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2024.11.06

天高く馬肥ゆる秋とは? ことわざの意味や由来、秋ならではの表現をまとめて解説!

「天高く馬肥ゆる秋」とは、秋に用いられる言葉です。このことわざは天気がよく、食べ物がおいしい季節を表しています。この記事では、「天高く馬肥ゆる秋」ということわざの意味や由来を解説。また後半ではその他、秋を表す言葉も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

「天高く馬肥ゆる秋」とはどんな意味?

日本には四季があり、季節を表す表現にはさまざまなものがあります。秋を表現した言葉として知られる「天高く馬肥ゆる秋」もまた、季節を表した言葉の1つです。

ここでは、「天高く馬肥ゆる秋」という言葉の意味をはじめ、語句の由来や使い方について解説します。「なんとなく意味は知っている」という方も、「初めて聞いた」という方も、ぜひチェックしてみてください。

「天高く馬肥ゆる秋」の意味

「天高く馬肥ゆる秋」は、秋に用いられる言葉です。秋になると空気が澄み渡り、空が高く見えます。秋は人と同じく、馬も食欲が増す季節です。食欲の増加にともなって馬が肥えていくため「馬肥ゆる」と表現されるようになったとされています。

収穫の秋は食べ物もおいしく、天気がよくて過ごしやすい季節。「天高く馬肥ゆる秋」は単に秋という季節を表しているだけでなく、秋を称賛するニュアンスも含まれているといえるでしょう。

なお秋の空が「天高い」と表現される理由は諸説ありますが、一説としては雲の高さが異なるためのよう。空の透明度が増していることも相まって、「天高い」と表現されているようです。

天高く馬肥ゆる秋
空は澄み渡って晴れ、馬が食欲を増し、肥えてたくましくなる秋。秋の好時節をいう言葉。

出典:小学館 デジタル大辞泉

「天高く馬肥ゆる秋」の由来

秋を喜ぶニュアンスが強い「天高く馬肥ゆる秋」ですが、かつては現在のように快適な秋を表す言葉ではなかったといわれています。中国・唐代の詩人である杜審言(としんげん)によって書かれた『漢書』にある一文に由来するようです。

同書には「雲浄妖星落 秋高塞馬肥(そらきよくしてようせいおち あきたかくしてさいばこゆ)」と記されています。

妖星とは災いの前兆とされる不吉な星であり、「塞馬」とは北方の馬のことです。そしてこの馬は、敵方が乗るもの。このことから「天高く馬肥ゆる秋」は、秋になると肥えた馬に乗って、敵が攻めてくるという意味で用いられていたといわれています。

現在とは異なり、ややネガティブな意味で用いられる言葉だったことがわかるでしょう。

大学芋
(c)AdobeStock

「天高く馬肥ゆる秋」の使い方

「天高く馬肥ゆる秋」は、比較的馴染みのある言葉です。しかし、いざ使おうと考えると、使い方が難しいと感じる人もいるかもしれません。

以下、「天高く馬肥ゆる秋」の使い方を例文でチェックしましょう。

・天高く馬肥ゆる秋となりましたが、いかがお過ごしでしょうか

・天高く馬肥ゆる秋、貴社におかれましては、ますますご壮健のことと拝察します

「天高く馬肥ゆる秋」とは多くの場合、メールや手紙などの文章で、冒頭の挨拶に用いられます。

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「天高く馬肥ゆる秋」の類語・言い換え表現

「天高く馬肥ゆる秋」には、いくつかの類語があります。ここでは、天高気清や秋高馬肥といった2つの四字熟語について解説。

いずれも天高く馬肥ゆる秋の由来ではなく、現在と同様の意味を持つ四字熟語です。漢字だけで秋の気候を表している点は、極めて興味深いところでしょう。それぞれの意味を解説します。

天高気清(てんこうきせい)

「天高気清(てんこうきせい)」もまた、天高く馬肥ゆる秋と同様の意味を持つ言葉です。「天高く気清し」と表されることもあり、こちらも意味は同じです。いずれの表現も、秋の爽やかな空気を表しています。

天高気清の出典は、中国の戦国時代・楚国の詩人を中心に編纂された『楚辞』であるとされています。気温が温暖な地域で誕生したことからも、明るくのびのびとした詩が多くみられるようです。

秋高馬肥(しゅうこうばひ)

「秋高馬肥(しゅうこうばひ)」は、漢字からも想像できるように「天高く馬肥ゆる秋」を四字熟語にしたものです。そのため類語の中でも、とりわけ同じ意味を持つ言葉と言えます。ただし「天」ではなく「秋」という字が使われている点には注意してください。

「秋」を表す他の表現

天高く馬肥ゆる秋と同様に「秋」を表す表現は、他にも複数あります。たとえば「秋の日は釣瓶落とし」「山粧う」「秋の鹿は笛に寄る」「紅葉かつ散る」などです。

同じ季節を表現しているにもかかわらず、秋の中のいずれのポイントを表現しているのかで、言葉が全く変わってくるのは興味深いですね。それぞれの意味を解説します。

秋晴れ
(c)Adobe Stock

秋の日は釣瓶落とし

「秋の日は釣瓶落とし(あきのひはつるべおとし)」とは、夏から秋になって、陽が落ちる時間が早まっていくことを表した言葉です。夕方を過ぎると急速に陽が落ちる秋の様子を、井戸の中に釣瓶が落ちていく速さにたとえています。

なお、7〜11月にかけて、陽が落ちるスピードはおよそ1か月で1時間ずつ早まっていくとされています。

山粧う

「山粧う(やまよそおう)」とは、秋の山が紅葉によって色づくさまを表した言葉です。北宋の画家・郭煕(かくき)の言葉「秋山は明浄にして粧うがごとし」に由来しているとされます。

山が色づく様子を、まるで山が化粧をするように「粧う」と表現するのは、なんとも美しいですね。なお、秋の他にも春・夏・冬それぞれの言葉もあるため、気になる人は調べてみてください。

紅葉かつ散る

「紅葉(もみじ)かつ散る」とは、秋の紅葉を表した言葉です。「かつ」とは、2つ以上の出来事が並行して、同時に起きることを意味しています。つまり「紅葉が散る」という意味ではなく「紅葉するととも散る」といった意味合いになります。

言葉の由来は、日本の俳人・金子兜太によって読まれた俳句「紅葉かつ 散る轟音の 如く散る」からとされています。

天高く馬肥ゆる秋を正しく使おう!

「天高く馬肥ゆる秋」という言葉について解説しました。秋になると空気が澄み渡り、空が高くなる様子から、秋の爽やかな気候を表現した言葉です。また「馬肥ゆる」と表されており、これは秋が収穫の季節であることも伝えています。

この機会に「天高く馬肥ゆる秋」だけでなく、四季を楽しむ日本語の表現を調べてみてはいかがでしょう。

メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock

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