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「果報は寝て待て」の意味
「果報(かほう)は寝て待て」の意味は、デジタル大辞泉によるとこのように書かれています。
【果報は寝て待て(かほうはねてまて)】
幸福の訪れは人間の力ではどうすることもできないから、焦らずに時機を待て。
<「小学館 デジタル大辞泉」より>
「運は寝て待て」と表現することもあり、「幸運は人の力ではどうにもならないから、やってくるのを気長に待つのがよい」ということわざです。
「果報は寝て待て」の由来・語源
「果報は寝て待て」は、仏教が由来となっている言葉です。仏教における「果」は自分の行ったことから生まれる結果のことを指し、「報」は、自分の行いによって受け取る報いのことを指します。
つまり「果報」とは、「前世での行いによって現世で受けるさまざまな結果」を意味し、「果報」は従来、良い結果と悪い結果の両方の意味を含みます。
良い結果が返ってくるためには、良い行いが必要になるため、何もせずただ待つだけでは果報はやってきません。
「果報は寝て待て」は、ただ寝て待っているのではなく、できることをきちんとやった上で、焦らずに良い結果を待ちましょう、というニュアンスになります。
「果報は寝て待て」の類語
人事を尽くして天命を待つ
「人事(じんじ)を尽くして天命(てんめい)を待つ」とは、「自分ができる最善を尽くし、結果は運命に任せる」という意味があります。
ビジネスなどのかしこまったシーンでよく使われる言葉で、「できることは全てやりきったと」いう悔いのない心境を表します。
待てば海路の日和あり
「待てば海路(かいろ)の日和(ひより)あり」とは、「悪いことが続いていても、待っていれば良い日がやってくる」という意味です。
悪天候が続く航海の様子を悪い状況にたとえたことわざで、「待てば甘露(かんろ)の日和あり」が変化したとも言われています。
「甘露」は中国古来の伝説で、天子の仁政に感じて天が降らせるという甘い露のことを指します。
「果報は寝て待て」と「人事を尽くして天命を待つ」は同じ意味のことわざ?
「果報は寝て待て」の類語として「人事を尽くして天命を待つ」を紹介しましたが、この2つは意味こそ似ていますが少しニュアンスが異なります。
「果報は寝て待て」は、「自分にできることをしたら、あとはどうすることもできない。焦らずに良い結果が出るのを待つ」こと。自分の行いに応じた結果が返ってくることが前提で、結果が出るまで焦らず待ちなさい、というニュアンスです。
「人事を尽くして天命を待つ」は、「自分にできる最大限の努力をした上で、結果は天に任せる」ことで、行いに応じた結果が出るとは限らず、どのような結果になっても尽くした努力に悔いはない、というニュアンスになります。
「果報は寝て待て」を使った例文
プレゼン準備はしっかりできていたから、あとは「果報は寝て待て」だ
プレゼンや商談などのビジネスの場において、やるべきことはやったから、あとは結果を待つだけ、という時に使います。
プレゼンや商談をした本人が使う場合は「人事を尽くして天命を待つ」の方が適していますが、例えば部下や同僚に「こんなに頑張ったんだから、きっといい結果が出るよ」というように、励ましや労いの意味も込めることができます。
勉強を頑張ったんだから、あとは「果報は寝て待て」だよ
どれだけ勉強しても、必ずしも合格できるわけではない受験や資格試験。試験が終わったら、あとは結果発表まで待つしかありません。ビジネスの場で使う時と同じように、試験に向けて頑張ってきた人へ労いの気持ちも込めてかける言葉です。
思い切って告白をしたから、あとは「果報は寝て待て」だ!
