「道程」という言葉は、さまざまな文脈で使われます。高村光太郎(たかむら・こうたろう)の詩のタイトルとしても知られていますね。この言葉の本来の意味や文学的な背景、言い換え表現について見ていきましょう。
「道程」の読み方と意味
「道程」にはいくつかの読み方や解釈があります。まずは基本的な意味を確認しましょう。
「道程」の読み方
「道程」は、「どうてい」もしくは「みちのり」と読みます。「道程(どうてい)」の意味を辞書で確認しましょう。
どう‐てい〔ダウ‐〕【道程】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 ある地点に着くまでの距離。みちのり。行程。「一日の―」
2 ある境地・状態になるまでの時間。過程。「完成までの―」
「みちのり」と読まれる場合は「目的地までの距離」を指す際に使われます。「どうてい」と読む場合には、単なる距離だけでなく、「ある境地に至るまでの時間」を指しますよ。

高村光太郎の詩集『道程』を解説
「道程」と聞くと、高村光太郎の詩を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。この詩は、彼の人生観を象徴する作品として知られています。どのような背景のもとに生まれたのか、詩集の内容とともに見ていきましょう。
詩集『道程』の概要
『道程』は、大正3年(1914)に抒情詩社から刊行された高村光太郎の第一詩集です。明治43年(1910)の「失はれたるモナ・リザ」から、大正3年(1914)の「秋の祈」までの詩75編、小曲32編が収録されています。これらは『スバル』『朱欒(ざんぼあ)』『白樺(しらかば)』『創作』などの雑誌に発表されたものです。
詩集の構成は、当時としては珍しく、作品が発表順に並べられています。これによって、詩人自身の精神的な成長が、そのまま詩集の流れとして表現されているのが特徴です。
前半部分には「根付の国」や「父の顔」などが収められています。これらは、青春の葛藤や日本の風土への独自の視点を持った作品として注目されますよ。一方、後半には「道程」や「五月の土壌」などが含まれ、精神的な変化や自然への賛美がうたわれています。
詩集全体を通して、光太郎がいかに自らの生き方を確立していったのかが読み取れる構成となっています。
参考:『日本大百科全書』(小学館)

詩「道程」の有名な冒頭
「道程」の冒頭の一節が特に有名です。
「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」
この言葉には、自ら道を切り拓くという力強いメッセージが込められています。
「道程」の類語・言い換え表現
「道程」と似た意味を持つ言葉は、いくつかあります。状況に応じて適切な表現を選ぶことで、より自然な文章を作ることができますよ。
行程(こうてい)
「道程」と同じく、「目的地へ行くまでの距離」を意味します。ただし、「行程」は「旅行などの日程」のことも意味しますので、旅行や計画に関連して使われることが多いでしょう。
例:「旅行の行程を確認してから出発した」

過程(かてい)
「道程」が「ある境地に至るまでの時間」を指すのに対し、「過程」は「ある結果に達するまでの道筋」を指します。
例:「成功までの過程を大切にしたい」
最後に
「道程」という言葉は、時間の流れや人生の歩みを表現する奥深い言葉です。高村光太郎の詩からは、自らの道を切り拓く強い意志を感じることができますね。
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