会話の中で、「あの人の言うことは、支離滅裂だよ」などというように使われる「支離滅裂」という言葉。馴染みのある表現ではありますが、具体的に説明するとなると言葉が詰まってしまうかもしれませんね。そこで本記事では、「支離滅裂」の意味や使い方、類語・対義語などを解説します。
「支離滅裂」とは?
「支離滅裂」の読み方は、「しりめつれつ」。辞書には、どのように記載されているのでしょうか?
[名・形動]物事に一貫性がなく、ばらばらで、まとまりのないこと。また、そのさま。「―な話」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「支離滅裂」は、主に文章や話の内容がバラバラで、まとまりがないことを表します。話の内容が矛盾していたり、言っていることとやっていることが一致していないことですね。統一感がなく、話の内容や順番などに筋道がないことがポイントです。
「はなれる」という意味を持つ「支離」と、「散り散りでめちゃくちゃなさま」を意味する「滅裂」を組み合わせた四字熟語です。1つ1つがバラバラになり、統一感がないことがイメージできますね。
使い方を例文でチェック!
「支離滅裂」は、主に人の言動に対して使われる四字熟語です。使い方のパターンを例文でチェックしてみましょう。
1:彼の言っていることは、支離滅裂で理解できない。
話の内容が矛盾していたり、順序立てて説明することができていなかったりすると、相手からこのように言われてしまうことも…。中には、普段は冷静に話せるのに、プレゼン時や上司の前だと緊張してうまく話せないという人もいるでしょう。相手に説明している時ほど、客観的な視点を併せ持ちたいですね。
2:爆弾が投げ込まれ、隊は支離滅裂になった。
いきなり不測の出来事が起きて、人と人があちこちに逃げてしまう時にも、「支離滅裂」を使うことがあります。わかりやすく言えば、「バラバラになってしまった」ということですね。人の話や行動だけでなく、統一性がなく、まとまりがない状態を表すことも覚えておきたいですね。
3:彼女は、“痩せたい”と言いながらケーキを食べている。まったく支離滅裂だ。
言っていることとやっていることが違う時にも、「支離滅裂」を使います。例文のように、痩せたいと言いながらも、甘いものを食べているのは矛盾しているかもしれませんね。相手から、「支離滅裂だよ」と指摘されてしまうかも。
類語や言い換え表現は?
「支離滅裂」の類語には、「滅茶苦茶」「とんちんかん」などがあります。1つずつ意味をチェックしていきましょう。
1:滅茶苦茶
日常会話でよく使われる「滅茶苦茶(めちゃくちゃ)」の意味を見ていきましょう。
[名・形動]《「くちゃ」は語調を整えるために添えた語。「苦茶」は当て字。「目茶苦茶」とも書く》
1 まったく筋道が通らないこと。度外れなこと。また、そのさま。めちゃめちゃ。「―なストーリー」「―な値段」
2 どうにもならないほどにこわれたり、混乱したりすること。また、そのさま。めちゃめちゃ。「せっかくの集まりを―にする」「書類の順序が―だ」『デジタル大辞泉』(小学館)より引用[補説]近年、「―楽しい」「―怒られる」のように、副詞的に用いて、程度のはなはだしいさまの意を表す例が増えている。
「滅茶苦茶」も、「支離滅裂」と同じように、話の内容が矛盾している時に使えます。例えば、「そんな滅茶苦茶な話は信じられない」というように。また、2番の意味では、たくさんの物で部屋の中が混乱していることを「部屋が滅茶苦茶だ」と表現したりしますね。
(例文)
・値札を見ずにレジへ行ったら、滅茶苦茶高額でびっくりした。
・父は酔っ払ってせっかくの集まりを滅茶苦茶にした。
2:とんちんかん
「とんちんかん」の意味もチェックしてみましょう。
[名・形動]《鍛冶屋(かじや)の相槌(あいづち)の音を漢字を当てて表したもの。その打つ音がそろわないところから》
1 物事のつじつまが合わないこと。見当違いであること。また、そのさま。「―な受け答え」
2 間のぬけた言動をすること。また、そのさまや、その人。「―な奴」「この―め」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「物事の辻褄が合わないこと」を「とんちんかん」と言います。漢字では「頓珍漢」と書き、鍛冶屋が相槌を打つ音がチグハグであることが由来だそう。「支離滅裂」のように、人の言動や話の内容に対して使われる言葉です。
(例文)
・そのアイドルは、クイズ番組でとんちんかんな答えを言った。
・弟はしっかりしているように見えて、たまにとんちんかんなことを言う。
対義語は?
「支離滅裂」は、物事に統一感がなくバラバラであることを指すので、対義語としては「筋道が立っており、矛盾がないもの」が当てはまりそうですね。2つの四字熟語を紹介します。
1:理路整然
「理路整然」は、「りろせいぜん」と読みます。意味は、以下の通りです。
[ト・タル][文][形動タリ]物事が道理にきちんとあてはまっているさま。話などの筋道が整っているさま。「―たる弁明」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
話や文章、議論の筋道がきちんと整っているさまを「理路整然」と言います。例えば、プレゼンにおいて、序論に始まり本論、最後に結論を述べるのが基本的な構成とされます。このような方法にのっとって、理由や根拠を述べれば、他人が聞いても理解しやすい内容になるでしょう。筋道を立てて説明している人に対して「理路整然」が使われますね。
(例文)
・その議員の演説は実に理路整然としていた。
・彼女は新入社員にも関わらず、お客様に理路整然と説明していた。
2:首尾一貫
「首尾一貫(しゅびいっかん)」の意味は、以下の通りです。
[名](スル)方針や考え方などが始めから終わりまで変わらないで、筋が通っていること。「―した論理」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
会社の方針や個人の考えなどに、一本筋が通っていることを「首尾一貫している」などと表現します。社員全員が同じ目標や志を持って働くためにも、企業理念が存在していると考えられますね。また、最初から最後まで態度が変わらない人に対しても、「あの人は、首尾一貫して穏やかな笑みを絶やさなかった」と言ったりします。
(例文)
・彼は幼稚園から大学まで首尾一貫して私立学校に通っていた。
・どんなに辛くても、首尾一貫して笑顔を絶やさなかった母親を尊敬します。
最後に
「支離滅裂」は、物事に一貫性がなく、ばらばらで、まとまりのないこと。主に人の言動に対して使うと覚えておくとわかりやすいですね。意見がコロコロと変わったり、筋道を立てて話をすることができないことなどが、「支離滅裂」な言動と言われることが多いでしょう。会議やプレゼンでは、理路整然と話せるようになりたいですね。
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