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そもそも「手配」とは?「お手配」と「ご手配」では何が違うの?

♦︎「手配」の意味
まずは「手配」の意味をチェック。「手配」とは、物事をスムーズに進めるために必要な準備や段取りを整えること、必要なものを用意することを意味します。
たとえば、ビジネスシーンでは会場の予約や資料の準備、人員の配置などが該当します。
♦︎「お手配」の意味
「お手配」は美化語で、「手配」に「お」を付けることで言葉を丁寧にする役割があります。
実は「手配」は漢語なので、本来の敬語としては「ご手配」が正解だと考えられています。
しかし現実のビジネスシーンでは「お手配」も広く使われていて、むしろ口語表現や、やわらかい印象を与えたい場面では「お手配」が好まれている傾向もあります。
♦︎「ご手配」の意味
「ご〜」は敬語(尊敬語)の一種で「手配」に「ご」を添えることで、敬意を添える役割があります。
「手配」は漢語のため、この「ご手配」が正しい敬語表現とされています。つまり「ご手配いただきありがとうございます」などと用いるのが、厳密には正しい表現です。
ビジネスマナー的にどちらも許容されている理由は?

文法上は「ご手配」が正解であるものの、柔らかさや口語性を重視するなら「お手配」でも違和感なく受け入れられている実態があります。
「お手配」は慣習としてすでに広まっていて、「お手配のほど、よろしくお願いいたします」や「お手配いただけますと幸いです」などの言い回しで定着していることから、明確に誤りとまでは言い切れない状況になっているのも事実でしょう。
また「お電話」や「お返事」など、本来は漢語でも「お〜」がつく例は他にも存在します。そのため「お手配」も、その一種として違和感を持たれにくくなっています。
ただし正式には「ご手配」であることから、社内文書やかしこまった文章では「ご手配」を用いると良いでしょう。
「ご手配」(「お手配」)を使う際の注意点

「ご手配」や「お手配」について、例文では、本来の表記である「ご手配」を使ってアラサー世代が使用する際の注意点を解説します。
♦︎二重敬語にしない
たとえば「ご手配させていただきます」と使ってしまうと、二重敬語にあたります。正しくは「手配いたします」で十分です。
♦︎敬語を重ねすぎない
敬語は、重ねすぎると不自然な文章になってしまいます。
たとえば「ご手配をお願いいたしますよう、よろしくお願い申し上げます」などは過剰かつ誤った使い方です。
この場合は「ご手配をお願いいたします」で問題ありません。
♦︎自分の行為には用いない
敬語は「相手の行動」に敬意を示す言葉なので「ご手配をいただき、ありがとうございます」などのように相手の行為に対して使うのが原則です。
そのため「私がご手配いたします」や「弊社にて、ご手配させていただきます」などと用いるのは、自分の行為について敬語を使っていることになり誤りです。
【例文】「ご手配」(「お手配」)を用いるビジネス上のシチュエーション

「ご手配」を使うことが多いビジネス上のシチュエーションを解説します。こちらも例文には、正式な表記である「ご手配」を用いていますが、実務上は「お手配」でも特段の問題はないでしょう。
♦︎感謝を伝えるシーン
「ご手配いただき、誠にありがとうございます」や「ご手配のほど、心より感謝申し上げます」といった伝え方で、相手が手配をしてくれたことに感謝を述べる場面で頻繁に使われています。
♦︎依頼をするシーン
「会場のご手配をお願いできますでしょうか」や「ご手配のほど、よろしくお願い申し上げます」などと、相手に行動を促し、依頼をするシーンでも一般的に使われています。
♦︎お詫びのシーン
「ご手配に時間をいただき、申し訳ございません」や「急なお願いとなり、ご手配にご迷惑をおかけし申し訳ありません」などと、こちらに非があるせいで相手を急かさなければならなかったり相手に手間をかけることになった場面でも用いられています。
正しくは「ご手配」でも「お手配」は広く許容されている
「ご手配」は正しい敬語表現ながら、やや硬めの印象を与える言葉でもあります。
そのため厳密には誤用でも、すでに広く使われている「お手配」のほうが、やわらかく親しみやすい印象を与える面も否めません。
現代のビジネスシーンではやわらかい印象を重視する傾向もありますし、実務上は「お手配」を用いることにそこまで神経質になる必要はないでしょう。
ただし、公的な文書や正式な文面では正しい敬語である「ご手配」を用いるよう心得ておきましょう。
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並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。