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この記事のサマリー
・「一石を投じる」は「いっせきをとうじる」と読み、反響を呼ぶような問題を投げかけることです。
・水に石を投げると波紋が生じて周囲へ広がる様子が、反響を呼ぶ問題提起の由来になっています。
・必ずしも新しい提案に限らず、既にある問題を改めて問い直し、議論を促す場面にも使えます。
「一石を投じる」と聞いて、斬新な提案で状況を変えることだと思っていませんか? この言葉は、反響を呼ぶような問題を投げかけることを表し、解決や改善までを意味するわけではありません。
本記事では、読み方と由来、仕事でも使える例文を紹介。「波紋を呼ぶ」などの関連表現との違いや、誤用を避けるポイント、英語表現も解説します。
「一石を投じる」とは?
まずは、意味を確認していきましょう。

意味
「一石を投じる」は「いっせきをとうじる」と読み、反響を呼ぶような問題を投げかけることを意味します。水に石を投げると波紋が生じ、周囲へ広がっていく様子に由来する表現です。
辞書では次のように説明されていますよ。
一石(いっせき)を投(とう)・じる
《水に石を投げると波紋が生じるところから》反響を呼ぶような問題を投げかける。「文壇に―・じる」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
ある事柄について、周囲が改めて考えたり、議論したりするような問題を投げかける場面で使います。ただし、状況の改善や問題の解決そのものを意味する言葉ではありません。
使い方を例文でチェック!
「一石を投じる」は、反響を呼ぶような問題を投げかける場面で使います。発言だけでなく、小説などの作品を通じた問題提起についても使える表現です。例文を通して、何について問題を投げかけているのかを確認していきましょう。

曖昧なまま放置されていた議論に一石を投じた
結論が出ないままになっていた議論に、改めて考えるべき点を投げかけた場面を表しています。例えば、「そもそも、この方針は利用者の立場に立っているのか?」と問いかけ、議論の前提を見直すきっかけをつくるような場合です。
ここでいう「一石を投じた」は、問題を解決したという意味ではありません。周囲の反響を呼び、議論を促すような問題提起をしたことに重点があります。
疲弊した経済問題に一石を投じるようなアイディアだ
ここで表しているのは、経済の課題や対策を改めて考えるきっかけとなる提案です。救いの手を差し伸べるのとは異なり、援助そのものを意味しているわけではありません。また、そのアイディアによって経済が立ち直った、という結果までを表すものでもありません。
メディアの在り方に一石を投じる発言であった
例えば、「一方の立場の意見ばかりを報じていないか?」という発言が、報道の公正さを考え直すきっかけになる場合があります。このように、情報の伝え方や報道姿勢について、反響を呼ぶような問題を投げかけた場面で使う例文です。
彼の小説はこれまでの常識に一石を投じ、世間の反響を呼んだ
小説などの作品を通して、社会で当然とされている考え方に問いを投げかける場合にも使えます。この例文では、小説に込められた問題提起が、世間の反響を呼んだことを表していますよ。
「一石を投じる」の類語や言い換え表現、関連表現は?
ここからは普段の会話から使える「一石を投じる」の言い換え表現を紹介していきます。若干ニュアンスの違いもあるので、シチュエーションに合わせて使い分けできるようにしておきたいですね。

波紋を呼ぶ
「波紋」は、水面に物が落ちたときなどに、輪を描いて広がる波の模様のことです。そこから転じて、周囲に動揺を伝えるような影響も意味します。「その発言が波紋を呼んだ」といえば、発言によって周囲に動揺が広がったことを表します。
「一石を投じる」が問題を投げかけることに重点を置くのに対し、「波紋を呼ぶ」は周囲への影響に重点を置く表現だといえるでしょう。
波及する
「波及する」は、物事の影響が波のように徐々に広がることを意味します。問題を投げかける行為ではなく、影響が広がっていく様子を表すため、「一石を投じる」とそのまま置き換えることはできません。
例えば、「彼女の提案は、社内の働き方をめぐる議論に一石を投じた」なら、提案による問題提起を表します。一方、「その提案の影響が、ほかの部署にも波及した」なら、影響の広がりを表しています。何を伝えたいのかに合わせて、文を組み立てましょう。
物議を醸す
「物議を醸す」は「ぶつぎをかもす」と読み、世間の議論を引き起こすことを意味します。「物議」は世の人々の議論や取り沙汰のことで、「醸す」には、ある状態などを生み出すという意味があります。
例えば、「その発言が物議を醸した」といえば、発言をめぐって世間で議論が起こったことを表します。「一石を投じる」が問題提起そのものに重点を置くのに対し、「物議を醸す」は、その言動などが世間の議論を引き起こしたことに重点がありますよ。
「一石を投じる」の英語表現
最後に「一石を投じる」の英語表現について見ていきましょう。こちらも参考にしてみてくださいね。
cause/create a stir
「cause a stir」、「create a stir」は、人々の関心や興奮、騒ぎを引き起こすことを表します。反響に焦点を当てる場合に使える英語表現ですが、必ずしも問題提起を意味するわけではありません。
例えば、“Her article caused a stir.” は、「彼女の記事は反響を呼んだ。」という意味です。「一石を投じる」と訳せるかどうかは、その記事が反響を呼ぶような問題を提起しているか、文脈を確かめて判断しましょう。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
「一石を投じる」に関するFAQ
ここでは、「一石を投じる」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1.「一石を投じる」の読み方と意味は?
A.「いっせきをとうじる」と読みます。意味は、反響を呼ぶような問題を投げかけることです。
Q2.「一石を投じる」は、いい意味で使う言葉ですか?
A.発言や提案の良し悪しではなく、反響を呼ぶような問題を投げかける点を表す言葉です。
Q3.「一石を投じる」はビジネスでも使えますか?
A.使えます。例えば、「彼女の提案は、社内の働き方をめぐる議論に一石を投じました」と表現できます。単なる連絡や報告ではなく、周囲が考え直すような問題提起をした場面に適しています。
最後に
「一石を投じる」は、反響を呼ぶような問題を投げかけることです。単に意見を述べることや、誰かを援助すること、問題を解決することとは区別して使いたいですね。
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