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「ストレッチ目標」という言葉をご存じでしょうか? 会社などで聞いたことがあるという方も、いらっしゃることでしょう。一方、人によっては、あまりなじみがない言葉かもしれません。また、「普通の目標とはどう違うの?」や、「チャレンジ目標との違いや?」などの疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。
この記事では、ストレッチ目標の一般的な意味や特徴、チャレンジ目標との違いなどを解説します。
ストレッチ目標とは?|挑戦的な目標設定がビジネス成長を加速する理由
まずは、ストレッチ目標の一般的な意味や、特徴などをみていきましょう。
ストレッチ目標の基本的な定義と特徴
ストレッチと聞くと、「身体の筋肉を伸ばす運動」というイメージが真っ先に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか? ストレッチは、英語で引っ張る、伸ばすという意味の言葉です。ストレッチ目標とは、一般的に、かんたんに到達はできないものの、努力すれば届きそうな目標という意味で使われることが多いですよ。
身体のストレッチでも、あまりに急に伸ばしすぎると、筋肉を痛めてしまうこともありますよね。ビジネスの目標でも、このように無理な負荷をかけすぎると、かえってモチベーションが下がってしまうことも…。反対に、あまりにも低すぎる目標では、なかなか成長も難しく、ビジネスも停滞してしまいますよね。
ストレッチ目標は、少しずつ様子を見ながら、適度に負荷をかけていくというイメージで考えると分かりやすいでしょう。
ストレッチ目標とチャレンジ目標の違い
ストレッチ目標と関連してよく使われるのが、チャレンジ目標です。チャレンジという名の通り、挑戦的な目標のこと。ストレッチ目標に比べると、より難易度が高い目標として使われるのが一般的ですよ。
ストレッチ目標の具体例と実践方法
ストレッチ目標の例や、実践方法には、どのようなものがあるでしょうか? 職種ごとに例をみていきましょう。
営業・開発・事務職でのストレッチ目標の具体例
各職種のストレッチ目標は、次のようなものがありますよ。
・営業のストレッチ目標例:「四半期の売上を〇円達成する」や、「商談を1か月で〇つ設定する」などの数値目標
・開発のストレッチ目標例:「製品の試作品を月末までに、〇つ制作する」などの数値目標
・事務のストレッチ目標例:1か月の請求書や契約書の処理件数や、処理スピードなどの数値目標
・採用のストレッチ目標例:1か月のスカウトへの返信率や、面談の設定件数などの数値目標
あくまで一例ですが、参考にしてみてくださいね。
効果的なストレッチ目標の立て方と注意点
効果的なストレッチ目標を立てるためのヒントと、注意すべきポイントもみていきましょう。
ヒント1:目標設定には、便利なフレームワークがありますよ。例えば、有名なフレームワークには、SMARTというものがあります。SMARTは、次のような要素を満たした目標のこと。
・具体的である(Specific)
・計測できる(Measurable)
・達成できる(Achievable)
・経営目標に関連している(Related)
・期限がある(Time-bound)
解説によっては、少し要素に違いがあることもありますが、有名なフレームワークですので、おさえておくと便利でしょう。
ヒント2:ストレッチ目標が、スキルや経験、周囲から求められるレベルに合っているかを確認するというのも、重要な視点です。
例えば、自分ではストレッチ目標だと思って設定した目標に対して、「うーん… まだそれは早すぎるかもね」や、「それは会社としては、優先順位が低いかも」と先輩や上司から言われ、ショックを受けたという人も…。経験豊富な人からの意見や、客観的な意見も取り入れるようにしましょう。
ストレッチ目標のメリットとデメリット
ストレッチ目標のメリットやデメリットもみていきましょう。
メリット|生産性向上とモチベーションアップの理由
ストレッチ目標は、モチベーションアップにつながりやすいといわれています。たしかに、「ちょっと背伸びすれば届きそう」というレベルだと、「やってみよう」という姿勢になりやすいですよね。
また、ストレッチ目標は、生産性向上という意味でも効果が期待できます。具体的にいつまでに何を達成したいという目標があると、改善していくことも多いのではないでしょうか?
デメリット|無理な目標設定が引き起こすリスクと対処法
ストレッチ目標のデメリットは、仕事量や時間への意識を忘れがちだという点です。実際にある会社の営業部であった事例では、四半期ごとに売り上げのストレッチ目標を設定していました。最初の期に目標達成ができたAさんは、どんどん無理な目標を追い求めるようになっていったといいます。
当時を振り返ったAさんは、「周りも期待してくれていたし、最初の達成感が忘れられなかった」と語ってくれました。結果的に、Aさんは過労で倒れ、上司や同僚も責任を感じてしまったといいます。
このようなことを防ぐには、これは適度な負荷なのか、行き過ぎているか、日頃から体や心に向き合うようにすることも必要でしょう。
ストレッチ目標を成功に導くためのコツと実践的アドバイス
ストレッチ目標を成功させるためには、どんなコツがあるかも気になるところですよね。意識したいポイントもみていきましょう。
設定後のフォローアップと継続的な見直しの重要性
目標を設定しても、定期的に振り返る習慣や、フォローアップがないと、達成できる確率は下がってしまうことが多いでしょう。
上司や先輩など、自分よりも経験が豊富な人と「今の目標達成度は?」や、「達成するために今やるべきことや、変えるべきことは?」などを相談して、定期的にチェックしていくことがおすすめですよ。
成功事例から学ぶ効果的な目標設定
ある情報通信業の会社で営業をしていたMさんは、ストレッチ目標の成功事例といえるでしょう。Mさんの働くこの企業は、全世界に拠点があるグローバル企業。Mさんは、「この会社で、売り上げ世界1位を取ること」を目標に入社したといいます。
そして、自分でストレッチ目標を毎月設定。もちろん、上司や先輩の意見も積極的に聞いて、振り返りも行っていたといいます。約10年の歳月を経て、Mさんは見事世界1位に輝きました。「ストレッチ目標を活用すれば、最終的に大きな目標も達成できる」というMさん。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
最後に
この記事では、ストレッチ目標の一般的な意味や特徴、チャレンジ目標との違い、成功事例などを、実例を交えて解説しました。「心も体も大切にしながら、仕事で成長していきたい」という方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
TOP画像/(c) Adobe Stock
塚原美彩(つかはらみさ) 塚原社会保険労務士事務所代表
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサルの傍ら、ポジティブ心理学をベースとした研修講師としても活動中。HP:塚原社会保険労務士事務所 ライター所属:京都メディアライン