「鶴首」という言葉を目にしたとき、何と読むのかと迷う人も多いのではないでしょうか? あまりなじみのない表現に思えるかもしれませんが、知っておくと静かな余韻を与えてくれる日本語です。
この記事では、「鶴首」の意味や使い方を丁寧に紹介します。
「鶴首」とは? 読み方と意味を解説
まずは、「鶴首」という言葉の読み方と意味を確認していきましょう。読み方によって異なる意味を持つ熟語です。

「鶴首」の意味と読み方
「鶴首」は「かくしゅ」もしくは「つるくび」と読みます。読み方によって意味が異なります。それぞれの意味を辞書で確認しましょう。
かく‐しゅ【▽鶴首】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名](スル)《鶴のように首を長くのばす意から》物事や時日のやってくるのを今か今かと待ちわびること。「―して吉報を待つ」
「かくしゅ」と読む場合は、何かを待ち焦がれている様子を表します。例えば、「連絡を鶴首して待つ」といった使い方がされます。
つる‐くび【鶴首/鶴×頸】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 徳利・花瓶などで、口のあたりが鶴の首のように細長いもの。
2 首が長いこと。また、その首や、そういう人。
3 ユウガオの一品種。実は先が丸く基部が柄状をなし、半分に割って柄杓(えじゃく)にする。
「つるくび」と読む場合は、物の形や人の特徴を表す語になります。花器や道具の名前としても用いられ、「鶴首花瓶」「鶴首鏝(こて)」などというように使われますよ。
また、「鶴首かぼちゃ」と呼ばれる品種のかぼちゃもあります。名前の由来は、その形が鶴の首のように細く長いことにちなみます。地域によっては、ひょうたんの形にも似ていることから「ひょうたんかぼちゃ」と呼ばれることもある、日本古来の品種です。
果肉は鮮やかな黄色で、もっちりとした食感が特徴。やさしく広がる甘みと、ほんのりとしたコクがあり、煮物・焼き物・スープなど幅広い料理に活用できます。特にポタージュにすると、なめらかさと深みが際立ちますよ。
種が少なく、調理がしやすいのも魅力のひとつです。ただし、皮はやや硬めなので、気になる場合はあらかじめ剥いてから使うと扱いやすくなります。季節の味わいとして、食卓にそっと取り入れてみるのもいいかもしれません。
この記事では「鶴首(かくしゅ)」に焦点を絞り、解説していきます。
「鶴首」の語源は?
「鶴首」は、もともと鶴の首、あるいは鶴のように細く長い首のかたちを指す言葉です。そこから転じて、首を長くして何かを待ちわびる気持ちを表すようになりました。
「鶴首」の使い方を例文で確認
「鶴首」の意味がわかったところで、具体的な使い方を例文とともに確認していきましょう。手紙で使える表現も紹介します。
結果発表の日を、社員一同、鶴首して待っていた。
仕事やプロジェクトの成果が出るのを、期待を込めて待っている状況が伝わってくるようですね。

春の訪れを鶴首して待つような、そんな静かな日々だった。
季節や時の移り変わりを待つ心情を詩的に表現しています。
鶴首してお待ち申し上げております。
この表現は、手紙や挨拶状などで待ち侘びている気持ちを伝えるときに使うことが多いでしょう。
「鶴首」の類語・言い換え表現は?
ここでは、「鶴首」と同じような意味を持ちながら、場面によって使い分けのできる言い換え表現を紹介します。
首を長くする
期待するものが早く来てほしいと願いながら待つときに使います。「鶴首」と同じ意味を持ちますが、より一般的で馴染み深い表現といえるかもしれませんね。

待ち焦がれる
会いたい人や手に入れたいものなどを思い浮かべながら、じっとしていられないような気持ちになる場面で使われます。
待ち侘びる
長く待ち続けるうちに、心が疲れてくるような様子を表します。
最後に
意味を知ると、「鶴首」という言葉には、何かを待ち望む心が重なって見えてくるのではないでしょうか。少し古風に感じるかもしれませんが、この言葉がぴったりとあう場面は今の日常生活にもあるものです。慌ただしい日々のなかでも、鶴のように首を長くして待つ心にも目を向けてみるのはいかがでしょうか?
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