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目の前にあることほど、意外と見えない。心の奥底に潜む盲点、それが「灯台下暗し」です。人が忘れがちな「近くにあるものの価値」を見直すきっかけになるのが、このことわざになります。
身の回りの人や、自分自身の中に潜む意外な盲点について考えてみませんか? 「灯台下暗し」の深い意味を知ることで、新しい発見が待っているかもしれません。
「灯台下暗し」の意味や読み方は?|語源や由来、成り立ち
「灯台下暗し」、この表現にはどんな意味が込められているかご存じでしょうか? 自分のすぐそばにある大切なものや、見落としがちな日常の中にある価値を再発見するきっかけになる、深いことわざです。読み方や成り立ち、語源を知ることで、ふとした瞬間に役立つ「気づき」の大切さを見つめ直してみましょう。
読み方と意味
「灯台下暗し」は「とうだいもとくらし」と読みます。このことわざは、身近なものや状況に対して気づかずにいる状態や、手元にある事実に目が向かない様子を指します。
「灯台」が遠くを明るく照らす存在であることから、「その真下にあることには気づきにくい」という状況をたとえています。日常生活で意識しづらい部分を改めて見直すヒントとして覚えておきたいですね。
語源や由来、成り立ち
漢文に由来する可能性もありますが、今のところ漢籍に類例は見出されていないようです。したがって、「灯台下暗し」は、灯台が遠くを照らし続ける一方で、その足元は暗くなっている現象に由来すると考えられます。
どのような場面でどう使う? 具体的な例文でチェック
日常の中でどんな場面に「灯台下暗し」を当てはめられるのでしょう? 家族や友人との関係、仕事のちょっとした見落とし、さらには自分自身を振り返る場面など、私たちの生活の様々なシーンで気づきを促してくれます。具体的な例文をもとに、ぜひ「使える表現」として学びましょう。
「家族のことばかり気にかけていたが、最近、自分自身の健康に無頓着だったことに気づいた。まさに灯台下暗しだ」
家族のことを優先するあまり、自分自身の健康管理が疎かになっているケースです。自分のことを見過ごしてしまう様子を「灯台下暗し」と表現しています。家族のために、自分も健やかでいることが大切という教訓が込められています。
「新しいプロジェクトの企画に夢中になりすぎて、基本的な業務を確認するのを忘れていたなんて、灯台下暗しだった」
例文では、新しい仕事に注力するあまり、日常の基本的な業務が見落とされていた状況を表しています。重要な新しいことに集中しすぎて、足元の確認ができなかったことを「灯台下暗し」で表現し、基礎の大切さを強調しています。
「人にはこまめに感謝の気持ちを伝えているが、自分の両親には全く言えていなかったことに気づいた。灯台下暗しだ」
他の人には丁寧に感謝を示すのに、身近で大切な両親には感謝の気持ちを忘れていたという場面です。身近な人に対しては当たり前に感じてしまうことが多く、気づかないことがあるという教訓を「灯台下暗し」で表現しています。
類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
「灯台下暗し」と同様に、身近なことを見落としてしまう場面で使える表現が他にもあります。日本語の豊かな表現を知ることで、普段の会話やメールでも、状況に応じてニュアンスを変えて表現できるようになりますよ。
魚の目に水見えず(うおのめにみずみえず)
「魚の目に水見えず」は、魚には水が見えず、私たちは空気が見えません。あまりにも身近にあるものは、気づかないことのたとえとして使われます。見慣れた環境ほど気づきにくいということを心に留めておきたいですね。
智は目の如し、 百歩の外を見て睫を見る能わず(ちはめのごとし、ひゃっぽのそとをみてまつげをみるあたわず)
目は遠くのものを見ることはできても、自分のまつ毛を見ることができません。そこから、人間の知恵は他人の様子はよくわかっても、自分のことを知るのは難しいという意味があります。
傍目八目/岡目八目(どちらも読み方は、おかめはちもく)
「傍目八目/岡目八目」は、第三者から見ると物事が明確にわかるという意味です。他人の囲碁を見ていると、対局者よりも冷静に手が読めることから、転じてこうした意味になりました。
第三者の視点がもたらす客観的な洞察を大切にすることで、身近な盲点にも気づけるようになるともいえますね。
「灯台下暗し」を英語表現にすると?
「灯台下暗し」は、英語で“People often know little of what is happening in their own backyards.”や“under their very noses”と表現されます。これらは「目の前のことに気づかない」という意味で、日常生活やビジネスシーンでも頻繁に使われる慣用表現です。
「灯台下暗し」に関連するコラム
日々の忙しさに追われていると、つい目の前にある大切なものを見過ごしてしまうことがあります。身近にいながらも、その存在の大きさに気づきにくいもののひとつが、自分を支えてくれている家族や友人など大切な人々でしょう。慌ただしい日常の中で、心のケアや感謝の気持ちを後回しにしてしまっていませんか?
「灯台下暗し」という言葉を思い出すことで、普段は見逃している「身近な宝物」に気づくことができます。ふと立ち止まって、周囲に対する感謝や自分の心のケアを意識することで、日常に小さな気づきを増やし、心の豊かさを取り戻してみましょう。日々の小さな発見が、新しい喜びや変化をもたらし、自分自身や人との関係がより深まっていくかもしれません。
最後に
「灯台下暗し」という言葉は、単なる教訓以上の意味を持っています。それは私たちに、身近にある宝物や、日常の中に埋もれている大切なものを見直すきっかけを与えてくれます。このことわざを思い出すことで、今一度、自分自身や周囲の人々に向き合い、日常の中に隠された大切な「灯り」を見つけることができるでしょう。
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