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「肌感でかまいませんので」の意味は?
まず「肌感」とは「肌で感じるような感覚的な印象」のこと。つまり「肌感でかまいませんので」というフレーズは「明確な根拠や数値ではなく、あなたの実感や経験からくる印象でいいですよ」という意味で使われています。
たとえば打ち合わせの場で「肌感でかまいませんので、最近の顧客の反応について教えてください」と尋ねたり、会議の質疑で数字を知りたいときに「正確な数字でなくても大丈夫です、肌感で結構です」などと用いられるのが一般的です。
いわゆる“ざっくりとした見解”を知りたい場面で、使いやすい言葉として広く用いられています。
「肌感でかまいませんので」の使いどころ

「肌感でかまいませんので」がよく使われている具体的なビジネスシーンを場面ごとに解説します。
♦︎急ぎで方向性を知りたいとき
時間がない会議やすり合わせの場では、ひとまず“ざっくり”とした印象を共有できれば、次のアクションが見えやすくなります。
精査したデータではなくても、参考として“ざっくり”と知りたいときに「肌感でかまいませんので」は使いやすい表現です。
♦︎数値データが揃っていない段階でのヒアリング
企画やマーケティングの初期段階では、現場に携わる人の感覚を知りたいときも多々あります。
「肌感でかまいませんので」と添えたうえでヒアリングをすれば、精査を済ませた正確な数値ではなくても“ざっくり”としたデータや感覚をもとに相手が答えやすくなるでしょう。
♦︎「気軽に答えてくださいね」と伝えたい場面
「完璧な答えを出さなくて大丈夫です」という意図を伝えたいときにも「肌感でかまいませんので」は、便利なフレーズです。
相手の心理的ハードルを下げる効果もあり、精査していない情報をもとに感覚をベースとした意見交換をしやすくなるでしょう。
「肌感でかまいませんので」の落とし穴! 注意点を解説

「肌感でかまいませんので」は、極めて曖昧な表現。意見を気軽に出しやすい場になる一方で、曖昧さがトラブルの元になることもあります。
アラサー世代が意識しておきたい「肌感でかまいませんので」のフレーズに関する注意点を解説します。
♦︎「肌感」は人によって差があると心得る
Aさんの「よく売れている」という肌感覚は、Bさんにとっては「そこまでではない」あるいは「意外と不調だ」という場合もありえます。
「肌感」はあくまでも発言者個人の感覚であることを肝に銘じ、認識のずれが起きている可能性は常に意識しておくべきでしょう。
♦︎重要な判断材料に使うのは避ける
「肌感」は、あくまで感覚ベースのお話。
したがって、最終的な意思決定には必ずデータや事実確認を伴うべきです。
上役の言葉や日頃から信頼している相手の発言だからというだけで、誰かの「肌感」をもとにした重要決定をしてしまうのは、ビジネスでは大きなリスクが伴います。
♦︎曖昧だからこそ相手の不快感を生む可能性もある
論理的に物事を判断するデータ重視の人にとっては「肌感」は、頼りなく感じられることもあります。
ざっくばらんに意見を聞きたいからと「肌感でかまいませんので」と伝えると、相手や場面によっては不適切になってしまい、不快感を招くことも。
上手な使い分けが求められるフレーズだと心がけましょう。
「肌感でかまいませんので」の類似表現

「肌感でかまいませんので」には、類似の表現がいくつかあります。
アラサー世代が使いやすい言い換え・類似表現をまとめました。
♦︎「おおまかで構いません」
数量や日程などの目安を聞くときには「おおまかで構いません」と言い換えができます。
「概算や大雑把な数字でOKですよ」という趣旨の言い回しです。
♦︎「感覚的なお話でも問題ありません」
目上の人や取引先に肌感覚に基づく意見を聞きたいときには「感覚的なお話でも問題ありません」と言い換えるとスマートです。
意味はほとんど同じながら「肌感でかまいませんので」よりも丁寧な印象になるでしょう。
♦︎「ざっくりで大丈夫です」
カジュアルな会話で、相手の意見をまさしく“ざっくり”と聞きたいときには「ざっくりで大丈夫です」と言い換えることもできます。
「感覚的な印象でOKですよ」という趣旨は「肌感でかまいませんので」とほぼ同じで、より親近感のある言い回しです。
ビジネスでは個人の感覚だけを頼りすぎるのはNG
「肌感でかまいませんので」は、相手の感覚に基づいたざっくりした意見を求めるときに便利な表現です。ただし使い方を誤ると「根拠がない話ばかり」や「段取りがあいまいすぎる」と誤解されて仕事への姿勢を疑われるかもしれませんし、重要な判断の根拠とするのも避けるべきです。
使う際には「あなたの意見を、あくまで参考として伺いたい」という補足や、最終的な判断にはデータで裏付ける姿勢を示すと良いでしょう。
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並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。