「日進月歩」とは?
「日進月歩」という四字熟語をご存知ですか? 中には、国語の授業などで習ったことがあるという方もいらっしゃるかもしれませんね。学業やビジネスシーンでの座右の銘として用いられることもありますが、意味を誤解している人も案外多い言葉です。そこで本記事では、「日進月歩」の意味や使い方、類語、対義語を解説します。
意味
「日進月歩」は、「にっしんげっぽ」と読みます。辞書に意味が記載されていますので、確認していきましょう。
日ごと月ごとに絶えず進歩すること。「―の科学技術」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「日進月歩」は、「絶え間なく、進歩すること」を意味する四字熟語です。主に、科学や工業、医療などの発展を述べる時に使用します。技術が向上するなど、良い意味での進化を表すため、悪化する時には使いません。
注意点
「日進月歩」はその言葉の響きから、「日々、少しずつ進歩する」というような意味だと捉えられてしまいがちです。しかし、他の辞書によっては、「日に月に絶えずめざましく進歩すること」とあり、科学技術などが驚くほどの進化を遂げることとして使われます。「ゆっくり、徐々に進歩する」というような意味合いは、含まれていないということを覚えておきたいですね。
参考:「故事俗信ことわざ大辞典」より
使い方を例文でチェック!
「日進月歩」は、会話の中でどのように使えばいいのでしょうか? 例文を交えて紹介します。
1:ニュースで頻繁に取り上げられているAI技術は、まさに日進月歩と言えるだろう。
AIやChatGPTなどは、まさに現在目まぐるしい発展を遂げている分野の1つと言えるでしょう。科学技術は日々進化が進んでいて、数年前では考えられなかったようなことが実現しています。このような科学技術の発展に、「日進月歩」は当てはまりますね。
2:日進月歩でその都市は変貌している。
「日進月歩」は、都市開発などで街が目まぐるしく変化している時などにも使用します。それまで寂れていた駅前に、高層ビルが立ち並んでいく様子を目にすると、「駅前が急速に発展してきているな」と感じることもあるでしょう。これまでの状態とは、様変わりしていく様子が目に浮かびますよね。
3:営業として早く会社に貢献できるよう、日進月歩を座右の銘にして仕事に取り組みたいと思います。
「日進月歩」は「進歩や発展」を意味することから、「座右の銘」として用いられます。向上心を持ち、絶え間なく努力することで、スキルアップを目指したいという意気込みが伝わってきますね。ただし、「日進月歩」は、「めざましく進歩すること」なので、ゆっくりとした歩みには使いません。そのため、「日々、コツコツと努力する」という意味合いはありませんので、注意してくださいね。
類語や言い換え表現は?
「日進月歩」と同じような意味を持つ言葉には、どのようなものがあるのでしょうか? ここでは、「日進月歩」が持つ「進歩」の意味を持っている3つの類語を紹介します。
1:日就月将
「日就月将」は、「にっしゅうげっしょう」と読みます。「日に月に絶え間なく進歩すること」という意味で、「日進月歩」とほぼ同じような意味を持っていますね。科学の進歩のほか、学問に勤しんで、日々知識を増やしている時などに使ってみるのも良いでしょう。
(例文)
・まだ創業して間もないにも関わらず、もうIT業界で頭角を表している。まさに日就月将だね。
・弁護士資格を取るため、日就月将していきたい。
2:飛躍的
「飛躍的(ひやくてき)」の意味は、以下の通りです。
[形動]進歩・向上などの急激なさま。「科学の―な進歩」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
急激に向上することを「飛躍的」と言いますね。「飛」も「躍」も「飛び上がること」なので、すごい勢いで物事が向上していることを表します。進歩している点が「日進月歩」と同じですね。
(例文)
・その街はここ数年で飛躍的な発展を遂げた。
・SNSでバズってから、その商品は飛躍的に売り上げが伸びた。
3:めきめき
物事がどんどん向上していった時に、「めきめき上達してきた」などと言いますよね。辞書にはこのように記載されています。
[副]
1 目に見えて、進歩・発展するさま。「―(と)腕をあげる」
2 物がこわれたり、きしんだりする音を表す語。めりめり。「床が―(と)鳴る」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
はたから見ても、明らかに勢いよく進歩していることを伝えたい時には、「めきめきと良くなっているね」などというと良いでしょう。回数を重ねるたびにテストの点数が伸びていたり、スキルが向上している時などに使われることが多いですね。「日進月歩」のような四字熟語よりも、会話の中で気軽に使える表現です。
(例文)
・彼は3か月ほど前に入社した新入社員だが、営業ではすでにめきめきと頭角を現している。
・小学6年生になる息子は、最近めきめきと背が伸びている。
対義語は?
「日進月歩」は、「絶え間なく、進歩していること」なので、対義語では「進歩や成長が止まっていること」を表す言葉が当てはまります。ここでは、「旧態依然」の意味を見ていきましょう。
「旧態依然」は、「きゅうたいいぜん」と読みます。意味は以下の通りです。
[ト・タル][文][形動タリ]もとのままで変化や進歩のないさま。「―とした生活ぶり」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
以前から状態がまったく変わらないことを「旧態依然」と言います。進歩することがなく、昔のままで内容や技術などが止まっている状態ですね。システムが古びていたり、職場の環境が昔のままで変わっていない時などに、「〜は旧態依然としている」というように表現します。
(例文)
・私が勤めている会社では、資料が全て紙ベースで旧態依然としている。
・部長の旧態依然とした考え方には辟易とした。
最後に
「日進月歩」とは、「絶え間なく進歩していること」。今まで意味を勘違いしていた! という方もいらっしゃるのではないでしょうか? 「日進月歩」は、科学技術やスキルなどがめざましく変化している時に使います。
言葉の響きから「ゆっくり、徐々に進歩する」という意味合いで使ってしまいがちですが、そのような意味は含まれないため注意してみてくださいね。語彙力向上の一歩として、「日進月歩」を覚えてみてはいかがでしょうか?
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