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2024.11.01

エルダー社員とシニア社員の違いとは? その役割と企業が期待すること【社労士監修】

エルダー社員は、年齢の明確な決まりや定義があるわけではありませんが、一般的に定年後に再雇用されている社員を指す言葉です。近年、多様な年齢の人材の活躍が話題ですよね。この記事では、エルダー社員とシニア社員の違いや役割、企業が期待することなどを解説します。

「エルダー社員」という言葉を聞いたことがありますか? 今働いている職場に、エルダー社員がいるという方もいらっしゃるかもしれません。一方、初めて聞く方もいらっしゃることでしょう。また、「エルダー社員って、どんな人のこと?」や、「シニア社員との違いは?」などの疑問の声も聞こえてきそうですね。

この記事では、エルダー社員の概要や、シニア社員との違い、エルダー社員の役割、企業が期待することなどを解説します。

少子高齢化や人手不足などの影響で、特に注目されているキーワードですので、ぜひチェックしてみてくださいね。

エルダー社員とは? 企業での役割と注目される理由

まずは、エルダー社員の概要や、役割、注目されている理由などをみていきましょう。

(c) Adobe Stock

エルダー社員の定義とその意義

エルダー社員は、法律上明確な定義があるわけではありません。ですが、エルダーという言葉が「年上」、「年長者」という意味を持つため、年齢が比較的高めの社員を指すことが多いようです。

近年、人手不足や少子高齢化の問題などのニュースを耳にする機会が多いのではないでしょうか? そこで、定年を迎えたあとに再雇用されて働く人の活躍が注目されています。定年後にも働く人を、「エルダー社員」と呼んでいるケースも多く、さまざまな分野で活躍している人が増えてきているようですよ。

エルダー社員とシニア社員の違い

エルダー社員と似た言葉に、シニア社員というものがあります。「エルダー社員とシニア社員の違いは?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。

エルダー社員とシニア社員には、明確な年齢の違いがあるわけではありません。例えば、ある会社では、60歳以上の社員をエルダー社員、65歳以上の社員をシニア社員と呼んでいますよ。また、別の会社では、定年再雇用の社員を、シニア社員と呼んでいたそうです。ですが、「別の呼び方にしては?」という声があり、「エルダー社員」という名称に変えたという会社も。

ここからは、厚生労働省が紹介している、定年後の人材の活躍を目指す、「エルダー社員制度」にフォーカスして、解説します。

エルダー社員制度の成功事例と導入のポイント

エルダー社員制度を導入すると、どのようなメリットやデメリットがあるのか、気になる方も多いことでしょう。まずは、エルダー社員の成功事例や、導入のポイントを解説します。

(c) Adobe Stock

エルダー社員制度を導入するメリットとデメリット

エルダー社員制度には、さまざまなメリットがありますよ。まず、「知識や経験、ノウハウの継承がしやすくなる」という点にメリットを感じる会社が多いようです。

特に、技術職や専門的な知識が必要な職種では、若手の育成に時間がかかるという悩みはよくあるでしょう。そこで、経験豊富なエルダー社員が、新人教育などに協力してくれることで、スムーズに人材が育成できるという声をよく耳にします。

また、人手不足の解消という意味でも、メリットを感じるというケースも。最近では、他社で定年退職したあとに、別の会社でエルダー社員として入社するということもあるようですよ。筆者の知人の働く会社では、こういったエルダー社員の方が多いといいます。知人は、「エルダー社員の方々は、社会人経験が豊富でいろいろと相談でき、とても頼りにしている」と語ってくれました。

では、エルダー社員のデメリットには、どんなものがあるのでしょうか? まず、よく指摘されるデメリットは、「制度を作ることに、時間や労力がかかる」ということ。例えば、就業規則や賃金規定、人件費との兼ね合いなど、考えるべきことや、整備することが多く、「導入したくても、ためらってしまう」という会社もあります。

成功事例から学ぶエルダー社員制度の運用術

エルダー社員制度をうまく運用するには、どのような点を意識するといいのでしょうか? 次のような成功事例が参考になるでしょう。

・時短勤務や、勤務日数を社員の希望に応じて、柔軟に変えられる制度
・本人の希望や部署の人たちの意見に応じて、定年後も定年前と同じ仕事と賃金で働ける制度
・業務を細かく分けて、特定の仕事のみを選べる制度(例:新人教育のみ担当など)

このほかにも、多くの企業の事例をまとめた資料が、厚生労働省によって公開されていますよ。取り入れられそうな事例があるか、チェックしてみてくださいね。

参考:厚生労働省「高齢者の活躍に取り組む企業の事例集の展開」

エルダー社員の給料や待遇について知っておきたいこと

ここからは、エルダー社員の給料や待遇について、おさえておきたい点も解説します。

(c) Adobe Stock

エルダー社員の給与制度と昇給のポイント

エルダー社員の給与制度を考える際、まず気を付けたいのが仕事内容や仕事量とバランスがとれた賃金や昇給幅になっているかという点。ここがアンバランスになってしまうと、働くモチベーションが低くなってしまうことや、急な退職などにつながる可能性も高いので、注意が必要です。

エルダー社員の待遇向上のために企業ができること

エルダー社員の待遇を向上するためには、次のようなアイデアがありますよ。

・意欲や能力、仕事量に応じた待遇になっているか定期的に見直す
・年齢で一律に区切るのではなく、個人ごとに相談して決定する
・賃金や待遇を決める基準を社内で明確にする

これらは、あくまで一部の事例ですが、参考にしてみてくださいね。

エルダー社員を支えるための社内サポート体制の整備

エルダー社員が活躍できる体制にするには、社内サポートも欠かせません。ここからは、具体的なサポート方法をみていきましょう。

エルダー社員を支援するための具体的なサポート方法

エルダー社員をサポートするには、まず、家庭状況や体力、体調に合わせた働き方ができるような仕組みをつくることが重要です。実際に、「体力的につらい」や、「家族との時間を多めにしたい」など、さまざまな事情があるでしょう。そのため、仕事内容や勤務時間、日数を選べることや、意向を定期的にヒアリングするなどのサポートが効果的です。

参考:厚生労働省「先進企業にみる高齢者活用のポイント」

エルダー社員と若手社員の連携を促進する工夫

エルダー社員と若手社員がうまく連携していくには、どんなことができるでしょうか? ある会社では、エルダー社員に、社内研修の講師を担当してもらうようにしたところ、良い「研修がきっかけで、年齢に関わらず話しやすい雰囲気になった」といいますよ。

このように、仕事の知識やノウハウの共有がしやすくなる仕組みをつくることに加えて、「話しやすい雰囲気づくり」は、エルダー社員と若手社員の連携にとても重要なポイントです。

最後に

この記事では、エルダー社員とシニア社員の違いや役割、エルダー社員を支えるための社内サポート体制の整備のコツなどを解説しました。少子高齢化などと関連して話題のキーワードですので、おさえておくと安心ですね。

TOP画像/(c) Adobe Stock

塚原美彩(つかはらみさ) 塚原社会保険労務士事務所代表

行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサルの傍ら、ポジティブ心理学をベースとした研修講師としても活動中。HP:塚原社会保険労務士事務所 ライター所属:京都メディアライン

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