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2023.11.14

焼きが回るとはどういう意味? 由来や使い方、使うときの注意点を解説

「焼きが回る」とは、「頭の働きや腕前が落ちる」という意味。加齢などにより能力が鈍った時に使われます。目上の人が自虐的に使うこともありますが、相手に使う際には注意が必要です。本記事では、「焼きが回る」の意味や使い方、言い換え表現を解説します。

皆さんは、「焼きが回る」という言葉を聞いたことはありますか? あまり聞き慣れないかもしれませんが、稀に年配の人が「俺も焼きが回ったものだ…」と口にすることがあります。一体「焼きが回る」とは、どのような意味を持つ表現なのでしょうか?

本記事では、「焼きが回る」の意味や使い方、言い換え表現などを解説します。目上の人との会話で出てきた時に「何のこと?」とならないように、正しい意味を覚えてみてくださいね。

焼きが回るとは?

まずは、「焼きが回る」の意味を辞書で確認していきましょう。

1 焼き入れの際の火が行き渡りすぎて、かえって刃物の切れ味が悪くなる。
2 頭の働きや腕前が落ちる。年をとるなどして能力が鈍る。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「焼きが回る」とは、本来刃物を作るときに行われる「焼き入れ」という作業から生まれた言葉です。刃物の原料である鋼は、何度も火に入れては、水や油などに入れて急激に冷却することを繰り返して、硬度を上げていきます。しかし、もっと切れ味を良くしようと鋼を焼きすぎると、かえって刃が脆くなり、切れ味が悪くなってしまうのです。

このように、刃物に火が回り過ぎてしまうことを、「焼きが回る」と言います。長時間焼かれたことから脆くなってしまった刃物に、年老いた職人たちは己の姿を重ね合わせたのでしょうか。今では、「年をとって能力が衰えた」ことのたとえとして使われることもあるようです。

鍛治職人
(c)Adobe Stock

使い方を例文でチェック!

「焼きが回る」は、自分自身に対して使う場合と、相手に対して使う場合の2パターンがあります。それぞれの使い方と注意点をチェックしていきましょう。

1:こんなミスをするなんて、俺も焼きが回ったな。

「自分の能力が衰えたな…」と感じたときに、このような言い方をすることができます。今までは簡単にできていたことができなくなっていたり、ミスを繰り返すようになると、「もう潮時なのかな」と感じることもあるでしょう。このように、自分の衰えを自虐するときに「焼きが回る」を使います。

2:先輩、もう疲れたんですか? そろそろ焼きが回ってきたのかもしれませんね。

年上の相手をからかうときにも、「焼きが回る」を使います。仲の良い先輩や上司が疲れて息を切らしているときに、あえて茶化すようなことを言って、その場を盛り上げることもあるでしょう。しかし、これはあくまでも相手との信頼関係があってこそ成り立つもの。場合によっては、怒られる可能性もあるため注意してくださいね。

3:生涯現役を掲げてきた会長も、歳をとって焼きが回ったようだな…。

衰えてきた人の様子を見て、心の中で「あの人は焼きが回ったな」と感じることもあるでしょう。相手が目上の人物やキャリアのある人の場合、表立って「焼きが回る」と口にするのは憚られる場合も。そんな時は、心の中でそっと思うくらいがちょうどいいかもしれません。

物差しで線を引く人
(c)Adobe Stock

類語や言い換え表現はある?

「焼きが回る」は、会話ではあまり馴染みのない表現です。そのため、同じ意味を持つ言葉や慣用句を覚えておくと良いでしょう。合わせて覚えて、シーンに応じて上手く使い分けてみてくださいね。

1:がたが来る

「がたが来る」の意味は、以下の通りです。

古びて調子が悪くなる。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

年上の人と会話をしていると、「最近がたが来て肩が重いんだよね」などと言われることはありませんか? 加齢が原因で体のあちこちが痛くなったり、調子が悪くなるときにこのように表現することは多々あるでしょう。また、人の体だけでなく、年代物の家具やものに対して「使い物にならなくなった」というニュアンスで使われることもあります。

(例文)
・このアンティークのちゃぶ台は、年代物で相当がたが来ている。
・若い頃は健康だったのに、最近は病院に行くことも増えてきた。体にがたがきているのかもしれない。

2:腕が衰える

「腕が衰える」とは、「物事を行う技能が衰えること」。能力を発揮していた時期と比べて、自分の技術レベルが下がっている状態を表します。「腕」は、自分の実力や技術の比喩表現に当たるため、「腕が落ちる」「腕が鈍る」という言い方がされることもあります。

(例文)
・長期休暇しているうちに、すっかり腕が衰えてしまったようだ。
・寿司職人として働いていた祖父も、だんだん腕が衰えてきたようだ。

項垂れる男性
(c)Adobe Stock

3:刃金が棟へ回る

「刃金(はがね)が棟(むね)へ回る」とは、「知恵や力量が衰えることのたとえ」。「棟」とは、刀の背中に当たる部分で、刃がついていない側のこと。刀の鋼の部分がすり減って切れ味が悪くなると、本来使わない棟の部分で切ろうとしてしまうことがあります。このことから転じて、知恵やスキルが衰えて役立たなくなっていることを、「刃金が棟へ回る」というのです。

(例文)
・刃金が棟へ回るという言葉があるように、最近では数時間働いただけで疲れてしまう。
・数か月入院していた父が、大工仕事に復帰したが、以前より腕が衰えたように見える。刃金が棟へ回るとはこのことだ。

対義語はある?

「焼きが回る」には、明確な対義語はありません。しかし、「能力が衰える」という意味と、反対の意味を持つ言葉はいくつかありますのでチェックしてみましょう。

1:腕前

「腕前」の意味は、以下の通りです。

巧みに物事をなしうる能力や技術。手並み。技量。うで。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「腕前」は、巧みな技や能力のこと。腕の良い職人やその道のプロなどが、人前でその技術を見せることを「腕前を披露する」と言ったりしますよね。また、他人の技術を褒めるときにも、「彼の腕前は大したものだ」と表現することもあります。

・父はDIY好きが高じて、すでにプロ並みの腕前だ。
・その料理人はテレビでその腕前を披露した。

2:腕が鳴る

「腕が鳴る」の意味は、以下の通りです。

技能や力を発揮したくてじっとしていられないでいる。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

仕事人なら、大きな仕事を任されたときに、「これは腕が鳴る仕事だな」と言って自分を鼓舞することもあるでしょう。目の前にある仕事や対戦相手は、自分の実力の見せ所でもありますよね。自分の実力を発揮したくてうずうずしている感覚が伝わってくるようです。

(例文)
・テニスプレイヤーである弟は「プレーの順番、早く回ってこないかな。腕が鳴るよ」とうずうずしていた。
・棚の修理を頼まれた父は、「大工仕事は腕が鳴る」と意気込んでいた。

最後に

「焼きが回る」は、刀を製造する過程から生まれた、日本語特有の慣用句です。「最近、力が衰えてきたな…」と感じたときは、やや遠回しな表現として使ってみると良いでしょう。ただし、「焼きが回る」という言葉自体は、あまりポジティブな意味ではありません。目上の相手に使うと、「まだそんなに衰えてはいない!」と反感を買ってしまう恐れもあるため、使うシーンや相手との関係性を見極める必要があるでしょう。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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