「果報は寝て待て」は、恋愛の場面でも使える言葉です。相手の気持ちは自分にはどうすることもできません。焦ったり気を揉んだりしてもどうしようもないからこそ、結果が待つことしかない場面も多くあります。
告白をして返事待ちをしている時など、マイナス思考にならないよう自分に言い聞かせる言葉としても使えます。
「果報は寝て待て」の英語表現
英語にも「果報は寝て待て」と同様、待つことの大切さを表す格言があります。
Everything comes to those who wait
「辛抱して好機をじっくりと待て」という意味で使う言い回しで、「Everything」ではなく「Good things」を使う場合もあります。「Good things」の方が良い結果を待つ「果報は寝て待て」に近い意訳になります。
Sleep and wait for good luck
「幸運のために寝て待て」「寝て幸運を待つ」という意味です。「果報は寝て待て」をストレートに英語表現する場合は、こちらの言い方がわかりやすいかもしれません。
There is luck in leisure
「余暇を過ごしていれば幸運が訪れる」となります。「Sleep and wait for good luck」と同じく、待ち方が特徴的な言い回しです。
「果報は寝て待て」はスピリチュアル?
由来でも解説した通り、「果報」はもともと仏教の教えからきている言葉で、「前世の行いによる報い」を指します。報いには良いものも悪いものも含まれるので、幸運を待つには良い行いをすることが前提。
つまり、「果報は寝て待て」の果報は、良い行いや努力があってこそ。
「優れた行いの結果としてのちの世や現世で幸運をもたらす」ことから転じて、「普段からよい行いをしていれば、自然と幸運が寄ってくる」というスピリチュアル的な考え方もできます。
また、「これだけ努力をしたから、きっといい結果が出るだろう」と言い聞かせ、思考をポジティブにして、良い結果を引き寄せることにもつながるかもしれません。
「果報は寝て待て」恋愛にも使える?
「果報は寝て待て」は恋愛成就につながることわざとして使われることもあります。
恋愛は、「ありのままの自分を受け入れてほしい」「自分のことを理解してほしい」という欲求が出てくる場面が多くあると思います。
その欲求は、時に「どうしてわかってくれないの?」と仲違いの原因になってしまうことも…。
自分をわかってもらう努力をすることが大切
「果報は寝て待て」は、ただ何もせず幸運を待つのではなく、「行動や努力をした上で良い結果を待つ」ことだと解説してきました。
恋愛においては、無条件で相手に自分を受け入れてもらうのではなく、「相手に受け入れてもらうためにも、自分の考えや気持ちをきちんと伝える努力が大事」と考えることができます。
「自分ばかり好きなのかもしれない」「自分のことをわかってもらえない」と不安や不満に思うより、まずわかってもらう努力や不安に感じていることを伝える努力をすること。その結果、コミュニケーションや相互理解が深まり、関係性がより良いものになるかもしれません。
気持ちが先走らないように気をつける
好きな人へのアプローチに関しても「果報は寝て待て」を活かすことができます。
好きな人ができると、「この人と付き合いたい」「もっと会いたい」など気持ちが逸る場面が多くなります。特になんらかのアプローチをしたあとだと、相手の反応が気になって仕方ないこともあると思います。
でも、相手の気持ちも考えずにアプローチをし続けると、「しつこい人」と思われてしまうことも。
相手の気持ちは自分には分からないし、どうすることもできません。だからこそ、アプローチをしたあとは「寝て待つ」ことが大事。リラックスして相手の反応を待つことで、「余裕がある人だな」と思ってもらえるかもしれません。
相手からの返事を待つ間の不安を乗り越えるための「おまじない」のような感覚で使うのもいいでしょう。
言葉の意味を理解して幅広い場面で活用を
さまざまなシーンで活用できる「果報は寝て待て」。字面を見ると「幸福をただ待っている」だけのように思われがちですが、実際は「果報を得るための行動」が大事。試験や仕事の結果に不安な時や、恋愛がうまくいかない時などに、気持ちを和らげる言葉としても使えます。
正しい意味を理解して、日常生活に役立ててみてください。
言葉の意味:「小学館 デジタル大辞泉」より
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