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この記事のサマリー
・「乱筆乱文」とは、文字や文章が整っていないことを、自分の手紙についてへりくだって述べる表現。
・主に、手書きの手紙で使われてきた言葉です。
・メールでへりくだって伝えたい場合は「乱文」を使います。
社会人になってから、「乱筆乱文のほどお許しください」という一文を、文末に使うべきか迷った経験はありませんか? 字が少し崩れてしまったときや、急いで手紙やメールを書いたときに添えられるこの表現。丁寧そうだけれど、本当に今のビジネスシーンで使って大丈夫なのか、似た言い方とどう違うのかは意外と知られていません。
この記事では、辞書の定義をもとに「乱筆乱文」の意味を整理しながら、手紙やメールでの自然な使い方や避けたいポイントまで、実務目線でわかりやすく解説していきます。
「乱筆乱文」とは? 意味・使い方を解説
まずは、辞書の定義にもとづいて意味の理解を深めましょう。
「乱筆乱文」の意味
乱筆は「文字を乱雑に書くこと」、乱文は「乱れて整わない文章」を指し、どちらも自分の書いた手紙の文面をへりくだって述べる際に用いられます。
辞書では次のように説明されています。
らん‐ぴつ【乱筆】
文字を乱雑に書くこと。また、その文字。手紙で自分の筆跡をへりくだっていう語としても用いる。「―乱文にて失礼いたします」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)らん‐ぶん【乱文】
乱れて整わない文章。自分の手紙の文などをへりくだっていうときにも用いる。「取り急ぎ―乱筆にて失礼致します」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「乱筆乱文」と「乱文乱筆」はどちらが正しい?
結論から申すと、「乱筆乱文」と「乱文乱筆」、どちらも正しい言い方です。どちらも辞書の例文で使われているので、安心して使ってください。

手紙・メールでの「乱筆乱文」の使い方と例文集
意味はわかっても、「手紙ではどう添える?」「メールで使ってもいい?」という疑問が出てくるのではないでしょうか? ここでは、手紙での添え方、メールで使う際の注意点を分かりやすく整理して紹介します。
手紙での使い方(書き出し・文末)
手紙では、手書きによる読みづらさが生じやすいため、「乱筆乱文」はよく使われてきた表現です。文頭に「乱筆乱文ながら失礼いたします」や文末に「乱筆乱文のほど、お許しください」などと使うのが一般的です。
メールで使う際の注意点
先述した通り、「乱筆」は自分の筆跡をへりくだって用いる言葉です。メールは手書きではないので、へりくだって伝えたい場合は「乱文ながら失礼いたします」や「乱文のほど、お許しください」などとするといいでしょう。
誤用しないための注意点と代替表現
ここでは、「乱筆乱文」を使うときの注意点を整理しつつ、使いやすい代替表現も紹介します。
ビジネスで避けるべきケース
ビジネス文書では、文字や文章が乱れていること自体が少ないでしょう。特に、正式な依頼文・請求書・契約関連など「整った文面が前提」の文書には用いないようにしましょう。
また、不備の言い訳と受け止められる可能性もあるため、状況説明が必要なときは別途ていねいに理由を添えるほうが信頼につながります。
使いやすい代替表現
「乱筆乱文」の代わりに、「とりとめのないメールにて失礼いたします」や「取り急ぎご一報申し上げます」など、状況をそのまま伝える表現は現代のビジネスでも使えます。
また、相手への配慮を示したいときは「読みづらい点がございましたらお知らせください」などの一文を添えると、丁寧さを保ちながら柔らかい印象になりますよ。

「乱筆乱文」に関するFAQ
ここでは、「乱筆乱文」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1.「乱筆乱文」とは、どんな意味の言葉ですか?
A.「乱筆」は文字を乱雑に書くこと、「乱文」は整っていない文章を指します。いずれも、自分の手紙の文面についてへりくだって述べる言葉で、「乱筆乱文」はそれらを重ねて用いた表現です。
Q2.「乱筆乱文」は、どんな場面で使われてきましたか?
A.主に手書きの手紙において、自分の手紙の文面をへりくだる際に使われてきました。
Q3.「乱筆乱文」のNGな使い方はありますか?
A.正確さが求められる文面では使いません。また、言い訳のように多用するのは避けたほうがいいでしょう。
最後に
乱筆乱文とは、自分の文字や文章を「読みにくい文字」「まとまりがなく読みにくい文章」だと謙遜して表現するフレーズです。メール等でのコミュニケーションが主となった現代では、ほとんど使う機会がない言葉になってしまいました。
しかし、公私共に丁寧な手紙を書く場面に遭遇した際には、その文面に謙遜の意を込めて書き記す言葉となります。ひとつの表現方法として有効でもありますので、ぜひこの機会に覚えておいてくださいね。
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