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2025.11.19

「灯台下暗し」の灯台は岬のものではない!? 意味・語源・使い方をわかりやすく解説

「灯台下暗し」とは、身近なものや状況ほど気がつかない状態を表すことわざです。この記事では、「灯台下暗し」の意味や語源、実践ガイド、活用法、よくある疑問と回答を紹介します。

この記事のサマリー

・「灯台下暗し」は、身近なことほど気づきにくい状況を表すことわざ。
・語源となる「灯台」は室内の灯火台のこと。
・英語表現は“under their very noses” などが対応。

会議や雑談の中で、「それ、灯台下暗しだね」といったフレーズを耳にしたことはありませんか? よく聞くことわざなのに、「正しい意味や由来までは説明できない…」という人は多いはず。

本記事では、「灯台下暗し」の意味や成り立ちを辞書の情報に基づいて丁寧に整理しながら、ビジネスや日常会話でスマートに使いこなすコツをまとめます。読み終える頃には、自信を持って使える「言葉の引き出し」がひとつ増えているはずです。

ことわざ「灯台下暗し」の意味と語源を読み解く

まずは「灯台下暗し」の基本的な意味と読み方を押さえたうえで、誤解されがちな語源や由来を整理します。言葉の背景を知っておくことで、実際の会話やメールで使うときの精度がぐっと高まりますよ。

読み方と意味

「灯台下暗し」は「とうだいもとくらし」と読みます。「灯台」のすぐ下は、光が届かずかえって暗いことから、「身近な事情にうといこと」「身近なことほど案外気づきにくい」という意味を持ちます。

辞書では次のように説明されていますよ。

灯台(とうだい)下(もと)暗(くら)し
灯台1のすぐ下は暗いところから、身近な事情はかえってわかりにくいたとえ。

引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

語源・由来|燭台説と海上灯台説

語源として前提となる「灯台」は、昔の室内照明器具のことで、灯火をともす台を指します。「岬の灯台」と誤解されることがありますが、後者は周囲を明るく照らすものではないため、このことわざの比喩としては無理が生じてしまいます。

参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)

この言葉が伝える心理的構造

「近すぎるゆえに気づけない」という経験は、誰にでも覚えがあるはずです。目の前のことに慣れ、当たり前だと思い込んだ瞬間に、かえって大切な変化やサインを見落としてしまう…。

「灯台下暗し」は、まさにこの「盲点」を言語化したものです。仕事でも人間関係でも、生きている場面すべてに当てはまる普遍的な心理を表しています。

辞書 眼鏡
(c) Adobe Stock

ビジネス・日常ですぐ使える「灯台下暗し」実践ガイド

意味だけでなく、「どんな場面で使えるか」「どんなニュアンスになるか」を具体例とともに整理していきます。社会人にとっては、メール・会議・SNS・ちょっとした雑談など「すぐ使える言葉」であることが大切です。相手との距離感に配慮しつつ、場面に応じた自然な使い方を紹介します。

仕事・会議での使い方例:
「新しい施策に気を取られすぎて、既存顧客のケアが後回しになっていた。まさに灯台下暗しだったね」

「身近な重要ポイントに気づけていなかった」という反省を伝える言い回しです。

日常会話・SNS投稿での使い方:
「探していた鍵、バッグの外ポケットに入ってた… 灯台下暗しだわ」

家族や友人との会話にもなじみます。他にも「ずっと相談していた件、実は一番近くの同僚が詳しかったなんて、灯台下暗しだよね」など、軽い口調でも使えます。

SNSでも「理想のカフェを探してたら家の近所にあった。灯台下暗し…!」といった投稿もできますね。

英語表現は?

英語では、“under their very noses” や “in their own backyards” が近いニュアンスを持ちます。いずれも「すぐ近くにあるものに気づかない」ということを表すことができますよ。

参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

誤用しないための注意点

注意したいのは、「ただ暗い場所」を指す言葉ではないという点です。また、相手に向かって「あなたは灯台下暗しですね」と言うと、気づかなかったことを責めているように響き、失礼になることがあります。自分の気づかなさを振り返る場面で使うほうが、柔らかく伝わりやすいでしょう。

灯台
(c) Adobe Stock

語彙力を磨くために知っておきたい「灯台下暗し」の価値

ここでは、ことわざを単なる知識としてではなく、「言葉選びのセンスを磨くツール」として捉え、活用法を見ていきましょう。

コミュニケーションで「相手に寄り添う言葉」としての活用

「失敗はあったけれど、よく考えたら灯台下暗しだったね」といった言い方は、相手を責めずに状況を共有する柔らかな表現になります。相手の気持ちに寄り添いながら事実を伝えることで、場の空気を和らげたり、前向きな対話につなげるきっかけになることもあるでしょう。ことわざは、良好なコミュニケーションの潤滑油として使えます。

自分自身を見直すための視点ツールとして

忙しさの中で、すぐ近くのことほど見えなくなる瞬間は誰にでもあります。「灯台下暗し」という言葉を思い出すことで、自分自身を客観的に振り返るきっかけにもなるでしょう。

タスク管理や人間関係でも、「大切なことは足元にあるかもしれない」という気づきを促してくれます。内省のスイッチとしても、役立つ表現です。

豆知識として

先述した通り、本来の「灯台」は室内の灯火台のことであり、岬の灯台ではない点は、ちょっと話したくなる豆知識ではないでしょうか。SNSで引用したり、雑談で添えると「へぇ、そうなんだ!」と返ってくるネタになります。

アルファベット
(c) Adobe Stock

「灯台下暗し」に関するFAQ

ここでは、「灯台下暗し」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。

Q1. 「灯台下暗し」の正しい読み方は?

A.「とうだいもとくらし」と読みます。

Q2. どんな場面で使うのが自然ですか?

A.仕事でも日常でも、「近くにあるのに気づけなかった」状況を指摘するのに向いています。

例として「探していた資料が自席の引き出しにあった。灯台下暗しだった」というように、自分の見落としを表現するときに使えます。

Q3. 類義語にはどんな表現がありますか?

A.「魚の目に水見えず(うおのめにみずみえず)」などがあります。

「魚の目に水見えず」は、魚には水が見えず、私たちは空気が見えません。あまりにも身近にあるものは、気づかないことのたとえとして使われます。

最後に

「灯台下暗し」は、私たちの日常に潜む「見落とし」を軽やかに言い表すことわざです。意味や由来を正しく知っておくことで、会話でもビジネスでも、状況を柔らかく共有できる表現として役立ちます。身近な気づきを大切にしながら、学んだ言葉をぜひ日々のコミュニケーションに生かしてみてください。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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