乱筆乱文とはどんな意味?
乱筆乱文というフレーズの意味は、「読みにくい文字と文章」という意味です。これは、「乱筆」と「乱文」の二つの言葉からできています。
「乱筆」とは、文字を乱雑に書くこと。また、その文字のことを表します。筆が乱れると書いて「乱筆」、一言でいうと「上手くはない文字」という意味です。
「乱文」とは、乱れて整わない文章のことを表します。文が乱れると書いて「乱文」、一言で言うと「まとまりがない文章、上手くない文章」という意味です。
この「乱筆」も「乱文」も、日常の会話ではあまり使いません。日常会話では、「私は字に自信がなくて、読みにくいと思いますが…」とか「私の字は汚い、と友人から笑われます」という言い方で「乱筆」であることを表現することが多いでしょう。「字に自信がない」「字が汚い」といったフレーズと同じ意味で使われますね。
「乱文」については、「私は昔から文才がなくて…」「わかりにくい文章で申し訳ありません」という言い方で、具体的に文章が拙いことについて表現することが多いかもしれませんね。
ちなみに、乱筆乱文の読み方は「らんぴつらんぶん」で、「らんひつらんぶん」とは読まないので注意しましょう。
乱筆乱文を使う際の注意点
乱筆乱文は謙譲表現です。手書きの手紙において、自分の文字・文章をへりくだる場合に使います。下手で読みにくい字や、まとまりのない文章を詫びるために使いますが、実際には手書きの文章が綺麗な場合でも謙遜して使うことがあります。
手書きに対して使うものなので、メールでは使わないよう注意しましょう。又、パソコンで作成した手紙も同様です。そもそもパソコンで作成するので「乱筆」にはならないですよね。
また、ビジネスにおける手紙(メール)にも使いません。特に、現代のビジネスにおいて主にコミュニケーションツールはメールを活用されており、乱筆にはならない活字のメールで「乱筆乱文お許しください」と使うのは違和感があります。
加えて、特にビジネスにおいては、乱筆乱文であってはならないということも理由のひとつです。ビジネスメールの締めの挨拶は、「よろしくお願い申し上げます」「取り急ぎご連絡まで」「よろしくご査収のほどお願い申し上げます」といった表現を使うのが一般的です。
そもそも、「乱筆乱文お許しください」は手紙で使われる結びの挨拶のひとつ。かつて手紙のやりとりが盛んだった時代に頻繁に使われていた表現と言われています。
但し、取引先への手書きのお礼状などには活用できるフレーズです。また、手紙以外で手書きで書くものとして「年賀状」がありますね。この場合、文面がある程度決まっている点と長文にならないという点で、乱筆乱文という言葉を使う必要はありません。
使い方を例文でチェック!
次に、具体的な乱筆乱文の使い方について、例文で紹介します。
1:拝啓 乱筆乱文にて失礼いたします。大変ご無沙汰をいたしておりますが…
手紙の冒頭で、挨拶文の一部として使う例です。「これから読む手紙は読みにくいと思いますが」という気遣いとしての使い方になります。
例文のように、手紙の冒頭に頭語「拝啓」などがある場合、乱筆乱文の言葉は頭語の後に書きます。頭語・結語の位置や使い方は変える必要はありません。
2:簡単ではございますが、取り急ぎお知らせまでとさせていただきます。乱筆乱文にて失礼いたしました。早々
手紙の最後に、結語の概念として使う例です。読みにくい手紙であったことを詫びる意味で使います。
「乱筆乱文失礼しました」「乱筆乱文な点は、ご容赦いただければ」「乱筆乱文お許しください」など、表現を変えることで相手の受け取る印象も変わるので、手紙の相手や内容によって使い分けると良いでしょう。
注意点として、冒頭で乱筆乱文と使った場合は文末では使いません。乱筆乱文は、手紙の冒頭か文末のどちらかで使うようにします。
類語や言い換え表現とは?
次に、乱筆乱文の言い換えに使える類語について紹介します。
1:拙筆
「拙筆」とは、拙い文字のことです。自分の書いた文字のことをへりくだって言いたい場合に使います。「乱筆」とは違って、文頭や文末に限らず文中で使うことができますよ。また、会話の中でも使える表現です。
例文:拙筆でお恥ずかしいのですが、独学で練習した習字を展覧会に出すことになりました。
2:拙文
「拙文」とは、拙い文章のことです。「拙筆」の「拙」が使われていることからわかるように、自分が書いた文章をへりくだる表現となります。
例文:拙文ながら、先日のお礼をお伝えしたくお手紙を書かせていただきました。
3:駄文
「駄文」とは、くだらない文章のことで、自分が書いた文章だけでなく他の人が書いた文章を批判する意味でも使うことができます。ここは「拙文」と違うところです。
例文:この作家は、批評家から駄文が多いと言われている。
その他、類似表現となる言葉を列挙しますので、ぜひ参考にしてください。
・殴り書き
・走り書き
・書きなぐり
・崩し字
・下手な字
・筆下手
・金釘流
・踊った文字
・拙著
・拙稿
因みに、ビジネス上で使える類語はなく、ビジネスシーンなどのかしこまった場面において置き換えることができる表現は見当たりません。
また、英語表現においても置き換える表現はありませんが、これは文化の違いによるもので、謙遜するという風習が英語圏にはないためです。
最後に
乱筆乱文とは、自分の文字や文章を「読みにくい文字」「まとまりがなく読みにくい文章」だと謙遜して表現するフレーズです。メール等でのコミュニケーションが主となった現代では、ほとんど使う機会がない言葉になってしまいました。
しかし、公私共に丁寧な手紙を書く場面に遭遇した際には、その文面に謙遜の意を込めて書き記す言葉となります。ひとつの表現方法として有効でもありますので、ぜひこの機会に覚えておいてくださいね。
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