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2024.06.18

風が吹けば桶屋が儲かるとは意外なところに影響が出ること|ほかの意味・語源・関連語など

「風が吹けば桶屋が儲かる」の読み方は「かぜがふけばおけやがもうかる」で、複数の意味がある言葉です。今回は詳しい意味や語源・由来、因果関係にあるのかどうか、使い方・例文などを解説します。関連した表現も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

「風が吹けば桶屋が儲かる」とは?基礎知識を解説

「思いもよらないところに影響が出ること」を表したいときに、「風が吹けば桶屋が儲かる」などと表現します。なんの因果関係もないようでいて、実は意外なところにその影響が出ていることを表す言葉です。

それでは、はじめに風が吹けば桶屋が儲かるの意味や語源・由来、因果関係と相関関係のどちらにあたるのかなどを解説します。ビジネスなどでの使い方・例文もあわせて確認しましょう。

意味は「意外なところに影響が出ること」など

風が吹けば桶屋が儲かるとは「ある事象が起こったときに、その影響によって思いもよらない場所や物事にまで変化が生じること」を指す言葉です。

風が吹けば桶屋が儲かるとはいうものの、風が吹くことと桶屋が儲かることには本来であれば直接的な因果関係はないでしょう。しかし、多くの因果関係をたどることで、実は関係があるという例えとして使われています。

風が吹けば桶屋が儲かる
意外なところに影響が出ること、また、あてにならない期待をすることのたとえ。風が吹くと土ぼこりがたって目に入り盲人が増える。盲人は三味線で生計を立てようとするから、三味線の胴を張る猫の皮の需要が増える。猫が減るとねずみが増え、ねずみが桶をかじるから桶屋がもうかって喜ぶということ。大風が吹けば桶屋が喜ぶ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

皮肉として使用する場合もある

風が吹けば桶屋が儲かるは、「ある事象が起こったときに意外なところに影響が出ること」を表すだけではありません。ほとんど因果関係がないことを無理にこじつけ、その結果に期待する様子に対する皮肉を込めたニュアンスとして、「あてにならない期待をすること」や「単なる思い込み」を指して用いられる場合もあります。

風が吹けば桶屋が儲かるの語源・由来

風が吹けば桶屋が儲かるということわざは、江戸時代から使われるようになったようです。江戸時代の浮世草子である「世間学者気質(せけんがくしゃかたぎ)」では、「箱屋」が儲かる話として以下のように書かれています。

・強い風によって土ぼこりがたつ
・土ぼこりが目に入ることによって盲人が増える
・盲人は三味線で生計を立てることが多いため、三味線の需要が増える
・猫皮を用いて三味線を作るため、需要が増える
・猫が少なくなると、天敵がいなくなったネズミが増える
・ネズミが増えたことで、ネズミに箱をかじられる被害が増える
・箱の需要が高まり、箱屋が儲かる

このように、まったく関係ないようでいて、実は複雑に連鎖した結果の影響が及ぶことを、風が吹けば桶屋が儲かると表現するようになったのです。

風呂桶
(c)AdobeStock

風が吹けば桶屋が儲かるは因果関係か相関関係か

それでは、「風が吹くこと」と「桶屋が儲かること」は、因果関係と相関関係のどちらなのかを考えていきましょう。

因果関係とは「AだからBとなる」といえる関係性があること、つまり「1つの事象を原因としてもう一方が結果となること」を指します。また相関関係とは、「2つの事象のうち、1つの事象の変化によってもう片方も変化する関係性にあること」です。

これでいうと、風が吹けば桶屋が儲かるは「風が吹く(A)」、だから「桶屋が儲かる(Bとなる)」とまではいえないでしょう。とはいえ、いくつもの出来事における原因と結果が連続していくことで、つながりがあると考えられるということわざです。

つまり、風が吹けば桶屋が儲かるは、因果関係というよりも相関関係であると考えられるでしょう。

現代におけるビジネスなどでの使い方・例文

風が吹けば桶屋が儲かるという表現は、現代ではビジネスなどでも用いられています。それでは、実際の使い方を簡単な例文で確認しましょう。

・風が吹けば桶屋が儲かるとはよくいったものだ。まさかあの出来事があのようなことにつながるとは思わなかった
・外出自粛が呼びかけられたことで、お菓子の材料の売上が増加したそうだ。風が吹けば桶屋が儲かるとはこのことである
・風が吹けば桶屋が儲かるような話だ。本当にそうなるとは思えない

このように「意外なところに影響が出ること」、もしくは「無理にこじつけていることへの皮肉」として用いられています。

実際のビジネスシーンでは、1つの事業による連鎖でどこまで営業機会を広げられるか、戦略を立てることが大切です。因果関係として成り立つような単純な戦略だけでは、競合他社もすぐに同じことをしてくるでしょう。風が吹けば桶屋が儲かるのように、意外な切り口から物事を深く考えると、今までのビジネスの隣にある未開拓市場を見つけられるかもしれません。

風が吹けば桶屋が儲かるに関連した表現2つ

風が吹けば桶屋が儲かるに関連する言葉には、以下の表現があります。

1:バタフライエフェクト・バタフライ効果
2:因果応報

それぞれの言葉の意味もあわせて確認しましょう。

ちょうちょ
(c)AdobeStock

1:バタフライエフェクト・バタフライ効果

「バタフライエフェクト」や「バタフライ効果」とは、「ほんの些細な出来事が、後々の大きな出来事の引き金につながること」を指す言葉です。「蝶の羽ばたきが後々トルネードを起こす可能性は、完全には否定できない」という考え方を、アメリカの気象学者であるエドワード・ローレンツが提言したことが由来となっているようです。

思いがけない出来事につながることを指す点では、風が吹くと桶屋が儲かるとバタフライエフェクトは似ているでしょう。異なるといえるのは以下の部分です。

・風が吹くと桶屋が儲かる
……思い込みや考えすぎに対しても使うこと

・バタフライエフェクト
……些細な出来事が大きな変化を招くかもしれないという予測困難性を表すこと

バタフライ‐こうか
ある系の変化が初期条件に極めて鋭敏に依存する場合に見られる、予測不可能な挙動のたとえ。もとは、米国の気象学者ローレンツが1972年に行った「ブラジルでの蝶のはばたきがテキサスに竜巻を引き起こすか」という講演の演題に由来する。大気の対流が決定論的な微分方程式に従うにもかかわらず、数値計算の精度をいくら向上させても事実上正確に予測できないカオスの性質をもつことを象徴的に表現したものとして知られる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

2:因果応報

「因果応報(いんがおうほう)」とは「過去の善悪の行為が報いとなって返ってくること」です。「因果」とは原因や結果、「応報」とは報いのことであり、仏教の考え方の1つを表します。

因果応報は、「悪事をおこなった人にはバチがあたる」といった考え方です。多くの場合、因果応報はマイナスの意味で使われますが、努力が報われたときなどにも用いられることがあります。

風が吹けば桶屋が儲かるという言葉を正しく理解しよう

風が吹けば桶屋が儲かるは、「意外なところに影響が出ること」、もしくは「無理にこじつけていることへの皮肉」として用いられる表現です。使用するシーンによっては意味が大きく異なることもあるので、文脈で適切に判断するとよいでしょう。

関連する表現には「バタフライエフェクト」や「因果応報」があります。あわせて確認し、言葉への理解をより深めましょう。

メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock

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