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2022.06.09

「締結」とは? 類語や、「契約締結日」の意味など分かりやすく紹介

国際問題を語るシーンなどでよく聞かれる「締結」という言葉は、ビジネスの現場でも用いられます。似たような言葉で「契約」という言葉もありますね。「締結」と「契約」は、それぞれどう違うのでしょうか。今回は、「締結」について詳しく説明します。

「締結」とは?

(c)Shutterstock.com

まず、「締結」の意味をおさえておきましょう。「締結」とは、条約や協定、契約を結ぶことをいいます。「締結」の「締」「結」ともに「まとめる」「束ねる」という意味の文字で、さらに「締」には「厳しくする」という意味もあるので、「締結」という言葉には「きっちりまとめる」というニュアンスが伴います。

また、「締結」にはおもしろい意味があるのです。それは「ネジ止めする」というもの。ネジやボルト、ナットなどを用いて、部材と部材とをつなぎ合わせることを「締結」といいます。機械工学などの分野の人にとっては当たり前のことかもしれませんが、日常のシーンではなかなか用いられない意味ですね。

「締結」と「契約」の違い

「締結」と似た言葉に、「契約」というものがあります。「契約」とは、2人以上の当事者の意思表示の合致によって成立する法律行為のことです。売買や贈与、貸借、雇用、請負、寄託、委任などの種類があります。賃貸マンションを借りるのは賃貸契約ですし、契約社員の人は、会社と雇用契約を結んでいますね。

ちなみに、「契約」するときには、契約書が取り交わされるのが一般的ですが、契約書は契約に必要なものというわけではありません。法律に特段の定めがない限り、口頭の約束でも契約となり得る場合があるので注意しましょう。

「契約」が一旦成立すれば、両者にそれぞれ権利が発生し、それに伴う義務を負うこととなります。「契約」の内容を実行しない場合には、損害賠償を求められることも。

さて、「締結」と「契約」ですが、「締結」とは「契約」によって発生した法的な関係について当事者全員が合意することです。

「契約」の内容に合意すること、すなわち「締結」することを「契約の締結」といい、それを明らかにするために作成するのが契約書になります。

「契約締結日」とは?

(c)Shutterstock.com

「契約締結日」とは、契約の内容が合意に至った日のことです。仮に、契約書に「契約の開始日」が記載されていない場合には、「契約締結日」が効力発生日となります。逆に、何か契約する場合には、効力の発生日をいつにするのかを「締結」前に明確にしておくことが必要です。

「契約発生日」を過去に設定することがある?

ちなみに、効力発生日は、契約締結日よりも過去の日にちにする場合があります。たとえば、契約締結前にはじまっていた取引に対して契約を「締結」する場合、あるいは秘密保持契約を情報公開後に「締結」する場合です。このように、効力発生日を契約締結日よりも前にすることを、「遡及契約」もしくは「遡及適用」といいます。

遡及契約の場合、契約書には

・「本契約は、令和●年●月●日に遡って適用する」
・「契約締結日にかかわらず、有効期間は××年○月△日より1年間」
・「契約締結日にかかわらず、××年○月△日より遡及的に効力を有する」

などの記載がされることが多くあります。

「契約発生日」を未来に設定する場合の書き方は?

一方、「契約発生日」を、契約締結日よりも後の日付にすることもよくあります。たとえば、数ヶ月先に開始する業務委託契約や、半年後に始まるプロジェクトに関する秘密保持契約などが該当します。

この場合、契約書には以下のように書かれます。

・「効力発生日は××年○月△日とする」
・「本契約は、令和●年●月●日から適用する」
・「本契約の有効期限は、令和●年●月●日から1年間とする」

「締結」の類語を紹介

ここまでで「締結」の意味を説明しました。次に、類義語を紹介します。類義語は、その言葉を正しく理解する際に参考になるはず。

1:成約

「成約」とは、契約が成立すること、または成立した契約のことです。家の売買など、不動産契約の場合には、物件が売約済であることを示しています。また人材紹介の分野で「成約」と言えば、雇用契約が「締結」されている状態のことをいいます。

2:調印

「調印」とは、条約文書に条約当事国の正式な代表者が、文書に署名すること。条約当事国の正式な代表者のことを全権代表といいます。

条約には、国家の最終的な確認を要するものがありますが、この「国家の最終的な確認」のことを「批准」といいます。批准の必要のない条約の場合には「調印」によって効力が発生するのです。

3:約定

少し聞きなれない言葉ですが「約定」という言葉もあります。「やくてい」と読む人がいるかもしれませんが、これは誤りです。正しくは「やくじょう」と読み、おもに株式や債権のほか、先物商品や為替などの金融取引において、売買契約が成立することを「約定」といいます。また、金融業界では、返済日のことを「約定日」といいますね。

「締結」の反対語を紹介

(c)Shutterstock.com

「締結」が合意することを指しますから、反対語は、合意できないことを意味する言葉になります。「締結」の反対語にはどのような言葉があるのでしょうか。

1:破棄

「契約を破棄してください」などというような言い方をすることがありますね。この「破棄」は、「締結」の反対語といえます。契約が破棄する、とは、契約の内容を一方的に取り消すことです。

2:廃棄

条約を取り消すことは「廃棄」といいます。つまり、条約を当事国の意思によって失効させることです。

「廃棄」、または脱退に関する規定がない条約の場合、当事国に廃棄・脱退の可能性の許容意図があった場合や、条約の性質において「廃棄」・脱退の権利があると考えられる場合のみに、使用することができます。その場合、12ヶ月前までに通告することが必要です。

「締結」の英語表現とは?

「締結」を英語でいうと、「conclusion」となります。「平和条約の締結」と言いたい場合には「the conclusion of a peace treaty」と表現することが可能。

また、「a treaty with」という言い方もあります。「treaty」が締結なので、「Our country concluded a peace treaty with the UK.」であれば、「我が国は、イギリスと講和条約を締結した」と訳すことができます。

最後に

「締結」の意味は理解できたでしょうか。「契約」との違いはとても微妙なので注意が必要です。意味よりも使い方で覚えておいたほうがいいかもしれません。

「締結」は、契約が合意に至り、多くの場合、効力が発生するタイミングとなります。「契約」の内容や効力発生日については、「締結」する前に納得のいくまで交渉しておきましょう。また、「締結」後に発生した義務については、きちんと履行すること。これを怠ると大変なことになる場合もありますよ。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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