「剽軽」という言葉に出会ったとき、まず戸惑うのは読み方かもしれません。「なんとなく使ったけど間違っていた…」なんてことは避けたいですよね。この記事では、「剽軽」の読み方や意味から使い方まで、紹介していきます。
「剽軽」の読み方と意味をおさえよう
まずは、「剽軽」の読み方や意味について整理しておきましょう。

「剽軽」の読み方
「剽軽」は「ひょうきん」もしくは「ひょうけい」と読みます。まずは、「ひょうきん」と読む場合の意味を確認しましょう。
ひょう‐きん〔ヘウ‐〕【×剽▽軽】 [名・形動]《「きん(軽)」は唐音》
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
気軽でおどけた感じのすること。また、そのさま。
「―なしぐさ」「―者」
「剽軽」とは、人との距離をすっと縮めるような、明るく軽やかな雰囲気、そんな印象を与える人に対して使われます。
冗談を言う、おどけるといった行動だけではなく、気さくさや親しみやすさといった意味合いを含んでいるといえるでしょう。
続いて、「ひょうけい」と読む場合には、少し意味が異なってきます。辞書には次のように記されています。
ひょう‐けい〔ヘウ‐〕【×剽軽】 [名・形動]
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1. 身軽ですばやいこと。また、そのさま。 「男は面白い―な恰好をして」〈花袋・一兵卒の銃殺〉
2. 軽はずみであること。軽率。
「ひょうきん」という読みでは、人懐っこく親しみやすい印象を与える表現でしたが、「ひょうけい」と読むと、動きの軽快さや、あるいは軽はずみで落ち着きのない印象を含むこともあります。
文脈によって読み方と意味が変わるため、注意しておきたいですね。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
剽軽(ひょうきん)な性格
性格が「剽軽」だといわれる場合は、気さくで面白い性格を指します。冗談を交えながら、その場の空気をふわりと明るくするようなイメージです。
具体的には、会話の中で笑いを誘ったり、相手の緊張をやわらげるふるまいができる人を思い浮かべると、ニュアンスが掴めるでしょう。
ただし、その軽やかさが裏目に出ると、浮いてしまうことも…。場に応じたふるまいが求められますね。

「剽軽(ひょうきん)」と「口が軽い」とは違う?
「剽軽(ひょうきん)」と「口が軽い」は、どちらも「軽」という漢字が入っているため、似た印象を持たれることがありますが、意味はまったく異なります。
「口が軽い」は、秘密を守れず、つい他人に話してしまうような軽率な態度を表す否定的な言い回し。信頼を損ねる行為として受け取られることが多い言葉です。
一方の「剽軽」は、人を和ませるような明るさや軽妙なふるまいを指し、親しみやユーモアを感じさせる、比較的ポジティブな表現です。
同じ“軽さ”を含んでいても、その印象や評価には大きな違いがあるといえるでしょう。
「剽軽(ひょうきん)」を使った具体的な例文
言葉の印象をつかむには、実際の使われ方を知るのがいちばん。ここでは「剽軽」という言葉のニュアンスがよくわかる例文を紹介します。
「彼は剽軽な性格で、どんな人とでもすぐ打ち解ける」
この例では、「剽軽」がポジティブな意味で使われています。明るく気さくな人柄で、初対面の相手とも自然に距離を縮められる—そんな親しみやすい人物像が浮かんでくるのではないでしょうか。

「先生は剽軽すぎて、話が脱線しがちなのが難点」
こちらは、「剽軽」であることがやや過剰になっている場面。先生の陽気さや話しやすさは魅力ですが、その軽快さがゆえに話の方向がずれてしまい、授業の進行に支障が出ることもある、というニュアンスを含んでいます。
「剽軽」は基本的に好意的な表現ですが、状況によっては少し度が過ぎた印象を与えることもある—そんな言葉の“さじ加減”を感じられる例文です。
最後に
「剽軽(ひょうきん)」という言葉は、読み方で戸惑うこともあるかもしれません。しかし、意味を知ると、軽やかさや人懐っこさが醸し出す、どこか温かい雰囲気が伝わってくるようです。
日常会話ではあまり使わなくなった言葉かもしれませんが、この記事を通して少しでも親しみを感じていただけたなら嬉しいです。
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