「東雲」という言葉を目にしたことはありますか? 素直に読めば「とううん」ですが、他の読み方もあるのでしょうか? 「東雲」には、美しい情景を表す意味が込められています。さらに、地名やキャラクター名など、さまざまな場面で使われることもありますよ。「東雲」の読み方や意味、語源について詳しく見ていきましょう。
「東雲」とは? 読み方・意味・語源を解説
まずは「東雲」の読み方から確認していきます。
「東雲」の読み方と意味
「東雲」は「しののめ」もしくは「とううん」と読みます。辞書での定義を確認してみましょう。
しののめ【東=雲】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
夜が明けようとして東の空が明るくなってきたころ。あけがた。あけぼの。「―の空」
「東雲」とは、闇が少しずつ晴れ、空の色が変わる瞬間を表現した言葉です。転じて、「明け方」や「夜明け」を指します。古くから和歌や文学作品の中で使われ、日本独自の情緒を伝える言葉のひとつといえます。
「東雲」の語源とは?
「東雲」という言葉の由来には、いくつかの説があります。ここでは、その中から代表的なものを紹介します。
1つ目の説は、夜明けに東の空がほのかに明るくなる様子を「篠芽(しののめ)」の細さにたとえたというものです。夜の闇が少しずつ和らぎ、東の空が白み始める様子を表したと考えられています。
もう1つの説では、出雲国の「みほの岩屋」にいた久米の若子という神の目が、篠(しの)のように細かったため「しののめ」と呼ばれていたことに由来するとされています。この「しののめ」が、夜明け前のほの暗い時間帯を指す言葉として使われるようになったとも考えられていますよ。
どちらの説も、東の空が明るくなる「夜明けの情景」と結びついていることが特徴ですね。

地名としての「東雲」
「東雲」という地名は、日本各地に存在します。特に東京都江東区の「東雲」はご存じの方も多いのではないでしょうか? 簡単に特徴を紹介しましょう。
東京都江東区の「東雲」
東京都江東区にある「東雲」は、再開発が進むエリアです。高層マンションやショッピングモールが建ち並び、利便性の高い地域として注目されています。大型商業施設「イオン東雲店」もあり、生活環境が整っていますよ。また、りんかい線の東雲駅が最寄り駅で、都心へのアクセスも良好です。
なお、「東雲」という地名は、東京都だけでなく愛知県や広島県などにもありますよ。
名前としての「東雲」
「東雲」という名前は、さまざまなアニメやゲームのキャラクターに使用されています。特に人気の高いキャラクターをいくつか紹介しましょう。
『プロジェクトセカイ』の東雲彰人・東雲絵名
スマートフォン向けアプリ『プロジェクトセカイ』には、「東雲彰人(しののめ・あきと)」と「東雲絵名(しののめ・えな)」というキャラクターが登場します。
東雲彰人は、ストリート音楽ユニット「Vivid BAD SQUAD」のメンバーで、神山高校2年A組に在籍しています。絵名の弟です。
一方、姉の東雲絵名は、音楽ユニット「25時、ナイトコードで。」のイラスト担当として活動しています。
「東雲」の英語表現
「東雲」を英語で表現するなら、“daybreak”や“dawn”といった表現が適しているでしょう。

daybreak
“daybreak” は「夜明け」「暁」を意味し、夜が明け始める瞬間を指します。詩的な表現としても使われることが多い単語です。
例:“The sky turned golden at daybreak.”
(空が東雲色に染まり始めた。)
dawn
“dawn” も「夜明け」や「暁」という意味ですが、“daybreak” よりも幅広く使われる単語です。「新しい時代の幕開け」といった比喩表現としても使われることがあります。
例:“The city was bathed in a soft light at dawn.”
(都市は東雲の柔らかな光に包まれていた。)
「東雲」を使った例文
「東雲」という言葉がどのように使われるのか、具体的な例を紹介します。自然の情景を表す場合や、名前として用いられる場合など、幅広い使い方ができます。
「東雲の空に、飛行機雲がくっきりと浮かび上がった」
夜明けの空に広がる幻想的な風景を描写しています。朝焼けの柔らかな光と飛行機雲のコントラストが、静寂の中に広がる美しさを際立たせていますね。

「彼女のペンネームは東雲。静かに夜が明けるような雰囲気を持つ作家だ。」
東雲という名前が持つ神秘的で詩的なイメージを表現しています。柔らかく移り変わる時間帯のように、繊細な作風を持つ人物を想起させます。
最後に
「東雲」は、夜明けを象徴する美しい言葉です。文学や芸術の中でも使われることが多く、日本の伝統的な表現として親しまれています。また、地名やキャラクター名としてもよく使われることから、さまざまな分野で馴染みのある言葉だといえるでしょう。
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