皆さんは、「挫折」を経験したことはあるでしょうか? この記事を読んでいる方の中には「今まさに、挫折をして打ちのめされています…」という方もいらっしゃるかもしれません。本記事では、「そもそも挫折とは何か?」、そして「挫折を乗り越えるにはどうしたらいいか?」について、考えていきます。
挫折とは
まずは、「挫折」の意味を辞書で確認しましょう。
[名](スル)仕事や計画などが、中途で失敗しだめになること。また、そのために意欲・気力をなくすこと。「資金不足で事業が挫折する」「挫折感」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
計画途中で失敗し、気力を失うことだとわかりました。とはいえ、「挫折」と一口に言っても、程度がありますよね。
例えば、「全財産を注ぎ込んで起業したけれど、倒産してしまったこと」などは大きな挫折に当たるでしょう。反対に「仕事において、毎月のチャレンジ目標など計画したことが達成できなかったこと」は、小さな挫折に当たるのではないでしょうか。
続く項目では、大きな挫折を味わった時の対処法と、小さな挫折を味わった時の対処法について、分けて解説していきます。
大きな挫折を経験した時の対処法
大きな挫折をした時、どう対処すればいいのでしょうか? ずっと気力や意欲が失われた状態では、その後の人生に影響してしまいます。そうならないためには、意欲や気力を復活させる必要がありますよね。挫折を乗り越える方法についてみていきましょう。
1:計画や目標を見直す
挫折する原因となった計画や目標について、見つめ直すことはとても重要なことです。次の3つの観点から見直してみましょう。
・設定した計画自体を見直す
「目標があまりにも高過ぎた」ということはよくあるケースです。そのほかにも、「そもそも自分は、本当に達成することを目指していたのか?」など再度見直してみる必要があります。
・達成までのスケールを見直す
計画自体は問題なくても、実現までの時間軸は合っていたでしょうか? あまりにも早急ではなかったですか? 自分だけではなく、関係者や外部環境含めて点検してみることも大切です。
・目標達成の方法や手段を見直す
目標達成への手段や方法を、見直すことも大切です。計画や目標に向かって進んでいるとき、人間はどうしても視野が狭くなりがち。一生懸命になればなるほど、それ以外に方法はないという思い込みにとらわれてしまうことがあります。もう一度、視点や視座を変えてチェックしてみてはいかがでしょうか?
2:プロセスの中で得たものを整理する
計画や目標が達成できなかったとしても、努力した過程の中で得られたものもあったのではないでしょうか? 自分自身が新たに得たものを整理してみましょう。
具体的に例を挙げるなら、新たな知識・新たな経験・新たな人間関係・新たな自信などです。些細なことでも構いませんので、挙げてみてください。
3:得たものを活用して、再挑戦してみる
得たものを整理したら、新たな計画や目標を立てます。例えば「新しい人間関係の中から、自分の苦手分野をカバーできる人はいないか?」、「新たな経験によって、いままでチャレンジしていなかった分野のことに着手はできないだろうか?」などを模索してみましょう。
新たな目標を立てて進むことこそが、挫折を乗り越える大きな力になるとも言えるかもしれません。
挫折との向き合い方
「挫折」した経験は、人生において大きな転機になりうる可能性があります。「挫折から得たものを生かしながら前に進んでいたら、一回りも二回りも成長していた」なんて話は、よく耳にしますね。そのためには、挫折としっかり向き合うことが大切です。
ここでは挫折との向き合い方について、考えてみましょう。
1:視点を変える
視点を変えて、他者の視点から挫折した経験を見つめ直してみましょう。達成を阻害した原因が、客観的に見えてくるかもしれません。その一方で、自分の強みにも気づけるかもしれませんよ。
2:視座をあげる
1の視点を変えるにも似ていますが、視座を上げてみてみることも大切です。「視座を上げる」とは、例えば宇宙空間から自分の立ち位置を見てみる、歴史の流れに立つ自分を見てみるなどということ。壮大な視点から自分を見つめることで、今まで見えていなかったことが発見できますよ。
3:人間関係を見直す
例えば、「初めての場所へ行ってみる」、「新たな集まりに参加してみる」…。そうすることで、今までとは違う人間関係を築くことができます。新しい人との出会いは、新しい自分の発見でもあるんですよ。様々な背景を持つ人と交流することで、自分自身の価値観も磨かれていくでしょう。
小さな挫折との向き合い方
続いては、小さな挫折についてみていきましょう。「あ~、今日も計画通りにいかなかった」とため息をつくことはありませんか? 実はそのため息の繰り返しこそが、小さな挫折感。
実はこの小さな挫折、とっても厄介なんです。小さな挫折の繰り返しは、自己肯定感を下げます。人によっては、自己否定にまで発展する場合も。日々、心を蝕むからこそ、面倒だと言えるでしょう。
そんな小さな挫折に蝕まれないために、次の4つを意識してみてください。
1: できたことにフォーカスする
できなかった反省ではなく、できたことに着目しましょう。小さなことでも構いません。例えば、「会議で発言できた」とか「議事録を当日の間に書くことができた」などもいいですね。
2:視野が狭くなっていないか、確認する
自分で自分を責めてしまう時は、視野が狭くなったり、被害妄想に囚われがち。そんな気持ちを一旦手放して、状況を冷静に見つめ直してみましょう。
3:自分が出来ることに注力する
できなかったことの要因の中には、自分だけではどうすることもできなかったこともあるでしょう。それは、外部要因と言われるものです。自分の問題か、外部要因かを見極めて、自分ができることに力を注ぎましょう。
最後に
挫折は多かれ少なかれ、誰もが経験するものです。一番怖いのは、挫折を恐れて本当にしたいことにチャレンジしないことではないでしょうか?
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キャリアコンサルタント 中野 敦志
2018年、34年間のサラリーマン生活に終止符をうち独立。2017年に国家資格キャリアコンサルタントを取得、現在はフリーランスとしてキャリアコンサルタント、コーチング、カウンセリングなど幅広く活動。ポジティブ心理学やキャリア理論をベースとした研修やワークショップの講師、シニアモデルとしても活動の異色の61歳。
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ライター所属:京都メディアライン