「彼方」という漢字を見て、あなたは何と読むでしょうか? 実はたくさんの読み方がある言葉なんです。どんな読み方があるか、早速見ていきましょう。
「彼方」の読み方と意味は?
「彼方」には多くの読み方があり、それぞれ異なるニュアンスを持っています。ここでは、代表的な読み方と意味を紹介します。
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「彼方」の多様な読み方
「彼方」を辞書で調べると、以下のように多くの読み方が見つかります。あいうえお順で整理すると、「あち」「あちゃら」「あちら」「あっち」「あっちら」「あっほう」「あなた」「あのかた」「おち」「おと」「かなた」「かほう」などがあります。
さまざまな読み方があることに驚いた方も多いのではないでしょうか? それぞれの読み方には特有の使い方がありますが、この記事では特に「かなた」について詳しく見ていきます。
「彼方(かなた)」の意味
「かなた」という読み方の場合、以下のような意味を持ちます。
か‐な‐た【▽彼▽方】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[代]遠称の指示代名詞。
1 話し手・聞き手の双方から離れた場所・方向をさす。また、現在から遠く離れた過去・未来を示す。あちら。あっち。「―の山」「忘却の―」
2 ある物に隔てられて見えない場所・側などをさす。向こうがわ。「山の―」「海の―の国」
「彼方」は、遠くの場所を指す場合もあれば、過去や未来といった抽象的な概念を表すこともあります。この柔軟な使い方が、日本語の美しさを感じさせる要素の一つかもしれませんね。
「彼方」が使われる有名な作品を紹介
「彼方」という言葉は、漫画や音楽、文学など、多様なジャンルで用いられています。ここでは注目の2作品を紹介していきましょう。
『彼方のアストラ』とは?
『彼方(かなた)のアストラ』は、2016年から2017年にかけて『少年ジャンプ+』(集英社)で連載していた、篠原健太さんによる宇宙を舞台にしたSFサバイバルストーリーです。「マンガ大賞2019」では大賞を受賞しています。
ちなみに、主人公の名前は、カナタ・ホシジマといいますよ。
『彼方の光』とは?
『彼方の光』は村松崇継(たかつぐ)さんが作曲した楽曲で、2005年度のNHK土曜ドラマ『氷壁(ひょうへき)』の主題歌として注目を浴びました。
「彼方(かなた)」の類語や言い換え表現
「彼方」と似た意味を持つ言葉を知ることで、場面に応じた適切な表現が選べるようになるでしょう。ここでは、日常会話から文学的な表現まで、用途に応じた言い換えを見ていきます。
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向こう側
「向こう側」は、物を隔てて離れた場所を指す際に使われる言葉です。「川の向こう側」、「山の向こう側」というように、視覚的に捉えやすい距離感を伴うのが特徴です。「彼方」と比べて具体的な位置を示す表現だといえるでしょう。
遥か(はるか)
「遥か」は、「非常に遠い」という意味を強調する表現です。空間だけでなく時間的な遠さを表す場合にも使われ、「遥か昔」「遥か未来」といった形で過去や未来を指すこともあります。「彼方」と比べると、より広がりを感じさせる表現かもしれませんね。
あっち
「あっち」は、「彼方」よりもくだけた言い方で、日常会話でよく使われます。「あっちを見て」、「あっちへ行こう」というように、話し言葉として方向を示す際に用いられます。「彼方」と比べて親しみやすい表現だといえるでしょう。
「彼方」を使った例文と会話での活用方法
「彼方」は、日常会話ではあまり使われないかもしれません。しかし、文章や文学的な表現をしたいときには、遠くを想起させる美しい言葉として効果的に活用できます。場面ごとに適した使い方を見ていきましょう。
「夕日の彼方に山々が霞んで見える」
自然の風景を描写する際、「彼方」は遠くの景色を印象的に表現するのに役立ちます。夕焼けに染まる空の向こうに広がる山々を想像させ、余韻を感じさせる表現になりますね。
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「記憶の彼方に忘れ去られた思い出」
「彼方」は、時間的な遠さを表す際にも使われます。過去の記憶や感情が徐々に薄れていく様子を表現することで、ノスタルジックな雰囲気を生み出す言い回しになるでしょう。
「彼方へと旅立つ勇者たち」
ファンタジーや物語の世界において、「彼方」は未知の世界や冒険の象徴として用いられることが多い表現です。新しい旅立ちや未来への期待を込めた表現として、物語をドラマチックに演出できます。
最後に
「彼方」という言葉は、文学や音楽、アニメの世界でも幅広く使われており、幻想的な響きを持つ表現として親しまれています。この言葉の持つ美しさを知り、日常の表現にも取り入れてみるのもいいかもしれませんね。
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