求不得苦とはどんな意味?
求不得苦とは、ある苦しみを表現した言葉です。この苦しみには、複数のものが該当するとされます。日常生活の中では、あまり用いられない表現であることから、四字熟語の読み方や使い方をよく知らないという方もいるかもしれません。
ここでは「求不得苦」の読み方や語句の意味、例文について解説。例文を活用して、「求不得苦」を正しく使ってみましょう。
求不得苦の意味
求不得苦は、「ぐふとくく」と読む四字熟語です。求めているものが、思うように得られない苦しみを表現した言葉です。
他にも、不老不死を求めても得られない苦しみや、欲望が満たされないことの苦しみを表現した言葉でもあります。
四字熟語それぞれの漢字に注目してみると、「求」めるものを「得」ることが「不」可能で「苦」しむとわかります。
求不得苦の例文
求不得苦は、日常生活で使われることはあまりないといえるでしょう。求不得苦を正しく使うには、以下の例文を参考にしてください。
・人間というのは、何かを得ればまた何かを欲する。「求不得苦」は永遠に続くのだろう
・値下げ交渉に失敗してしまい、「求不得苦」を味わった
・秋の味覚である秋刀魚が食べたいけれど、価格が高騰して気軽に買えなくなってしまったから「求不得苦」だ
仏語における求不得苦
求不得苦は、人間が抱える「根本的な苦しみ」の一つとされています。仏教というと、難しい意味で用いられているように感じてしまいますが、そのようなことはありません。
ここでは仏語としての「求不得苦」について、その意味を解説します。また、求不得苦が生じる原因についても、ぜひ参考にしてください。
浄土真宗における「求不得苦」
浄土真宗における「求不得苦」とは、深い欲求不満の状態を表す言葉とされています。私たちは日々、さまざまな欲求を抱きながら生活しています。
しかし、その欲求のすべてが満たされるわけではありません。つまり、絶えずなんらかの欲求が満たせない状態であるともいえるでしょう。
求不得苦が生じる原因
求不得苦が生まれる原因は、私たち人間の「煩悩である」と考えられています。自らの自己中心的な欲求にこだわり、自分以外の外部に対して「満足感」を求めてしまいます。
しかし、これらの満足感はその時々で変化するもの。日々、欲する「満足感」が変わるため、本質的に満足感を得ることはできないでしょう。外的な要因によってすべての欲を満たすことは不可能であり、永遠に解決することはないとされています。
「苦悩」を意味する四字熟語
苦悩を意味する四字熟語には、さまざまな言葉があります。基本的には、四苦八苦や青息吐息など、ストレートに「苦悩」を意味する語句が多いでしょう。しかし、なかには七転八起といった言葉もあげられます。
ネガティブな意味で用いられることの多い「苦しみ」に触れつつも、ポジティブな意味をもちます。
ここでは、苦悩を意味する四字熟語として、上3つの意味について解説します。
七転八起(しちてんはっき)
七転八起とは、文字通り七回転んでも八回起き上がるという四字熟語です。意味は、何度失敗しても、諦めずに立ち上がって努力すること。このことから、良いときと悪いときの浮き沈みが激しい人生を指す言葉としても使われています。
四字熟語の意味には、繰り返し失敗することの苦悩にも触れられていますが、言葉としてはくじけないといったポジティブな意味で用いられる傾向にあります。
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四苦八苦(しくはっく)
四苦八苦とは、非常に苦しむ様を表した四字熟語です。
もともとは仏語であり、あらゆる苦しみの意味で用いられています。また、思うようにことが進まず、苦悩している様を表すこともあります。
青息吐息(あおいきといき)
青息吐息とは、非常に困ったときや苦しいときなど、特定の状況下でつくため息のことです。このような状態のことを指すこともあります。
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他にもある仏語から生まれた四字熟語
求不得苦は、もともと仏語から生まれた四字熟語です。しかし、仏語には求不得苦の他にもさまざまな語句があります。使われている漢字にも着目したうえで、意味を考えていきましょう。
ここでは「諸行無常」「色即是空」「一期一会」といった仏語を紹介します。いずれの四字熟語にも、異なる「教え」が込められています。
諸行無常(しょぎょうむじょう)
諸行無常とは、この世の万物は常に変化していて、とどまるものはないという意味をもつ四字熟語です。仏語においては、人生の無常さと執着心を手放すことの大切さを問う教えでもあります。
色即是空(しきそくぜくう)
色即是空とは、現世に存在しているあらゆる事物、森羅万象はすべて実体ではなく、本質的には空無であるという意味をもつ仏語です。
「色」は、この世のすべての出来事、ものを表しています。そして「空」は文字通り、空虚という意味をもちます。
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一期一会(いちごいちえ)
一期一会は、仏語に詳しくない方にとっても、馴染み深い四字熟語かもしれません。一生に一度だけの機会という意味で用いられる言葉です。「一期」は仏教語で、人が生まれてから死ぬまでの間を意味します。
生涯に一度限りのチャンスであることや、生涯に一回きりしかないといった意味でも用いられます。また、一度きりの機会だからこそ、それに専念するといったニュアンスも含まれているといえるでしょう。
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求不得苦を正しく使おう
求不得苦とは、欲するものが得られないことの苦しみを表現した言葉。仏語としては、人間が永遠に解決できないものとして使われているようです。
また、求不得苦と同様に苦しみを表現する四字熟語として、七転八起や四苦八苦なども馴染み深い言葉です。他にも諸行無常や一期一会などの仏語も、求不得苦とあわせて覚えておいてください。
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