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2025.12.13

尊敬の気持ちを表す「私淑」とは? 誤用しないための知識を例文でチェック

「私淑(ししゅく)」とは、対象となる人物に直接会って学んだり、師弟関係を結んだりしたわけではなく、著作や生き方を通して、その人物を「ひそかに」師と仰ぎ、そこから学ぼうとする姿勢を表した言葉です。本記事では、「私淑」の意味や使い方、類語、英語表現、よくある疑問と回答を紹介します。

この記事のサマリー

・「私淑」は直接指導を受けていないが、その人物を師として尊敬し学ぶ姿勢を表します。
・実際に教えを受けている先生や上司には「私淑」ではなく「師事」を使うのが適切です。
・故人や面識のない著名人に対し、著作や作品から影響を受けた場合に使うのが自然です。

日々の仕事や暮らしの中で、「この人のようになりたい」「考え方を学びたい」と感じたことはありませんか? 直接教えを受けていなくても、その人を心の師として仰ぐ姿勢を表すのが「私淑」という言葉です。

ビジネスシーンや文章表現でも見かけることが増えたこの言葉ですが、正しい意味や使い方を知らずに曖昧なまま使ってしまうことは避けたいですよね。

本記事では、辞書に基づいた定義や実用的な例文を交えながら、「私淑」の正しい理解と活用方法を整理します。

「私淑」の読み方と意味、使い方

「私淑」という言葉について、辞書に基づいた正確な意味を確認し、読み方や基本の使い方をおさえておきましょう。

「私淑」の読み方と意味

「私淑」は「ししゅく」と読みます。

『デジタル大辞泉』では、「私淑」を次のように定義しています。

し‐しゅく【私淑】
[名](スル)《「孟子」離婁下の「子は私(ひそ)かにこれを人よりうけて淑(よし)とするなり」から》
直接に教えは受けないが、ひそかにその人を師と考えて尊敬し、模範として学ぶこと。
「―する小説家」

引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

つまり、「私淑」とは、対象となる人物に直接会って学んだり、師弟関係を結んだりしたわけではなく、著作や生き方を通して、その人物を「ひそかに」師と仰ぎ、そこから学ぼうとする姿勢を表した言葉です。

この言葉の語源は、中国の思想家・孟子が記した『孟子』離婁(りろう)篇の一節にあります。

「予私淑諸人也(子は私《ひそ》かにこれを人よりうけて淑《よし》とするなり)」
(自分は孔子に直接教えを受けてはいないが、その教えを他者から受けて尊び、模範とした)

この孟子の姿勢が、「私淑」という語に込められています。

参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』(ともに小学館)

「師事」との違いは? 混同しやすい語の比較

「私淑」と似た言葉に「師事(しじ)」があります。どちらも「誰かを師として仰ぐ」という点では共通していますが、両者には明確な違いがあります。

『デジタル大辞泉』による「師事」の定義は次の通りです。

し‐じ【師事】
[名](スル)師として尊敬し、教えを受けること。「著名な陶芸家に―する」

出典:『デジタル大辞泉』(小学館)

このように、「師事」は実際にその人から直に教えを受けていることを前提としています。つまり、師匠と弟子としての明確な関係性があるのが「師事」です。

一方、「私淑」は、直接の教えを受けていないという点が大きな違いです。例えば、以下のように使い分けられます。

「私は、夏目漱石の作品に感銘を受け、私淑しています」
(漱石に会ったことはなく、著作を通じて学んでいる)

「私は、陶芸家の〇〇先生に師事し、技術を学びました」
(実際に先生から直接指導を受けている)

「私淑」を使う場面と使い方の注意点

「私淑」という言葉は、「一方的に作品や書籍を通じて影響を受けている人物」、または「すでに亡くなっている著名人」に対して使うのが自然です。

例えば、小説家、哲学者、経営者、思想家などで、面識のない存在を心の師とする際に使います。

一方で、「現在の上司」や「実際に教えを受けている先生」に対して「私淑しています」と言ってしまうと、やや違和感があります。このようなケースでは、「師事しています」や「ご指導を仰いでいます」といった表現の方が適切です。

また、「私淑」は敬語表現ではありませんが、日常的に使う場面が少ない語のため、やや改まった印象を与えます。文中やスピーチで使う際は、前後の文体とのバランスに気をつけることで、品のある印象になるでしょう。

参考:『デジタル大辞泉』(小学館)

(c) Adobe Stock

「私淑」の使い方と例文

「私淑」を使って、深く影響を受けた人物への尊敬の念を伝える使い方を、例文で確認しましょう。ビジネスや自己紹介、創作・教育の分野で役立ちます。

「学生時代から夏目漱石の作品に強く影響を受けており、今でも私淑しています」

故人の文豪など、指導を受けることができない人物の著作を通じて、その思想や文体を学び取っているという背景を伝えます。

「経営に悩んだときは、松下幸之助氏の著書を読み返すようにしています。長年、私淑してきた方です」

直接の面識はないが、著書や発言録からその価値観や哲学を学び、自身の行動の指針としているという、ビジネスシーンでの使い方として適切です。

「表現者として、草間彌生さんの独自の視点に私淑しています。常に刺激を受けています」

現代に生きる人物であっても、直接の接点がない場合や、作品や活動から一方的に影響を受けている状況を、謙虚かつ知的に表現できます。

参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』(ともに小学館)

「私淑」の言い換え表現と類語

「私淑」は格式張った印象を与えるため、場面によっては、より柔らかい表現に言い換えることが有効です。

ここでは、「私淑」に近い意味を持つ類語を紹介します。

「模範(もはん)」

見習うべき手本は、「模範」と表現します。

例:「模範的な社員」「兄の行動は弟の模範となった」

「リスペクト(respect)」

「リスペクト」は、尊敬すること。敬意を表すことを指します。また、価値を認めて心服する意味でも使います。

例:「あのアーティストの姿勢をリスペクトしています」

参考:『デジタル大辞泉』(小学館)

(c) Adobe Stock

英語で「私淑」をどう表す?

「私淑」は、直接教えを受けていない人物を心から尊敬し、その思想や作品から「ひそかに学ぶ」ことを指します。英語では“be strongly influenced by 〜”(〜に強く影響を受ける) が使えるでしょう。

例:I have been strongly influenced by his writings, even though I never met him in person.
(直接会ったことはありませんが、私は彼の著作から大きな影響を受けてきました。)

参考:『プログレッシブ和英中辞典』(すべて小学館)

(c) Adobe Stock

「私淑」に関するFAQ

ここでは、「私淑」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。

Q1. 「私淑」と「師事」は同じ意味で使えますか?

A.「私淑」は直接教えを受けていないが尊敬している場合に使います。「師事」は実際に指導を受けている関係性があるときに使います。

Q2. 会社の社長や上司に「私淑しています」と言ってもいいですか?

A. 上司など直接接点がある人物には、「尊敬しています」などと言う方が適切です。

Q3. 「私淑」のNGな使い方はありますか?

A. 実際に指導を受けている先生に対して「私淑しています」と言うのは誤りです。その場合は「師事しています」を使うのが正しいです。

最後に

直接の関わりがなくても、自らの価値観や行動に影響を与える人物を持つことは、人生に豊かな視点をもたらします。この記事では、「私淑」が、直接教えを受けないまま学ぶ姿勢を表わす言葉であることを整理しました。

「私淑」の正確な意味と、類語・英語表現との違いを踏まえながら、あなた自身の学びの姿勢を伝えるコミュニケーションに生かしてみてください。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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