため」を使うときに注意したいこと
「所用のため」は断りを入れるときに便利な言葉ですが、使う場面には注意が必要です。急な欠席や自分に落ち度があるときなど、理由をはっきりさせる必要があるときに使うと、失礼にあたる場合があります。
印象が悪くなることもあるため、先方に迷惑をかけるときなどは、どうしても避けられない事情があることを明確にしましょう。
また、「所用のため」を社内で使うのも、避けたほうが無難です。誰かの不在を伝える際や会議の欠席を伝えるときなどは、業務を円滑に進めるため、どのような事情で不在・欠席なのかを明確にしなければなりません。
「所用のため」を理解して正しく使おう
「所用のため」は用事があり、欠席などを伝えるときに使う言葉です。公私を問わず、何らかの用事があるときに使います。理由を明確にできないとき、湾曲な表現をしたいときに役立ちます。
ただし、言葉を濁されたと受けとられることもあるため、多用は避けてください。当日に欠席するなど理由を明確にしなければいけない場面では、きちんと理由を説明するようにしましょう。
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