「スコープ」とは? 意味を確認
「スコープ」というと、内視鏡検査で使う器械や小型望遠鏡の印象が強いかもしれません。実はスコープは、さまざまな意味を持ち、ビジネスシーンでは重要視されているのです。
特に、何かしらのプロジェクトを成功させるには、スコープは欠かせないもの。今回はビジネスにおけるスコープについて見ていきましょう。
「スコープ」を辞書で調べました
▷スコープ【scope】
読み方:すこーぷ
1:能力・理解などの及ぶ範囲。視野。
2:教育課程を編成する際に、学習内容を選択する基準となる領域または範囲。
3:銃器の照準器。
4:多く複合語の形で用い、それを見る器械という意を表す。「ファイバー—」「シネマ—」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
スコープの意味は4つ。ビジネスシーンで使われるのは「範囲」や「視野」ですが、シーンによりニュアンスが変わります。どのような意味になるのか、使い方も含めて把握しておくといいですね。
ビジネスにおける「スコープ」
ここからはビジネスにおけるスコープについて、見ていきましょう。この場合のスコープは、プロジェクトにおいての作業範囲を示したもの。スコープを正確に設定することで、作業範囲や作業内容を理解しやすくなるとされています。
プロジェクトを管理する際、関連してくる用語がありますので、意味や内容を紹介します。
プロダクトスコープ【product scope】
「成果物スコープ」とも呼ばれ、プロジェクト管理において定義される、情報システム・サービス・文書などの成果物のこと。プロジェクトの工程ごとに作られたシステムや仕様書など、すべてのものが対象です。基本的には、これの範囲と詳細について、発注者と受注者が合意のもと、プロジェクトが進められます。
プロダクトスコープを定義すると、プロジェクトの達成度が把握しやすくなり、加えて、何をつくり、何をつくらないかが明確になります。
プロジェクトスコープ【project scope】
プロジェクト管理において定義される、情報システム・サービス・文書などの成果物を生み出す上で、必要となる作業の内容のこと。これの範囲と詳細については、発注者と受注者が合意のもと、プロジェクトが進められます。「作業スコープ」と言うことも多いでしょう。
プロジェクトスコープは、作業工程を細分化し、必要な作業内容を省略せずに明記するもの。どんな作業をするのか、どの程度まで作業をするのかを明確化します。
それぞれのスコープを定義すると、効率化につながる
プロダクトスコープを定義すると、作成するものや必要なもの、必要でないものなどがはっきりし、整理されます。そのため、作成物の無駄や漏れをなくすことにつながるでしょう。
また、プロジェクトスコープは、余分な作業や作業漏れをなくすことも可能。どちらもプロジェクトの効率化につながるため、コストやスケジュールの管理が的確になり、損失のリスクを減らすことや、業務効率化につながることが期待できます。
ビジネスでの「スコープ」、使い方は?
ビジネスシーンで、「スコープ」をどのように使うか見ていきましょう。例文で紹介します。また、似たイメージのある「レンジ」との違いもチェックしてください。
例文で紹介
【例文1】チーム内でプロジェクトの情報を共有するために、スコープを定義するよう伝えた
プロジェクトを成功させるために、必要な情報をすべて書き出し、メンバーに共有することを表しています。情報には目的や作業工程だけでなく、作業における検証や承認の手順も含むと考えてください。
【例文2】該当プロジェクトのスコープを可視化したところ、この作業はスコープ外であることがわかった
スコープを書面にしたところ、一つの作業がプロジェクトスコープの範囲外であることがわかったことを表しています。スコープの可視化をすることで、無駄や範囲外のことに気づき、効率化につながることも少なくありません。
「レンジ」との違いは?
スコープと似た意味を持つ言葉に、「レンジ」があります。レンジとは、数値や分野などの範囲、広がりを表す言葉。どちらも同じ意味のように思えますよね。
レンジは、数値的な範囲を表す際に使われており、価格の範囲などは、レンジを使うでしょう。スコープは作業範囲などを表しますので、その点が異なると考えてください。
器機の「スコープ」もチェック
器機のスコープについてもチェックしていきましょう。さまざまなタイプのスコープがあり、医療や映像、自然観察など、さまざまなシーンで使われています。
シネマスコープ
ワイドスクリーン映画の一種であり、特殊な円柱レンズを用いて横幅を圧縮して撮影した画像を、映写の際に横に拡大映写するもののこと。スクリーンの縦横の比率は1対2.35。基本的には3対4が多いため、通常よりも広い画面を作り出すことができます。
1953年、米国で実用化されたのち、映画会社の間で採用されるようになりました。
ファイバースコープ
細いガラス繊維を多数束ねたもののこと。途中で曲がっても、光は繊維の内部で全反射を繰り返しながら進み、光源の像を正確に伝えることができます。医療機器に用いられているため、知っている人も多いでしょう。
ファイバースコープは、カメラではなく、レンズからスコープの先にあるものを確認するというもの。この技術は多くの分野で採用されており、光通信や工業分野、宇宙事業などでも活用されています。
フィールドスコープ
野鳥観察など、野外での自然観察に使用する、地上望遠鏡のことです。倍率は20倍程度で、携帯用のものを指すことが多いでしょう。最近では、スマートフォンやデジタルカメラと併用できるようなものもあり、通常では撮れないような写真にできるという機種も登場しています。
フィールドスコープは、自然観察の楽しみをさらに上げてくれるアイテムです。写真に興味のある人は、ぜひチェックしてください。
最後に
「スコープ」について紹介しました。医療機器や地上望遠鏡をイメージする人も多いかもしれませんが、実はビジネスシーンでも使われている言葉です。プロジェクト成功の鍵を握るとされるスコープは、今後さらに重視されるかもしれません。ビジネスシーンにおけるスコープについて知らないという場合は、まず言葉の意味を把握し、対応できるようにしておきたいですね。
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