「零余子」という言葉を見たことはありますか? 秋の味覚として親しまれています。俳句にも登場しますよ。さらに、最近では『鬼滅の刃』に関連して注目されました。この記事では、「零余子」の読み方、そして意味や食べ方について見ていきましょう。
「零余子」とは? 読み方と基本情報
まずは「零余子」の読み方から確認していきましょう。

「零余子」の読み方と意味
「零余子」は「むかご」と読みます。意味を辞書で確認しましょう。
むか‐ご【零=余=子】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
葉の付け根にできる、多肉で球状の芽。地上に落ちると根を出して、新しい個体となる。ヤマノイモでは茎、オニユリでは鱗片葉が変化してできる。鱗芽。珠芽。肉芽。ぬかご。《季 秋》「雨傘にこぼるる垣の―かな/犀星」
「零余子」は植物の腋芽(えきが)が栄養を蓄え、球状に肥大したものです。成熟すると自然に地面に落ち、そこから新しい芽が出る特徴を持ちます。特にヤマノイモに多く見られ、食用としても親しまれていますよ。
「零余子」の英語表現
「零余子」を英語で表現する場合、“a propagule”が使われますよ。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
「零余子」の食べ方は?
零余子は、芋に似た風味とほくほくとした食感が特徴です。炊き込みご飯や揚げ物など、さまざまな調理法で楽しめます。ここでは「零余子飯(むかごめし)」を紹介しましょう。
零余子飯とは?
零余子を使った料理の中でも代表的なのが「零余子飯」です。皮のついたままの零余子を薄い塩味で炊き込んだものです。素朴な味わいながら、秋の味覚を感じられる一品です。
参考:『日本の歳時記』(小学館)

「零余子」の俳句や文学での使われ方
零余子は、秋の風物詩として古くから俳句や文学作品に登場しています。自然に地面へ落ち、新たな芽を出す様子が、季節の移ろいや人生の情景と重ねられることもあります。
具体的な俳句を紹介
触れてこぼれ ひとりこぼれて 零余子かな
引用:『日本の歳時記』(小学館)
俳人・高野素十(たかの・すじゅう)の俳句です。零余子がぽろりと落ちる様子を詠んだ一句。零余子の小さく儚い姿が、季節の移り変わりとともに印象的に描かれています。

「零余子」と『鬼滅の刃』の関係
人気漫画『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴著/集英社刊)には、「零余子」という名前の鬼が登場していたのをご存じでしょうか? どんなキャラクターだったのか、概要を紹介いたしましょう。
「零余子」はどんな鬼?
「零余子」は、十二鬼月(じゅうにきづき)の下弦の肆(し)に位置する鬼で、白髪に角を持ち、赤い着物を身にまとった特徴的な容姿をしています。
物語の中では、鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)による下弦の鬼たちへの粛清の際に登場。短い出番ながらも、可愛らしい外見からファンの間で人気を博しました。
最後に
「零余子」は、秋の味覚として親しまれ、俳句の題材にもなってきました。小さな球状の芽が大地に落ち、次の命へとつながる姿には、どこか風情を感じますね。また、意外なことに『鬼滅の刃』にも「零余子」という名前の鬼が登場し、話題になりました。
言葉には、時代や文化によって異なる意味が生まれることがあります。「零余子」もまた、食材としてだけでなく、ポップカルチャーの中で独自の存在感を放っています。この言葉に触れることで、食や言葉の奥深さを改めて感じていただけたなら幸いです。
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