そもそも「閑散」とは?
どのようなビジネスでも、忙し過ぎて「休む間もない!」というのは困ります。かといって、暇過ぎて「閑古鳥が鳴いている!」状態でも困ってしまいます。
働く立場としては、適度に忙しく疲れない仕事、そして繁盛しているのが一番なのですが…。そんな、顧客の流れや利用者の変化する状況を表現する「閑散期」や「繁忙期」の意味や使い方を紹介します。
「閑散期」の意味
まず、「閑散(かんさん)」の意味を理解しておきましょう。辞書では以下のように書かれています。
1 ひっそりと静まりかえっていること。また、そのさま。「平日の閑散とした遊園地」
2 仕事がなくて暇なこと。また、そのさま。「―な日を送りかねて」〈藤村・千曲川のスケッチ〉
3 売買・取引などが少ないこと。また、そのさま。「不景気で閑散な市況」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
時期や期間を意味する「期」を伴った「閑散期」は、「顧客や利用者が少ない時期」や「取引量の少ない期間」を表現した言葉です。一般的には「暇な時期」という表現になります。
対義語「繁忙期」の意味
「閑散期」の対義語は「繁忙期(はんぼうき)」です。「顧客や利用者が多い時期」や「取引量の多い期間」を意味します。「閑散期」と「繁忙期」は、組み合わせて使用されることが多いので一緒に覚えておきたいですね。
「閑散期」と似た意味を持つ言葉や関連語は?
閑散期と似た意味を持つ言葉も紹介します。
1:オフピーク
「オフピーク」とは、「(人の多さなどが)ピーク時でない」ということ。例えば、「オフピーク通勤」や「オフピーク料金」という言葉を聞いたことはありませんか? 「オフピーク通勤」は、通勤ラッシュや満員電車を避けられる時間帯に通勤すること。渋滞や公共交通機関の遅延による遅刻や、ストレスの緩和につながります。
「オフピーク料金」は、利用者が集中しない時間帯や季節などに適用される料金のことです。スキー場やテーマパークなどに用いられます。オフピーク料金は、ベストな時期ではなくても、料金が安いことを優先したい利用者にとっては嬉しい制度です。一定の期間に、利用者が集中することを防ぐ効果が期待できます。
2:オフシーズン
「オフシーズン」とは、「人があまり訪れない季節」のことです。「シーズンオフ」とも言います。海水浴場とかスキー場などのオフシーズンが、イメージしやすいですね。
しかし、事業者にとっては「オフシーズン」というのは、決して喜ばしいことではありませんから、様々なイベントなどを企画して顧客の誘導を図ります。その一つの方法が、オフシーズンの料金設定を安くすることです。
混雑を避けてゆっくり休養したいとか、旅先での触れ合いを求める方には「オフシーズン」はお勧めかもしれませんね。
3:閑散売るべからず
「閑散期」と関連する表現も紹介しますね。「閑散売るべからず」は、株式取引や商品先物取引など投機関係から生まれた諺(ことわざ)です。
その解釈は「市場が、閑散としていてドン底にみえるときが、いちばんの底値であるから、次第に回復したり上昇したりしていく兆しと思って売りに出てはいけない」という意味。
辛い時は、どこまでも気運が下がっていくように感じて、挫けそうになるものです。しかし、これ以上のどん底はないんだと思って、ぐっと踏ん張ることも大切という解釈もできそうですね。
「閑散期」の使い方を例文を用いて紹介
「閑散期」という言葉の理解を深めるために、「閑散期」の使い方も紹介しますね。
1:「ここのホテルは、閑散期になると普段の3分の1の宿泊費で泊まることができる」
利用者にとって、閑散期はお得に旅行できるチャンスです。たしかに、繁忙期に行われるイベントや理想の景観は望めないかもしれません。しかし、閑散期の美しい自然を感じたり、その時期しか味わえぬ食事を楽しむことができるのではないでしょうか?
もしかすると「ひとりじめ!」とか「彼と二人っきり」なんて体験やができるかもしれませんよ。ぜひ、閑散期やオフピークのお得な料金を見つけて利用してみてください。
2:「閑散期にも一定の売り上げを維持するための、良い企画がある人は挙手をお願いします」
ビジネスにとって閑散期は、悩みの種。しかし、閑散期もアイディアひとつで集客や収益が見込めるようになることもあります。とくに近年ではSNSが普及したことで、思わぬ出来事や、古い建物や何気ない風景が注目されることが多くなっています。斬新なアイディアで、閑散期を解消することもできるかもしれませんね。
3:「繁忙期のクリスマスやバレンタインには値段を上げ、その後の閑散期には価格を抑えることで利用者数の平均化を目指す」
繁忙期と閑散期の具体的な例を取り上げてみました。繁忙期と閑散期で、お店の運営方法や商品価格を変更することは、よく見られることです。利用者や売り上げの平均化を図ることは、お店の経営にとって重要なことのようですね。
最後に
ここまで、閑散期について解説をしてまいりましたが、閑散期への理解は深まりましたか? 閑散期と聞くと、何となくネガティブなイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。でも、見方を変えればサービスなどをお得に楽しめるチャンスであるということも理解いただけたのではないでしょうか?
例えば、旅行会社や引っ越し会社などでは、閑散期のキャンペーンを行なっていることがあります。気になった方は、ぜひ閑散期を調べて、上手に活用してみてくださいね。
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