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この記事のサマリー
・「灯台下暗し」は、身近なことほど気づきにくい状況を表すことわざ。
・語源となる「灯台」は室内の灯火台のこと。
・英語表現は“under their very noses” などが対応。
会議や雑談の中で、「それ、灯台下暗しだね」といったフレーズを耳にしたことはありませんか? よく聞くことわざなのに、「正しい意味や由来までは説明できない…」という人は多いはず。
本記事では、「灯台下暗し」の意味や成り立ちを辞書の情報に基づいて丁寧に整理しながら、ビジネスや日常会話でスマートに使いこなすコツをまとめます。読み終える頃には、自信を持って使える「言葉の引き出し」がひとつ増えているはずです。
ことわざ「灯台下暗し」の意味と語源を読み解く
まずは「灯台下暗し」の基本的な意味と読み方を押さえたうえで、誤解されがちな語源や由来を整理します。言葉の背景を知っておくことで、実際の会話やメールで使うときの精度がぐっと高まりますよ。
読み方と意味
「灯台下暗し」は「とうだいもとくらし」と読みます。「灯台」のすぐ下は、光が届かずかえって暗いことから、「身近な事情にうといこと」「身近なことほど案外気づきにくい」という意味を持ちます。
辞書では次のように説明されていますよ。
灯台(とうだい)下(もと)暗(くら)し
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
灯台1のすぐ下は暗いところから、身近な事情はかえってわかりにくいたとえ。
語源・由来|燭台説と海上灯台説
語源として前提となる「灯台」は、昔の室内照明器具のことで、灯火をともす台を指します。「岬の灯台」と誤解されることがありますが、後者は周囲を明るく照らすものではないため、このことわざの比喩としては無理が生じてしまいます。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)
この言葉が伝える心理的構造
「近すぎるゆえに気づけない」という経験は、誰にでも覚えがあるはずです。目の前のことに慣れ、当たり前だと思い込んだ瞬間に、かえって大切な変化やサインを見落としてしまう…。
「灯台下暗し」は、まさにこの「盲点」を言語化したものです。仕事でも人間関係でも、生きている場面すべてに当てはまる普遍的な心理を表しています。

ビジネス・日常ですぐ使える「灯台下暗し」実践ガイド
意味だけでなく、「どんな場面で使えるか」「どんなニュアンスになるか」を具体例とともに整理していきます。社会人にとっては、メール・会議・SNS・ちょっとした雑談など「すぐ使える言葉」であることが大切です。相手との距離感に配慮しつつ、場面に応じた自然な使い方を紹介します。
仕事・会議での使い方例:
「新しい施策に気を取られすぎて、既存顧客のケアが後回しになっていた。まさに灯台下暗しだったね」
「身近な重要ポイントに気づけていなかった」という反省を伝える言い回しです。
日常会話・SNS投稿での使い方:
「探していた鍵、バッグの外ポケットに入ってた… 灯台下暗しだわ」
家族や友人との会話にもなじみます。他にも「ずっと相談していた件、実は一番近くの同僚が詳しかったなんて、灯台下暗しだよね」など、軽い口調でも使えます。
SNSでも「理想のカフェを探してたら家の近所にあった。灯台下暗し…!」といった投稿もできますね。
英語表現は?
英語では、“under their very noses” や “in their own backyards” が近いニュアンスを持ちます。いずれも「すぐ近くにあるものに気づかない」ということを表すことができますよ。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
誤用しないための注意点
注意したいのは、「ただ暗い場所」を指す言葉ではないという点です。また、相手に向かって「あなたは灯台下暗しですね」と言うと、気づかなかったことを責めているように響き、失礼になることがあります。自分の気づかなさを振り返る場面で使うほうが、柔らかく伝わりやすいでしょう。

語彙力を磨くために知っておきたい「灯台下暗し」の価値
ここでは、ことわざを単なる知識としてではなく、「言葉選びのセンスを磨くツール」として捉え、活用法を見ていきましょう。
コミュニケーションで「相手に寄り添う言葉」としての活用
「失敗はあったけれど、よく考えたら灯台下暗しだったね」といった言い方は、相手を責めずに状況を共有する柔らかな表現になります。相手の気持ちに寄り添いながら事実を伝えることで、場の空気を和らげたり、前向きな対話につなげるきっかけになることもあるでしょう。ことわざは、良好なコミュニケーションの潤滑油として使えます。
自分自身を見直すための視点ツールとして
忙しさの中で、すぐ近くのことほど見えなくなる瞬間は誰にでもあります。「灯台下暗し」という言葉を思い出すことで、自分自身を客観的に振り返るきっかけにもなるでしょう。
タスク管理や人間関係でも、「大切なことは足元にあるかもしれない」という気づきを促してくれます。内省のスイッチとしても、役立つ表現です。
豆知識として
先述した通り、本来の「灯台」は室内の灯火台のことであり、岬の灯台ではない点は、ちょっと話したくなる豆知識ではないでしょうか。SNSで引用したり、雑談で添えると「へぇ、そうなんだ!」と返ってくるネタになります。

「灯台下暗し」に関するFAQ
ここでは、「灯台下暗し」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「灯台下暗し」の正しい読み方は?
A.「とうだいもとくらし」と読みます。
Q2. どんな場面で使うのが自然ですか?
A.仕事でも日常でも、「近くにあるのに気づけなかった」状況を指摘するのに向いています。
例として「探していた資料が自席の引き出しにあった。灯台下暗しだった」というように、自分の見落としを表現するときに使えます。
Q3. 類義語にはどんな表現がありますか?
A.「魚の目に水見えず(うおのめにみずみえず)」などがあります。
「魚の目に水見えず」は、魚には水が見えず、私たちは空気が見えません。あまりにも身近にあるものは、気づかないことのたとえとして使われます。
最後に
「灯台下暗し」は、私たちの日常に潜む「見落とし」を軽やかに言い表すことわざです。意味や由来を正しく知っておくことで、会話でもビジネスでも、状況を柔らかく共有できる表現として役立ちます。身近な気づきを大切にしながら、学んだ言葉をぜひ日々のコミュニケーションに生かしてみてください。
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