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2023.11.12

風前の灯火とはどういう意味? 使い方や類語、英語表現を解説

「風前の灯火」とは、「危険が迫っていて、今にも滅びそうなことのたとえ」です。類語には、「風の前の塵」「絶体絶命」などがあります。ビジネスシーンでは、会社の経営状態が悪いことを表す時にも使います。本記事では、「風前の灯火」の意味や使い方、類語、対義語を解説しましょう。

風前の灯火とは?

職場で会話をしているときに、「あの会社は、風前の灯火で…」という表現を耳にしたことはありませんか? 一体、「風前の灯火」とは、どのような状況を表すのでしょうか。本記事では、「風前の灯火」の意味や使い方、類語、対義語を解説します。正しい意味を理解して、自信を持って使えるようになりましょう。

意味

「風前の灯火」は、「ふうぜんのともしび」と読みます。意味を辞書で見ていきましょう。

 

風の吹くところにある灯。危険が迫っていて今にも滅びそうなことのたとえ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

風が吹いているところに、火のついた蝋燭を置くと火の形が歪み、消えてしまいそうになりますよね。このような危うげな様子が転じて、危機的な場面で使われるようになりました。また、「風前の灯火」は、命の儚さを伝える時にも使います。例えば、「彼の命は風前の灯火だ」は、今にも命が消えそうな状態を表す言葉です。

蝋燭
(c)Adobe Stock

風の前の灯火 風中の灯という表現も

「風前の灯火」には、「風の前の灯火」「風中の灯(とう)」というよく似たことわざがあります。どちらも風の近くにある灯火を表し、意味も同じなので、言い換え表現として覚えておくといいでしょう。

また、たまに「風前の灯火」のことを「空前の灯火」と表現する方も見られますが、こちらは誤用です。「空前の灯火」ということわざは存在しないため、間違って使わないように気をつけましょう。もし、どちらか迷った際には、風の前で今にも消えそうな火をイメージするとわかりやすいでしょう。

使い方を例文でチェック!

「風前の灯火」は、主に何かに追い詰められている場面で使われます。人や動物以外にも、会社などの組織に対しても使われるので、正しい使い方をチェックしておきましょう。

1:父の会社は赤字が続き、もはや風前の灯火のような状況だ。

「風前の灯火」は、会社の経営が悪化し、倒産寸前の状況でよく使われます。ただ単に、利益が少ないというよりも、これ以上先がなく、今にも滅んでしまいそうな状況であることがポイントです。人から「あの会社はもう風前の灯火で…」という言葉を聞いたら、会社が今にも倒産しかかっていることが推測できるでしょう。

2:病院に駆けつけた時にはすでに、祖父の命は風前の灯火でした。

人や動物の命の儚さを伝える時にも、「風前の灯火」は使われます。元々は、仏教思想に基づく言葉で、人間の一生や命の儚さをたとえた言葉だったそう。親族の容体や生死にまつわることは、なかなか直接的な表現をしづらいもの。そんな時に、「風前の灯火で…」ということで、祖父の容体の危機的な状況を遠回しに伝えることができるでしょう。

3:不祥事が明るみに出たことで、その政治家の地位は風前の灯火になってしまった。

今まで権力を握っていた人物でも、何かのきっかけであっけなく地位や信頼を失ってしまうこともあるものです。これまで築き上げてきたものが、一瞬にしてなくなってしまう様子を目にすると、この世の儚さを感じますよね。

落ち込むビジネスマン
(c)Adobe Stock

類語や言い換え表現とは?

「風前の灯火」のような「風」を使ったことわざに、「風の前の塵」「風口の蝋燭」があります。どちらも危機的な状況や物事を儚さを表すため、豆知識として一緒に覚えてみてはいかがでしょうか?

1:風の前の塵

「風の前の塵(ちり)」の意味も確認してみましょう。

物事のはかないこと、または、危険が迫っていることのたとえ。風前の塵。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「風の前の塵」も、「風前の灯火」と同じく、物事の儚さや危機的な状況を表します。小さくて軽い塵が、風によって勢いよく吹き飛ばされてしまう様子が思い浮かびますね。

(例文)
・人気俳優はスキャンダルにより、すっかりテレビに出なくなってしまった。まるで風の前の塵のようだね。
・どれだけ会社の業績が良くても、風の前の塵と同じで、いつどうなるかわからないものだよ。

ランタンと焚き火
(c)Adobe Stock

2:風口の蝋燭

「風口(かざくち)の蝋燭」の意味は以下の通りです。

消えやすいこと、はかないことのたとえ。風前の灯(ともしび)。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「風口」とは、「風が吹き込む口、通風口」のこと。風が吹き込む入り口に蝋燭を置いたら、火はすぐに消えてしまいますよね。このことから、物事の儚さや消えてしまいやすいことなどに使われます。「風前の灯火」とほぼ同じ意味ですね。

・風口の蝋燭という言葉があるように、虫の命もまた儚いものだよ。
・風口の蝋燭のように、老後の財産がなくなってしまった。

3:絶体絶命

「絶体絶命」の意味は以下の通りです。

どうにも逃れようのない、差し迫った状態や立場にあること。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「絶体絶命」は、これ以上逃げようのないところまで追い込まれたような、崖っぷちの状態です。漫画やアニメでは、登場人物がピンチに見舞われた時などに、「絶体絶命の事態!」というように使われることもありますね。ちなみに、「絶対絶命」と書くのは誤りなので注意しましょう。

(例文)
・漫画の主人公は、ラストで絶体絶命の苦境に追い込まれてしまった。
・当時の叔父は、借金がかさんで絶体絶命の状況だった。

対義語は?

「風前の灯火」の対義語には、「堅牢堅固(けんろうけんご)」が挙げられます。「堅牢堅固」とは、「守りが非常にかたく、簡単に壊れたりしないこと」。「堅牢」と「堅固」は、どちらも非常にかたいという意味なので、それが強調された四字熟語となっています。

ふっと風が吹いたら、簡単になくなってしまいそうな、脆く儚いものを表す「風前の灯火」とは、正反対の言葉と言えるでしょう。

(例文)
・彼の意志は堅牢堅固なので、きっと夢を実現できるでしょう。
・その城は堅牢堅固な壁で覆われているので、敵に攻め込まれることはなかった。

最後に

「風前の灯火」は、危機的な状況や追い詰められているときに使われます。ビジネスシーンで時折耳にすることがある表現なので、正しい意味を覚えてみてください。例文や言い換え表現も頭に入れておくことで、自信を持って受け答えすることができるでしょう。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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