目次Contents
「仕度(したく)」の意味
「仕度(したく)」は、予定している物事に備え、必要なものをそろえることを意味します。身なりを整えたり、食事をしたりといった意味もある言葉です。
ビジネスでは、さまざまな場面で仕度が必要です。たとえば、出張前には衣類や資料の用意、交通チケットの手配などの仕度をおこないます。
また、イベントや会議に向け、その場の準備が完了した状態は「仕度が整った」と言い表せます。
日常生活においては「身仕度」、「冬仕度」などのかたちで用いることが多いでしょう。
し‐たく【支度/仕度】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[名](スル)
1 予定されている物事を実行するのに必要なものをそろえること。準備。用意。「出張の―に追われる」「夕食を―する」
2 外出するために身なりを整えること。身じたく。「出かけるから早く―しなさい」
3 食事をすること。
「空腹となりたるに、―せんとこの茶屋にはいれば」〈滑・膝栗毛・七〉
「仕度」と「支度」の違いとは
「仕度」は「支度」と表記することもできます。辞書にも2種の漢字が記載されており、いずれも誤りではありません。
「支度」の「支」には「はかる」という意味があります。「支度」は本来、計算を表す言葉でした。やがて、前もって計算することを「支度」と表現するようになり、事前の用意を指す言葉に変化したという見方もあるとか。
現在は「仕度」と「支度」、双方に大きな違いはなく、使い分けの基準などもないといえるでしょう。
「仕度」と「準備」や「用意」との違い
「準備」や「用意」は、「仕度」と似たような意味をもちます。また、ビジネスでの使用機会が多い言葉です。
ここでは使用例を参考に、それぞれの具体的な違いをみていきましょう。

「仕度」と「準備」の違い
「準備」とは「仕度」と同様、物事をおこなう際に必要なものをそろえることです。また、態勢を整えることも「準備」と言い表します。
「準備」と比べ、「仕度」は日常会話での使用機会が多い傾向があります。「身仕度(みじたく)」のように、身なりを整えるような個人的な動作に適しているでしょう。
「準備」は多様な場面で活用できます。「イベントの準備をする」のように、ものをそろえるだけでなく、組織運営のような行動も指す言葉です。
具体的には、日常会話からビジネスシーンまで以下のように使用できます。
・今日は残業で遅くなるので、朝のうちに夕飯の準備を済ませておいた
・チームのリーダーとして、新商品発売に向けた準備を任された
「仕度」と「用意」の違い
「用意」には、物事に必要なものをそろえるという意味のほか、細かいところまで気を配るという意味があります。
対象が広い言葉といえますが、「準備」のように「態勢を整える」という意味は含まれません。
・午後からの外回りの用意はもうできた?
・質疑応答で戸惑わないよう、想定される質問の答えを用意しておいた
「仕度」の使い方と例文
「仕度」は、身の回りの物事に対してだけでなく、ビジネスシーンでも活用できます。ここでは、さまざまな場面での使用例をみていきましょう。
・A社から連絡があり、1時間後に会いたいとのことなので急いで仕度してほしい
・月曜日は北海道、金曜日は大阪。今週はずっと出張の仕度に追われている
・こちらはいつでも出かけられるので、仕度が整ったら連絡して
・今朝はずいぶんと風が冷たい。週末は衣替えをして、そろそろ冬仕度を始めなくては
「仕度」の類語や言い換え表現
「仕度」には、次のような類語や言い換え表現が挙げられます。
・手配
・手回し
・段取り
・膳立て
・下ごしらえ
それぞれの意味や使い方を知り、日常会話やビジネスシーンで活用しましょう。

「手配」
「手配」には、物事に必要なものをそろえるだけでなく、役割や段取りを決めるという意味があります。
また、犯人逮捕のために指令を発し、人員を配置することは「指名手配」と言い表します。
・お客様を送迎するハイヤーを手配しておいてください
・お昼のニュースが指名手配犯逮捕の一報を報じた
「手回し」
「手回し」とは、物事がうまく進むよう、事前に手配や用意をすることです。会話では以下のように「手回しがいい」のかたちで使用できます。
・何事にも手回しがいい彼女のおかげで、会議がスムーズに進行した
・雨天を予想してタクシーを手配しておくなんて。さすが、手回しがいいね
なお、都合のよいことや金銭のやりくりをすることという意味もあります。
「段取り」
「段取り」とは、物事をおこなう順序や手順のことです。「仕度」のように、事前に必要なものをそろえる行為も表します。
・プロジェクトを成功させるためには、事前の適切な段取りが必要だ
「膳立て」
「膳立て」には、お膳に料理を並べるという意味のほか、物事の準備をするという意味があります。以下のように「お膳立て(おぜんだて)」のかたちで用いるのが一般的です。
「膳立て」自体にネガティブな意味はありませんが、場合によっては否定的なニュアンスで受け取られる可能性があります。使用時は、相手との関係性や状況などに配慮しましょう。
・到着が危ぶまれた商品も無事搬入され、明日のイベントに向け、お膳立てが整った
「下ごしらえ」
「下ごしらえ」は、目的に向けた事前準備を意味します。料理で使われることが多い言葉ですが、その他の行動に対しても使用できる表現です。
・料理でも仕事でも、結果を出すためには綿密な下ごしらえが重要だ
「仕度」の意味を知りビジネスで正しく使おう
「仕度」とは、物事をおこなう前に必要なものを揃えておくことです。「仕度」と「支度」、どちらの表記も誤りではなく「仕度」は当て字だといわれています。
「仕度」は身の回りのことに対して用いる機会が多く、より幅広い意味をもたせたいときは「準備」や「用意」などを使用できます。類語や言い換え表現を理解しておけば、シーンに応じた使い分けが可能です。
「仕度」も含めた正しい意味や使用例を知り、ビジネスシーンで活用してください。
メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock



